クジラがしんだら

  • 童心社 (2024年9月4日発売)
4.10
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Amazon.co.jp ・本 (40ページ) / ISBN・EAN: 9784494015993

作品紹介・あらすじ

クジラが死んだらどうなる?ーー深海という厳しい世界に生きるユニークな生きものたちの、いっときの大宴会を描いた物語絵本

深海はえさが少なく、生きものが少ない場所です。ところが、ごくまれに巨大な食べ物のかたまりが降ってくる。それが命を終えたクジラです。
クジラの体は、長ければ100年にもわたってさまざまな生物の命を支え続けます。
はじめはサメ、コンゴウアナゴなどが肉を食べ、タカアシガニやグソクムシなど小さな生物が続きます。骨だけになると、こんどはホネクイハナムシという骨を食べる生物があらわれ、その後も長期間にわたりクジラは分解されていきます。
このクジラの死骸を中心に形成される特殊な生態系は「鯨骨生物群集」と呼ばれ、近年の研究でその実態が明らかになってきました。

50~100年というのは、とほうもなく長い時間ですが、必ずどこかで終わりは来ます。
鯨骨に生きる生き物たちは、やがて別のすみかと食べ物を探さなくてはいけない。こんなに広い海で、そうつごうよく、沈んだ大きなクジラに出会えるものでしょうか?
しかし、まっくらな宇宙にも星があるように、深い海の底からあてどない旅に出かける生物たちにも、どこかに必ず明かりがあるのです。でなかったら、クジラに集う生きものたちがずっと子孫を残し、命をつなぎ続けることはできなかったはずです。

これは深海という厳しい世界に生きる生物たちの、いっときの大宴会を描いた物語絵本です。
監修は国立研究開発法人海洋研究開発機構の藤原義弘氏。

*第56回講談社絵本賞(2025年)
*第16回ようちえん絵本大賞(2025年)
*「キノベス!キッズ 2025」第1位
*第1回NIC書店絵本大賞(2025年)
*全国SLA「2025えほん50」選定

感想・レビュー・書評

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  • 2025.6.4 6-2

    クジラが死んだあとのことなんて気にしたこともなかった。
    そうか、クジラは死んだあとも海の生き物たちのごはんになって、沢山の生命を繋いでいくのか。
    肉はもちろんだけど、骨の髄までとは恐れ入った。

    5分くらい

  • 調べてみたら、マッコウクジラの寿命は人間と同じくらいの70年だそうです。

    天寿を全うして、その亡骸が深海へ沈んだ後も
    1.肉を食べる生きものたちの時代→ユメザメ、タカアシガニ、ダイオウグソクムシなど
    2.骨を食べる生きものたちの時代→ホネクイハナムシ
    3.骨にくらす生きものの時代→ヒラノマクラ、シンカイコシオリエビなど
    とおよそ100年にかけて、他の生きものたちの命を支えていくそうです。
    そんなクジラが世界の海に10万頭沈んでいる。

    大いなる自然の摂理にただ驚き、感動するばかりです。

  • 同じテーマの「海にしずんだクジラ」を先日読みました。一頭のマッコウクジラが死んで深い深い海底に沈み、そこに営まれる生態系が詳しく語られます。絵はリアルでありながらちょっと可愛めで、生き物たちのセリフが微笑ましくてしかもよく分かります。後ろのページの解説もとても分かりやすいですね。

  • 小さな子どもから大人まで、多くの人の好奇心をくすぐるタイトル。この絵本を見つけたら、手に取り中を見たくなる。
    読者に『死』を意識させなからも、『生』が描かれている。突如、巨大なご馳走がやってきた暗黒の世界はお祭り騒ぎ。生きることへの凄まじいエネルギーを感じずにはいられない。
    何億年も前から繰り返されている、生と死。時間の流れにのり、命が繋がれていく。

  • 深く暗い海の底。そこは、生き物たちにとってライバルも少ないけれど、エモノも少ないところ。何日も何ヶ月も食べていない生き物たちもたくさんいます。そこへ、大きなマッコウクジラが命を終えて落ちてきました。クジラがしんだらどうなるのか?最後のページまで見逃せません。

  • 友達に勧められて読んだ。
    絵本は、子どものもののイメージが勝手にあったけど、大人になって読んでも面白いし、この本はなんだか落ち着く気持ちになれた。

    普段目の当たらない深海の生物にスポットを当て、鯨の命がなくなった後の話。それも考えたことのない人が多い気もするから新鮮でもあったし、命のサイクルについても考えられた学びもある本だった。
    見る人によって、さまざまな視点から得られるものがあると感じた。
    自分の中で絵本は、イラストを楽しみながら、子どもの感受性を養うもののイメージがあったが、今の絵本は進化しているのだと感じた。

  • 命の循環が美しく描かれた、素晴らしい絵本。
    ある生き物の命の終わりが、他の多種多様な命を繋いでいることがスッと実感でき、死のマイナスなイメージが覆される感覚を味わえます。
    海洋研究機構が監修しているため、海洋生態系についても学べます。

  • クジラが死んだらどうなる?…ふか ー く、暗い、海の底。あまりに深くて、昼間でも陽の光は届かない…何十年もの長い一生を終え、海の底に沈んできたマッコウクジラ…巨大な食べ物の塊が降ってきた…深海という厳しい世界に生きるユニークな生きものたち…はじめはサメ、コンゴウアナゴなどが肉を食べ、タカアシガニやグソクムシなど小さな生物が続く。骨だけになると、こんどはホネクイハナムシという骨を食べる生物が現れ、その後も長い時間をかけて分解されていく。さまざまな生物の命を支え続ける、クジラに命の終りから始まる壮大な物語。

  • 2024年 中型本
    絵のタッチが良い
    黒ベース、白字
    監修:海洋研究所の藤原氏

    クジラが深海生物(正式には鯨骨生物群集)に分解されていく様子の映像を見たことがある
    それとまったく同じで忠実に描かれていた
    深海魚の名前と絵、説明書きがある

    世界中の海に10万頭ものクジラが沈んでいるそうだが、これだけ広い海で死骸にありつける難しい
    逆にありつければ、1つの死骸で50~100年分のご馳走になる
    素晴らしき生態系

  • クジラの死骸に集まる深海の生き物たちの姿を描く、科学絵本。はまる子にははまると思うので、じっくり読ませてあげたい本。

  • まるでSF!
    知識になるだけでなく、絵もお話も面白い。

    絵の魅力がなんとも言えない!絵本らしくもあり、マンガのようでもある。映画のようでもある。カメラのミクロとマクロの切替えの上手さ。

    絵本読みの先輩たちが、みんな絶賛している。わたしも同じく絶賛したい。

  • ここはふかーくくらい、海の中。まっくらな闇がどこまでも続き、なかなかエサにありつくこともできない深い海。
    と、その時。
    頭上に降ってきた、大きなマッコウクジラ。
    命を終えたクジラの体は。

    深海の生き物が続々マッコウクジラに集まってきて、しんとした暗闇が俄かににぎやかになって、やがてまた。
    ユメサメ、コンゴウアナゴにタカアシガニ、グソクムシと最近見かけるようになったちょっとグロテスクな深海の生き物たちがそれぞれにちょっと嬉しそうに登場する。
    マッコウクジラの死が深海の生き物に与える恵。絵本だとあっという間だけれど、実際は気が遠くなるような年月がかかるから、人って奢ってちゃダメだなと改めて思う。
    ちびちゃんにも是非読ませたい。

    あー、これこれ、えのすいにコーナーあるよ。
    知ってる知ってる。s20

  • ホネクイハナムシは、雄がちっちゃい矮雄と言ふものなので、見える奴は全員女の、あぁ。
    鯨骨生物群集については、はい
    マッコウクジラの最後が悲しくて良かった。

  • 大きな大きなクジラが死んだあと、どうなっていくのかを子どもにもわかりやすく、また大人も知らない生き物も登場しながら描かれていて面白かったです。
    子どもにたくさんの、へー!!!を感じてもらいたいので、いい本だと思いました。

  • クジラが死んだら、なんになる?

    ある日、年老いたクジラが死んで、深い深い海の底へと沈んできました。
    肉の匂いにつられてやってきたのは、緑色の目をしたユメザメ。
    ユメザメはクジラにがぶりと噛みつきました。


    絵本ですが、お話や物語ではなく、自然科学に分類される絵本です。
    とても興味深く、高学年の子どもに読んでもじっくりと聞いていましたし、低学年の子も面白いと言っていました。

    光が届かない深海はまるで宇宙の中のようで神秘的でした。
    映像だったらきっとグロテスクな弱肉強食、自然界の摂理の内容ですが、可愛らしい絵柄でかなりマイルドに描かれています。
    最後のホネクイハナムシの場面は、人によっては集合体にゾワっとするかもしれませんのでご注意。

    手元に欲しいと思うくらい良作でした。

  • 海の底で起こっている、生と死の営みを、とてもさっぱりとユーモラスに描いていて良かったです。
    深海では、何年も食べられないなんて。
    そんな環境で、マッコウクジラが降ってきたら、それは棚からぼたもち的なご馳走だ。
    大きな体だからこそ、栄養もたくさん。
    深海が少し身近に感じられました。

  • クジラが死んで深海に沈んでいったら何が起こるか。

    いろいろな生態の生き物がいる。

    ホネクイハナムシ。
    初めて知った。

  • いい科学絵本だね。子どもだけでなく大人が読んでも勉強になる。弱肉強食だけが自然ではない。命はこうして形を変えて継続していく。よくできているよなあ。

  • 先日鳥の骨を拾いました。調べてみるとカラスの骨でした。こうやって身体は土になり、骨もいつかは朽ちて砂になると思うといろいろ思うところがあります。

  • 何かに推薦されて手に取ってみた絵本。
    シロナガスクジラがその命を終えた後、深海がどうなるか、を描いている。
    深海の生物にとって、上からご馳走がふってきた、ってことで。
    でもこれは待ってたってくるものではない。ほんとに偶然。
    中には一年間何も食べてなかった生き物も、ごちそうにありつく。鯨の肉を食らう。
    一番興味深かったのは、肉ではなく、骨をいただく生き物。
    植物のように骨の中に入り込み、一部だけ顔を出す。
    骨を食いつくすと胞子を出す。
    その胞子も、生きるためにはクジラの骨に住み着かなくてはいけないが、
    果たしてそんな幸運が待っているか、、、

    偶然によって生かされている。人間と手その掟からは逃れられない。
    そういうことを理解しておくべきだ。
    そんなことを考えさせられる絵本だった。

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著者プロフィール

作者 江口絵理(えぐち・えり)
1973年生まれ。立教大学文学部卒業。出版社で書籍編集者として働いた後、2005年よりライター、児童書作家に。著書に日本絵本賞を受賞した『ゆらゆらチンアナゴ』(ほるぷ出版)や『ボノボ』(そうえん社)、『高崎山のベンツ』(ポプラ社)ほか子ども向けの動物の本多数。雑誌やウェブでの人物インタビュー記事や『未来を変える目標 SDGsアイデアブック』(Think the Earth)の執筆なども手がける。

「2023年 『アフリカで、バッグの会社はじめました』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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