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本 ・本 (216ページ) / ISBN・EAN: 9784494019779
感想・レビュー・書評
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読みやすいことで、古典の中では人気の高い本作品。
ブックトーク用に、中学生向けのものを読んでみた。
活字も大きく全ルビ付きで、さくさくと流れるように読めたのだが。。。え?これだけ?というのが正直な読後感。
学問の神様である菅原道真公をご先祖様にもち、伯母にあたる藤原道綱母は、「蜻蛉日記」の作者。いわば文学界のサラブレッドのはずなのだが、「枕草子」や「源氏物語」のようなキラリと煌めくものを感じない。いや、偉そうなことを言ってまことに申し訳ない。
これは私の読み方が悪いのかと再読して分かった。読みやすいだけあって、すべてが淡々としているのだ。
辛いこと、悲しいことがあっても、それを俯瞰して描写するもうひとりの自分がいない。
夢見るオタク少女の日記とは、このようなものかもしれないな。
しかも作者自身が年老いてから、若い日々を回想してまとめたものだからそうなるのも頷ける。
挿絵も豊富で現代語訳も分かりやすく、とりあえず内容を知りたいという方にはうってつけ。
出だし部分の、物語を読みたいという強い願望で、薬師如来の像をこしらえて部屋に飾り、「どうぞ都へ行かせてください。ありったけの本を読ませてください」と額を床にすりつけるようにして祈る場面がある。ここが何だかとても微笑ましい。
このとき作者は13歳なのだが、現代の13歳は何を祈るのだろう。
より詳しくより異なる視点を求めて、次なる大人版の更級日記に行く。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
夢のお告げ受けまくりだけど、ほとんど無視する娘さん。
まあ、普通はそうだよね。でも、こうして後々書き起こせるぐらい記憶に残ってたってことは、かなり衝撃的な夢だったのかな。夢日記をつけていたのかもしれない。
ほんと、夢見る少女の物語ね。
今の世なら「文学オタク」と言われそうな。
今の世に彼女がいたら、物語だけではなく、いろんなジャンルに手を出してそうよね。 -
図書館に更級日記の現代語訳を探したけれど無く、児童書コーナーでこちらを発見。知識の無い私を度々助けてくれる児童書なので、喜んで借りてきました。そして半日かからず読了。
期待どおり、寺参り、おこもり、精進の説明が、とっても分かりやすく差し挟んでありました。また、通りすがりの男女の挨拶が歌ことばで(日記の中では相手が下の句を呼び掛けてきて、こちらが上の句を返していました)こんな風にされていたとは!とはじめて知ったことも。きちんとした和歌のやり取りだけだと思っていたので…。今まで、なんとなくこんな感じのことか?とぼんやり分かった気になっていたことが、ちゃんと分かってすっきりしました。
夢見る少女が旅先の出来事に感動したり、猫や身近な人たちとの別れなどに泣いたりするようす、また、物語が読みたくて仕方ない気持ちや、物語を夢中になって読むところなど、かわいらしいなと思います。
一方、夢の話もたくさん出てきてよく書き留めている割に、ぼんやりスルーしてしまうところが、なんとも。もっと身をいれてきちんと宮仕えしていればなぁ、と後悔していますが、そのどちらも、「ちゃんと勉強していい大学に入ってればなぁ…もうちょっと私の人生違ったかもなぁ」みたいな誰しも一度は感じる気持ちに似てるのかな?とも思いました。
子供向けなので、人生の後悔もどこまで深いものなのか、よく分かりません。まぁまぁ、私の人生こんなものでしょ、すごく良くもないけど、すごく悪くもないな、と割りと満足してこの日記を書いたのでしょうか。
できれば、別の現代語訳も読んでみたいです。
著者プロフィール
平塚武二の作品





