新版 科学者の目

  • 童心社 (2019年7月18日発売)
3.94
  • (6)
  • (6)
  • (5)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 200
感想 : 14
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (199ページ) / ISBN・EAN: 9784494020577

作品紹介・あらすじ

科学技術史に偉大な足跡をのこした41人の発想や着眼点のユニークさを、工学博士・技術士としての視点からわかりやすく描いた人物伝。1979年刊行の本書は、子どもたちに科学への興味と科学者への憧れを抱かせる本として、多くの読者の心に残る作品でした。巻末の科学技術史略年表を更新し、鈴木万里さん(加古総合研究所)のあとがきを掲載して待望の復刊です。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 加古里子氏による、文明の発展に寄与した科学者や技術者などの伝記集です。
    朝日新聞日曜版に掲載されていた記事を書籍化したもので、1人あたり3〜5ページの一気に読める短編伝記といった構成です。
    しかし流石は加古里子氏、短い中に大変な情報量かつユーモア溢れる筆致で読者を魅了します。
    東西の科学者が何を目で見て耳で聞き、何を感じ考えてきたのか。
    知的好奇心だけではなく、人としての器や絶え間なく努力する姿勢から天才は生まれるのだなと考えさせられました。

  • かこさとしさんが一九六九年十一月から約一年ほど朝日新聞日曜版の子ども欄に連載していた、四十一人の科学者の伝記集。
    このかこさとしの語る伝記はやっぱりかこさとしが語っているところに意味があって、想定読者である少年少女たちに向かって「君たちも考えてみてくれたまえ」などと語りかけてくる調子もすてきだし、対象の科学者たちのことを無駄にまつりあげたり、変に感動物語にしたてあげたりすることをせずに、冷静に、成し遂げた業績や伝わっている人となりを紹介する姿勢は、よくある子ども向けの偉人伝記まんがとはひと味違う(もちろんあれはあれでわかりやすくて勉強になるけれど)。

  •  科学に功績を残した人たちの伝記。1人につき数ページの超短編。「目」というのは科学者の持っていた目のつけどころや、眼差し(?)のこと。近代科学者の有名どころは一通り網羅され、あまり知られていない東洋の科学者や数学者も登場する。
     小学生向けの読み聞かせなどには大変おすすめだが、わくわくするような面白さがあるとか、知的好奇心が刺激されるとかいうことはなく、また読み返したいかと言われるとそうでもないというのが正直な感想。
     

  • 技術者であるかこさとしさんが、これまでの科学技術を発展させた人たちの生涯、科学への眼差しを、1人あたりほんの見開き4ページほどで語り尽くす。

    少年少女向けの本だが、大人が読んでもためになる本質を学べる。

    読んでいて共通するのは、どの科学者も、まだ見えない何か(物質、法則、方法)を、見つけようと探していたことだ。
    彼らは結果的には粘り強かった、と評されるのだろうが、彼らの頭の中には、すでにそれがあったので、きっと辛くも楽しい山頂までの道のりだったのではないか。

    もう一つ、この本が感じさせるのは、かこさとしさん自身が子供達へ向ける、優しい導きの眼差しだ。それは、人類を進歩させる導きの杖だ。

  • 『#科学者の目』

    ほぼ日書評 Day656

    ナウマン象の名付け親って、ご存知だろうか?
    エドムント・ナウマン氏、明治8年に来日した所謂「明治政府のお抱え学者」さんなのだが、東京開成学校でも教鞭を取られていたという。
    そして、ナウマン象の「発見」もさりながら、日本を旅する中で、最初に「フォッサ・マグナ」に関する論文を出された方でもある。

    そんな偉人たちの業績を、「絵本作家」として知られる"かこさとし"さんが、1969年末から1年間、新聞日曜版のコラムで青少年向けとして連載したものをまとめた一冊。ただ、子供向けと侮るなかれ。「絵本作家」であると同時に、工学博士でもあった著者が持つ、学識と表現力が遺憾なく発揮される内容となっている。

    本題からは逸れるが、その当時、「ハイジャック」という言葉がまだ無かった(日本では一般的でなかった)らしく、連載中に起きた「よど号事件」(これ自体、今日では解説を要するのかもしれないが)の犯人たちを「空賊」(山賊、海賊になぞらえて)と呼んでいる等、時折、時代を感じさせる表現もあるが、やはり本質をつく文章の寿命の長いことをあらためて感じさせられる一冊だ。

    にしても、メンデル、アボカドロといった、中学教科書にも名前が乗るであろう大家が、存命中は、その功績が認められていなかったとは、恥ずかしながら、本書を読んで初めて得た知見である。

    https://amzn.to/3DEUqNT

  • コペルニクス、パスツール、ノーベル、メンデル、エジソン…そんな科学の偉人たちの仕事や生涯、そしてどんな「目」を持って世界を見つめていたかを、子供にもわかりやすく解説してくれる一冊です。著者は、かがく絵本でおなじみの絵本作家・かこさとしさん。きっと科学が好きになってしまうような本です。

  • 九州産業大学図書館 蔵書検索(OPAC)へ↓
    https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/1334716

  • 大人が読んでもおもしろい。
    って当たり前の話で、子どもの方が本当におもしろいものを見抜く目っていうのは鋭いもんな。
    だから子どもを相手にし続け、かつ子どもを対象に書かれたこのかこさとし氏のエッセイを大人が読んでおもしろいのは当たり前なのである。

    ぜひ子どものうちに出会いたい本だと思う。

  • 「人物伝」と「絵本作家」「児童文学」つながり。
    内容:絵本作家・児童文学者である、かこさとしさんは、工学博士・技術士でもある。科学技術史に偉大な足跡をのこした41人の発想や着眼点のユニークさを、工学博士・技術士としての視点からわかりやすく描いた人物伝。

  • サラリーマン時代の’64に朝日新聞児童面に毎週連載。イラストも筆者。児童相手でも手抜きせず、二千字の最大限で功績を伝え人間的魅力に迫る。ハーシェルはドイツから兄妹で移住してきた音楽屋だったが、手製の反射望遠鏡で数々の発見、なかんずく新惑星天王星を発見、貴族に叙せられた…ほか英国がパックスブリテン=名誉ある孤立を揚言した19世紀以降で多く米国は20世紀後半/ガリレイやラボアジエやニュートンなど最重要が外れているが、20世紀代表のアインシュタインで締めくくり「1945核実験に成功」と非人道的虐殺にふれない見識

  • 2019.12.16

全11件中 1 - 11件を表示

著者プロフィール

加古里子 1926年、福井県生まれ。東京大学工学部卒業後、民間会社の研究所に勤務しながら、セツルメント福祉運動、生活文化活動に従事。退職後、東京大学、東京都立大学、横浜国立大学等で児童文化教育論、児童行動論を講義。この間、絵本・紙芝居・物語等の創作と著述を行い、伝承遊びの調査研究を行った。絵本には、『かわ』『ゆきのひ』『とこちゃんは どこ』『マトリョーシカちゃん』『あなたのいえ わたしのいえ』『ことばの べんきょう(全4巻)』『海』『地球』『宇宙』『人間』、著書に『加古里子 絵本への道』(以上、福音館書店)『伝承遊び考(全4巻)』(小峰書店)等がある。工学博士、技術士(化学)。2018年没。

「2018年 『だんめんず』 で使われていた紹介文から引用しています。」

加古里子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×