天使のにもつ (単行本図書)

著者 :
  • 童心社
3.76
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  • (6)
  • (1)
本棚登録 : 211
レビュー : 41
  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784494020553

作品紹介・あらすじ

「頼んでまでして、なんで仕事しなきゃなんないの?しかもタダで」そんな中学2年・斗羽風汰が職場体験先に選んだのは、保育園だった。「子どもと遊んでりゃいいってこと?ありかも」本当に大丈夫なのか、斗羽風汰。

感想・レビュー・書評

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  • 少年少女向けの小説。
    中学2年生の斗羽風汰は職場体験として保育園に行く。

    軽い文体で、リアル10代に読みやすく書かれている。
    書かれている内容は軽くみせながら、なかなか奥深い。

    主人公は、普段関わらない世代、色々な層の人と交わることで、同級生だけではわからない、新たな感情、思いが芽生える。

    人の世話をすることがさりげなく色々なエピソード(捨て犬、認知症の老人、保育園のぎこちない子ども)として、でてくる。人の世話は身近でありながら、正解はない。皆迷いながら、対応している。

    これらのエピソードが、大上段に道徳的に書かれるのではなく、事実として、主人公はある程度ポカンとなんだかわからないまま、距離がありながらも触れ合う。この書かれ方がリアリティがあるし、現実でも「あれってなんだったんだろう?」くらいのことに「本当のこと」がまぎれている気がする。

    10代で読んで、また大人になって読むと一味違って読めるのではないだろうか。

  • これも中学生の課題図書のような軽さがあり、シンプルなんだけど、シンプルだからこそ真っ直ぐに伝わるものがあって、読みやすくて、子どもっぽいところが、作品とすごくマッチしていた。幼稚園に職場体験に行くことになった中学生が、子どもとの触れ合いを通じて成長していく、というわけではない。成長というよりは子どもとの触れ合いを描く場面で、様々な角度からこの主人公を描いていって、いわゆる画一的な生徒評価のようなものが少しずつ覆っていく爽快さが良かった。でも、実際こういうことは本当によくある。自分がいかに限られた視点でしか子どもを見ていないかが痛感させられるような。だから、学校行事は授業を削ってでもやる価値があるんだろうな。

  • ★2020年度課題図書(中学生)

    『エンジェル保育園』って?
    中学2年生の斗羽風汰は、5日間の職場体験の希望先に保育園を選ぶ。
    子どもとあそんでればいいってこと?
    そんな風汰の思惑とは裏腹に、子どもはうるさいし、汚いしで、大変!

    前半はつまらなかった~。
    いくら勉強が苦手という設定と言っても、職業体験先の大人に「はい」ではなく「うん」って答える中2はいるかね?と思ってしまったし、そもそも保育園実習なんてどう考えても大変そうだろう…と思いながら読んだ。
    話の展開としては考えうる王道で、それを期待しての購入でもあったが、前半の展開が遅く感じられてだるかった。
    命を預かるということについて対比させたかったのだろうが、職業体験に行くジャストのタイミングで捨て犬を拾ってくるという設定も、どうも設定ぽいというか蛇足に感じられ、そこは保育園の体験のみで語ってもよいのではないかと思った。
    が、マーくん先輩(だったか?)の存在はなかなか面白く、おそらく高2だろう彼が年寄り見回り隊に参加している理由なども納得がいくもので、犬の存在とは違い、お年寄りにフォーカスする彼の存在については視点が広げられてよいと思った。

    途中から、しおんくんの描写が増えてきてからは、しおんくんを中心に話に惹きつけられた。しおんくんのようなケースは程度の差はあれ、どこにでもありそうな故に唐突さもなく、そして実際にエスカレートして事件化するケースも少なからずあるので、真摯な気持ちで見守ることとなった。しおんくんのケースが虐待か否かというところも大げさに書かれてはおらず、実際の保育や周囲の対応の難しさも伺える。(しかし夜中に外に出ているのは虐待と言えるだろうな…)
    しおんくんが風汰になついている様が本当に可愛くて、幸せになってほしいなと思った。

    お昼寝の時間に、一人だけ園長先生の膝の上で読み聞かせをしてもらうしおんくんについて、
    「平等って全員に同じことをしてあげることじゃないと思うの。一人ひとり、その子にとって本当に必要なことをしてあげる。それでいいと思うのよ。」
    とこたえる園長先生の言葉に思わずうるっとしてしまった。
    本当にそうだ。でも、「一人ひとり、その子にとって本当に必要なこと」を正しく見抜くのは難しく、どうすれば正解なのか迷ってしまうこともあるのではないか。
    保育士や教師がこんなふうに、一人ひとりに心を砕いてあげられる現場は理想だ。

    職場体験後に体験先から返される職場体験・評価表に、
    『斗羽風汰君の評価は、上記にあるような項目ではうまくお伝え出来ません。』
    という文言とともに、風汰が見た年中組の子どもたちの絵が送られてくるシーンは泣けた。みんな風汰と子どもたちが楽しく遊んでいる絵を描いている。
    やっぱりこの園長先生はすごい。
    そして絵の中で、担任に「前髪が長すぎるから切れ」と言われていたのに、切らずにちょんまげに結って職場体験をしていた風汰の姿が描かれ、ちょんまげがバレて担任に怒られるというラストまでの流れがきれいだ。

    話の展開としては読めるし目新しい感じはしなかったが、最後に泣かされたので☆4になりました。

  • 2020年度課題図書(中学生)

    中学2年生の斗羽風汰(とばふうた)は、5日間の職場体験に『エンジェル保育園』へ。

    だいたい中2なんてこんなものとは思うけど、意外に根が悪くないふうたは子どもになじんでいく。しかしまあ、この短期間だし、迎える子どもたちの方もうよい子が多い。これはひとえに園長先生の性格が反映されているからなのか・・・
    現代の保育園がそのまま反映されているのかどうかはわからない。ひとり、しおんくんがどの程度の家庭環境なのか、はっきりわからないままも不安にさせる設定だったので、そこのとっかかりはよかった。
    園長先生の言葉通りだと思う。
    「平等って全員に同じことをしてあげることじゃないと思うの。一人ひとり、その子にとって本当に必要なことをしてあげる。それでいいと思うのよ。」

    5日間だけのことで彼の今後の人生がどのように変わるかわからないけれども、彼は気づける人になってくれる予感があってよかった。

    さて、中学生はこれをどう読むのか

  • 良かった。
    ラストは涙がぐっと込み上げてきた。
    主人公の最初とラストの変化が眩しい。
    天使のにもつというタイトルがまたいいなあ。
    荷物は命の重みなのかなあ。

  • 「エンジェル保育園」に職場体験に行くことにした中学2年生の斗羽風汰

    「保育園って、おまえが?」
    「大丈夫っす。オレ、親戚のおばさんに、五歳児と考えること一緒だって言われたし」

    心配する担任をよそに、態度も言葉づかいも長い前髪もそのままに、風汰の5日間の職場体験が始まる

    西本園長にあたたかく迎え入れられた風汰は、四歳児担任の林田に教えられながら、仕事・保育・親子関係……の難しさ、たいへんさ、おもしろさにすこしずつ気づいていく

    「お疲れさま。五日間、どうだった?」
    「みんなすげーって思った」

    拾った子犬とまーくんセンパイがスパイスに効いている中学生の等身大の物語

    《成長物語という大それたものではないけれど、風汰自身に「気づき」はあったのかな、と思います》──著者特別インタビュー

    『日本児童文学』2017年1-2月号から11-12月号の連載に加筆、2019年2月刊

  • 中学2年の斗羽風汰が保育園に職場体験に行く話。無邪気な子どもたちの中で、一人様子の気になる男の子、しおんくんがいた。いつも笑顔の裏に寂しさを感じる。母親との関係がうまくいってないようだ。しおんくんと関わる中で、風汰も成長していく。子どもはどんなに怒られても、親に嫌われることなんてないってわかってるから、なんでもできる。その言葉に私自身もハッとさせられた。
    捨て犬を拾って、隠れて飼って、病気にさせてしまった話としおんくんの話が少しリンクする。何が正しくて、何が優しさなのか考えさせられた。

  • 読みやすい
    保育園〜

  • 2020/12/14

    913.6||イト (3階日本の小説類)

    ちょっと頼りなく、いいかげんな、中学2年の斗羽風汰が、幼稚園に職場体験に行く。
    そこで、子育てが苦手で虐待気味の親子、幼稚園の先生の苦労、子どものかわいさなどを経験する。
    風汰は頼りないけれど、心は温かく優しいところがある。毎日苦労しながら成長してい姿を見てください。

  • 児童書
    だから
    とても読みやすい
    一見いい加減な風汰
    やさしさに共感
    いいなあ
    保育園児 捨て犬
    ありきたりといえばそうだけど

    こんな本 中学生に読んでほしいなあ

    ≪ 天使にも 重い荷物が あるんだね ≫

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著者プロフィール

いとうみく 神奈川県うまれ。『糸子の体重計』(童心社)で日本児童文学者協会新人賞を、『空へ』(小峰書店)で日本児童文芸家協会賞を受賞。『二日月』(そうえん社)、『チキン!』(文研出版)が青少年読書感想文全国コンクールの課題図書に選ばれた。著書に『かあちゃん取扱説明書』(童心社)、『おねえちゃんって、もうたいへん』をはじめとする「おねえちゃんって、」シリーズ(岩崎書店)など。2020年『朔と新』(講談社)で第58回野間児童文芸賞を受賞。

「2021年 『つくしちゃんとおねえちゃん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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