ひとのなみだ

  • 童心社 (2024年6月24日発売)
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本 ・本 (32ページ) / ISBN・EAN: 9784494015979

作品紹介・あらすじ

 だいとうりょうが さけぶ
 せんそうが はじまる
 でも ぼくは いかない
 いくのは ロボットのへいたい

ロボットの兵隊が戦争に行く世界で、ぼくたちは安心して暮らしているはずだった。
非戦と平和への願いを込めて、詩人・内田麟太郎が描く近未来とは──。

*第30回日本絵本賞(2025年)
*全国学校図書館協議会選定
*全国SLA「2025えほん50」選定

感想・レビュー・書評

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  • 詩人内田麟太郎さんの反戦絵本。

    今まさに、海外で起きている戦争のことのようであり、近い未来、日本で起こってしまうことのようであり…。nakabanさんの絵がその重さを一層引き立たせる。

    あとがきには戦前に生まれた内田さんの反戦に対する思いが伝わってくる。

    今年は戦後80年。8月6日の私の誕生日までには、もう一冊戦争に関する本を読みたいと思う。

  • ※あらすじが最後まで書いてあります。

    大統領が 戦争が始まると叫ぶ。戦争に行くのはロボットだけで、ロボットや ドローンを買えない小さな国 を攻める。

    テレビは、ロボットの兵隊が敵を倒した数字を流す。僕たちは悲しくないし、死なないから、遊んでいていい。

    僕たちの国は勝ち続け、みんなで踊って、大統領を称える歌を歌った。
    僕は薄々わかっていたが、仲間はずれになりたくないから一緒に笑っていた。それ以上知ろうとしないで。

    次々と僕の国は勝利した。しかし、 突然テレビに 戦場 の本当の姿が写った。
    お母さんを呼ぶ子どもの声 、子どもを呼ぶ母の声が聞こえた。
    僕は大声をあげて泣いた。
    忘れていた子どもの頃が蘇った。お母さんの歌、お父さんの掛け声や背中。

    ロボットにされていた僕たちの心に、人殺しになっていた僕の心に、親子の声が聞こえてきた。

    ロボットと違い、涙を流し、殺すことをためらう 僕たちに。僕たちは、人に戻っていく。
    平和を願いながら、人の涙を流しながら。

    ※この絵本は、今の戦争の絵本。

    沖縄や 原爆 大空襲の絵本は多い。それは日本であったことなのだから、子たち達には伝えたいと思い、小学校の教員の時は実践をしていたと思う。

    でも今は戦争の形が変わってきている。
    特に、今、戦争を行っているイスラエル やロシアの人たちはどれほどの真実を知らされているのだろうか。ロボットはまだ登場していないが、ドローンやミサイルなど、ボタン一つで人を殺せる。

    そうやって、敵か味方か だけに分けられ、人の心を忘れていく。忘れさせられていく。もし気づいたとしても、周りから仲間はずれにされまいとする。

    世界は、相手に対する想像力を持たなくなってきているが、あとがきにあるように、「国境なき人間になろう。人に会いに行こう。」の言葉が心に残る。

    全体に暗い色調で描かれている。その中で最後の僕の涙の表情が印象的だ。

    内田麟太郎さんというと、ワニぼうや、ともだちやシリーズなど楽しい絵本を書く人というイメージだった。内田麟太郎さんの印象を変える 絵本 となった。内田さんのもっと深いところを知りたいと思った。

    読み聞かせるとしても、 6年生かな?担任の先生や時期も考えて 読み聞かせたい。

  • 〝大統領が叫ぶ 戦争が始まる でも、ぼくはいかない いくのはロボットの兵隊...聞こえてくる すこしずつ すこしずつ 親を呼んでいる 子どもの声が...おかあさ―ん...涙を流さないロボット 涙を流すぼくたち 殺すことをためらわないロボット ためらうぼくたち すこしずつ すこしずつ ぼくたちは ひとに もどっていく・・・〟ドロ―ン・AI戦争での殺戮がやまない世界を嘆き悲しむ、詩人・内田麟太郎さんが描く平和の理念。

  • 絵の重々しさが、重い話をさらにドライブしていく。
    目!

  • ちょうど6年生が社会で戦争の時代を勉強しているので、この本を読み聞かせしようと思う。
    ニュースではウクライナが、ガザ地区が攻撃されてとか日々報道されているけど、大人である私も含めて、どこか自分に関係ない世界の出来事ととらえがちな子どもたちに読んであげたい内容だった。

  • 大切な事が書かれていました。あとがきをみて、今も戦争の中にいて苦しんでいる人たちがいるのを、忘れてはいけないと考えさせられました。

  • だいとうりょうが さけぶ
     せんそうが はじまる
     でも ぼくは いかない
     いくのは ロボットのへいたい

    ロボットの兵隊が戦争に行く世界で、ぼくたちは安心して暮らしているはずだった。
    非戦と平和への願いを込めて、詩人・内田麟太郎が描く近未来とは──。
    ドローン攻撃ははじまっている、人型ロボットが兵士になったら、もうこの世は終わりか?と不安になる。人を殺していけないと戦争をしてはいけないは同じはずなのに

  • 非戦の絵本。今、日本は戦争をしていないが、戦争の報道をみることは多い。他人事ではない。この絵本はあとがきまで読める年齢の読者向けかな。

  • 4分33秒
    2025.04.18

  • 9歳11ヶ月の娘
    6歳11ヶ月の息子に読み聞かせ

    無人の攻撃できるもの
    が増えているものね
    こころをなくすのは
    本当におそろしい
    ゲーム感覚で戦争するなんて。

    ひとのこころ
    ひとのなみだ
    絶対に忘れてはいけない。

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著者プロフィール

《ありえる》
父は桃太郎。母はかぐや姫。妻は白雪姫。
エッセイ『絵本のことば 詩のことば』
詩集『ことばの遊園地』『たちつてと』
《ありえない》
1941年、福岡県大牟田市生まれ。
絵本『ともだちや』。

「2024年 『ありえない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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