- Amazon.co.jp ・本 (33ページ)
- / ISBN・EAN: 9784494001538
感想・レビュー・書評
-
単なるお話として読めば3、性の本としては1、平均して☆2。なぜならすでに人々は、愛にはこの話のカタチだけではなく、たくさんのカタチあることを知っているから。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
むかしむかし、人間は男と女がくっついたアンドロギュノスという存在でした。
アンドロギュノスは男と女それぞれの顔、4本の手足を持ち、あちこち動きまわり、しゃべり続けます。
その騒々しさに参った神さまは、とうとう背中のところで切り離してしまいました。
それで男と女はできたのです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「おかあさんとみる性の本」3冊目となる「ふたりのはなし」は、なぜ男女はひかれあい、愛しあうのかについてのお話でした。
この絵本のもととなったのは、古代ギリシアの哲学者・プラトンが書いた「饗宴」というものだそうです。
アンドロギュノスという概念を、わたしはこのお話で初めて知りました。
神話というか、単なるお話として読むと、アンドロギュノスのお話はとてもおもしろいと思いました。
しかしこれを「切り離された男と女は、それぞれを探し求めているため、男と女はひかれあうのだ」とし、それを「愛」として、読み聞かせを通して子どもたちに教えこんでしまうことには、わたしは疑問を感じます。
なぜなら、すでにわたしたち人間は、「愛」にはいろんなカタチがある、ということをしっているからです。
確かに、子どもは精子と卵子が出会うことで生まれます。
生命をつなぐ、という意味では、男女が出会い愛を育むことは必要不可欠なのでしょう。
しかし、それを強調しすぎるあまり、結果として他の愛のカタチを排除するようなことになってしまうのは、ちがうと思うのです。
この「ふたりのはなし」という絵本は、紀元前のプラトンの話がもとになり、著者は1970年代にはお話の形として小中高生に語っており、「どんな世代にとっても、とても魅力のあるお話として受けました。」(あとがきより引用)と書かれています。
しかしわたしは、つい1970年代まで、このお話が受けていたことに衝撃を受けました。
意識的か無意識的かは定かではありませんが、そこには「男女の愛こそ正当」とする一本道しか見えません。
ひとつだけ言えるのは、この絵本は、性の本としての愛の存在をどうとらえるのか、考えさせてくれた本、でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「むかし神様がつくった人間は、男と女が背中あわせでくっついていました。女の人と男の人が、どうして一緒に暮らすのかを夢とロマンをこめて語ります。」
-
子ども向けの絵本
アンドロギュノス
男と、女はもともと一緒だった、
それを神によって切り離された話 -
2012.2月 初読 市立図書館