カラスのいいぶん: 人と生きることをえらんだ鳥 (ノンフィクション・生きものって、おもしろい!)

著者 :
  • 童心社
3.69
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本棚登録 : 425
感想 : 57
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  • Amazon.co.jp ・本 (133ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784494020683

作品紹介・あらすじ

みぢかな鳥、そしてきらわれものの、カラス。ごみをちらかす、黒くて不吉、大きくてこわい……など、わるいイメージばかりだけれど、本当はどんな鳥なのでしょう?
もともとは森でくらしていたカラス。人の出すゴミにひきよせられて街へとおりてきました。しかし、街のくらしも楽ではありません。なわばりあらそいのきびしさ、子育ての苦労など、いがいと知られていないカラスの生活をほりさげます!カラスを愛する著者が語るノンフィクション。
本作は、著者の嶋田泰子さんが、家の庭にくるカラスたちに興味を持ち、観察日記をつけたことが出発点です。普段は気にもとめないくらい身近な鳥、カラス。でもよくよく調べてみると、驚くほど多彩な表情を見せてくれるのです。この本を読めば、ゴミをちらかす嫌われもののイメージが変わります! 

感想・レビュー・書評

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  • 2021年青少年読書感想文全国コンクール課題図書中学年の部の課題本のなかの1冊。
    https://booksabe.web.fc2.com/campaign_2021_zenkoku_kadaitosyo.html
    著者が、共同購入した卵をカラスに盗まれていたことから、「カラスこのやろー、でもまずはあいつらのことを調べてみよう」と思って家に来るカラスを観察した記録。

    レビューの前に…この本横書きです。
    人によっては読みやすいのかな。
    しかし私は、仕事の文章やネットの文、絵本などはもちろん横書きなんだけど(ブクログレビューも横書きだしね)、自分が読む本は縦書きでないとイマイチ頭に入らないのよ…。ながい横書き絵本もちょっと苦手。この本もちょっと読みづらかった。


    閑話休題。
    観察の対象になったのは、自分の庭に来る常連カラスさんたち。見ているうちに一羽一羽区別が付き、名前もつけた。なかでも著者に一番近い関係となったのは、一番艶が良く元気で好奇心も強いクロスケ。このクロスケを通して、カラスの一日のスケジュール、年間スケジュール、巣作りや縄張り争いの様子を伺い知れる。

    カラスは頭が良いと言われるが、実際に脳の容量が大きく、人間の8歳児くらいの知能はあるのではないか、と言われているのだそうだ。
    その頭の良さは、餌を隠しておいたり、くるみを車に割らせたり、犬の餌を横取りしたりというところで出ている。
    さらにカラスは遊びを行うらしい。著者が見たのは、30センチくらいのトイレットペーパーを数羽のカラスがひらひら〜ってさせながら飛んでいる姿や、乾いたカエルの死骸を引っ張って音を出して楽しんでいる様子。そして著者の常連であるクロスケなどはそんな遊びを見せに来たらしい。

    なお、クロスケたちは都会で見られるハシブトガラス。それに対して畑や川などにいるのはハシボソガラス。もともとヤタガラスは神の遣いとして崇められていた。それが題名のように「人と生きることを選んだ」のだが、それは人間が自然開発をしたため餌のある街で生きるようになったということ。だがゴミを漁ったり人を襲ったりして駆逐対象にもなる。
    著者はカラスが人を襲うのは、巣を壊されて卵や雛を殺されたためや、行く先に巣があって守ろうとするときだけだ、闇雲に襲ったりはしない!と声を大にして訴えているのだが…、
    しかし私カラスにキックされたことがあります。私としてはいつもの道を普通に自転車漕いでいたらいきなり頭にショックが。え?と思って上を見たらカラスが飛び去ってゆくところだった。どうやら電線に止まっていたカラスが足で私の頭をキックというか私の頭を足で掴んでから、また電線に戻るところだったっぽい。帽子をかぶっていたので無傷ですが、帽子に何かついていたわけでもないし、他にも人いたし(私がキョロキョロしていたら、たまたま目撃した人もびっくりした顔で私を見てました)、私が行く先は大通りだったのでカラスが守ろうとした巣があったとも思えない。カラスはなぜ私を狙ったのだろう?(なお、家に帰って家族に「カラスにキックされちゃった。別に私なにもしてないし、他にも人いたんだけどなあ」と言ったら、次男が「きっと行こうとした先が危ないってカラスが教えてくれたんだよ!」とフォローしてくれました/笑)

    人間の近くには多くの動物がいる。人間に取っ手の迷惑行動もそれは「いいぶん」がある。闇雲に害扱いでなく相手の「いいぶん」を聞いて共存できるのだろうか。(でも蚊や蝿やゴキの「いいぶん」は聞きませんよー。。)

  • 世の中にはカラスが嫌いな人が多いことに改めて気付かされた。著者の嶋田泰子さんも、そのお一人。
    「カラスごときに負けたくない、ギャフンと言わせ、人間を見くびってはいけないと知らせたい」と。
    鳥類、カラスも好きな私には導入から入っていけない。
    そんな著者も観察を続けているうちにカラスの魅力に惹かれていくのだが。
    そう、そう、カラスって賢くてかわいいんだよ。

    それにしても、ビーフジャーキーで餌付けをする観察はいかがなものか…。

    2021年課題図書小学中学年に選定された本作、子どもたちからどんな感想が出てくるのか楽しみです。

  •  私もカラスが大好き。特に巣立ったばかりのカラスの若者が好奇心いっぱいにフラフラしとるのを見ると、なんか嬉しくなってしまう。今日も日暮れてるのにカアカア鳴き交わしてたので、「夜更かしせんとハヨ寝えや!」とココロの中でつぶやいてました。

     嶋田さんがお家の近くに暮らすハシブトガラスを観察したノンフィクションです。
     ハシブトガラスがくるみ割りをしていたとのこと。ビックリ!環境と条件で、何でも出来るのかもですね。

    ・子どもが身近な自然を観察するきっかけになるように思いました。
    ・カラスを好きになる子もきっと!
    ・岡本さんの描くカラスが写実的なのにユーモラス。
     
     1つだけ。お家が縄張り内ということ、個体を近くで観察したいということもあったのだと思いますが、人の食べ物で餌をやってはいけなかったのでは…と。味を覚えてしまいますし、人がくれると学習してしまうし、何より鳥の体に悪い。
     博物館員さんに、ごはんも、炊く前の米粒はよいけど、炊いた後のご飯粒は鳥には栄養過多であると教えてもらったような記憶が。
     また、いろいろ調べたいと思いました。

  • 課題図書です。
    夏休みも終わり落ち着いたので、やっと読めました。
    内容はとても面白いノンフィクションです。
    カラスの生態がわかり、そうなんだーと思う内容で、作者は専門家ではない、と言ってますが、なかなかの観察眼です。
    カラスの餌付けまでできるとは…
    そして、最後は少し寂しいカラスとの別れ。そして、SDGsにもつながるのかな、と思いました。

  • 期待外れだった。
    理由の1つは、このカラスの物語の舞台の具体的な地名が書かれていないこと。カラスの生態は日本国内でも地方によって違う。東京近郊が舞台だと推測されるが、私が住む関西ではたぶん、この本に書かれたカラスの生態と若干異なる様子が見られると思う。
    そして最大の理由は、この本をよく読むと「カラスのいいぶん」ではなくて、それらしくしつらえられた「著者(=人間)のいいぶん」としか読めなかったこと。

    カラスの生態を観察するという大義名分で、犬のエサがカラスに奪われるのを“黙認”し、あげくにはビーフジャーキーで餌付け。確かに本文ではまるでアリバイ工作のように「野鳥の餌付けは法律で禁止」と著者は書いている。けれども著者自身は原則をわかっているつもりでも、予備知識のない小学生の読者は、ビーフジャーキーをカラスを呼び寄せる程度に使うのならば別に悪くない、と思いこんでしまうだろう。その考えがシジュウカラなどの野鳥や猛禽類に拡大解釈されてしまっても後の祭りだ。

    それと、元は森を住みかとしていたカラスが都会に住むようになったという著者の言説も違和感がある。逆ではないか?人間に住みかである森を侵食されたから、ある意味仕方なく都会に住み始めると、天敵もいないしエサは意外とあるし…という結果オーライに過ぎない。著者自身が自然に囲まれたところに住むのを求めることが、カラスの本来の生活圏に(土足のまま)侵入しているのと表裏一体という自覚がないのだろうか?
    そしてもし、人間が出す食べ残しなどがカラスのエサになるなど、人間の存在がカラスの生存にプラスになっているのだからそれこそ結果オーライではないか、と考えているならば、カラスの野性を無視しペット同然に人間の庇護下に置こうとする傲慢な発想だと思うがどうだろうか?

    さらに、東京都が進めてきたカラスの駆除についても著者は一方的に「いかがなものか」という主張をしているが、それにも疑問を投げかけたい。確かに個体のみに注目すると、生命を奪うこと以外のやり方はなかったのかと思うのは道理。しかし野生生物を考えるうえで大事なのは「生態系」という概念だ。生態系から見てある個体の数が過剰になった場合、通常だと自然の力で調整されるが、自然は複雑な関係性で成り立っているのでバランスを崩しやすい。本来自然が行う「調整」を、人間が「駆除」という形で行うことを一面的な観点で一括りに否定する人間には、偽善者の臭いを強く感じざるを得ない。

    スペクトルマンに「ダストマン」という怪獣が出てくるエピソードがあった。
    ダンプ運転手が宇宙猿人によって怪獣に姿をかえられた。ダストマンはゴミを食料として、ゴミがあれば際限なく食べ続け、体がどんどん巨大化していく。つまり、人間がゴミを出し続ける限り巨大化は自分では止められないのだ。ダストマンは目の前に現れたスペクトルマンに向かって叫んだ-「たのむ、おれを殺してくれ」と。
    元人間のダストマンは本音では死にたくないのだ。しかし正反対のことを言う自分も真である。どちらも真というドストエフスキーの小説でよくある二律背反性というテーマを、ダストマンは示していると思っている(笑い)。

    それはさておき、こう言えば、カラスは自分を殺してくれなんて一言も言っていないと反論されるかもしれない。だがそもそも論として、カラスが何をどう考えているかなんて著者も誰もわからない(著者の書いた内容は著者の憶測でしかない)のだし、カラスの思考内容をあれこれ思い巡らすこと自体が、野生生物の生存本能を人間の大脳による思考と同列視した意味のない議論でしかない。

    最後に強調しておくが、カラスは人間と共存しているのではない。カラスが住む生態系に人間が一部としてたまたま加わっているだけ。つまりカラスは自然全体と共存しているということ。
    そこをはき違えているとしか思えない本書が生物・環境の図書として推薦されている状況を憂う。

  • おれも、カラスはきらいだったけど、この本を読んで、カラスのことをおうえんしたくなった。
    カラスは、ゴミ置き場をあらすから、おばあちゃんが大変になるし、ゴミをあさるからきたない。目を合わせるとなんかされそうだと思っていた。
    でも、カラスが、人間がパッと見ただけじゃわからないところでがんばって生きてたのがわかった。
    カラスがゴミをあさるのは、食べ物をさがすためだけど、それは人間のせいで森林が少なくなって、町に出てきたから。きたないのは、生きるためだからしょうがない。
    人間はカラスをつかまえたりすをこわしたりするから、ふんを落とされたりひどい目にあわされたりするんだ。カラスのせいにするのはひどい。
    本に出てくるカラスはみんなかわいい。とくに、クロスケはかわいいし、がんばってひなを守るのがかっこいい。
    カラスもカラスによってせいかくがちがうし、いっしょうけんめい生きてるんだなって思った。よく見たことがなかったのに、いやだなって思ってたのが、カラスに悪かった。
    すっごいおもしろい本だから、みんなに読んでほしい。(小4)

  • カラス大好き!
    …黒いからだけど……
    カラスについて研究した作者。
    だんだん大嫌いなカラスに親近感がわいてきます。
    この姿勢を見習おう…

  • よく見るカラスについてわかった。日本にいるカラスの特徴などよく知れてよかった。カラスが嫌いな人でも、この本を読むとカラスは、どんな鳥かが、分かると思う‼︎
    カラスについてもっと知りたいなど、興味を持てました!

  • 2021年青少年読書感想文全国コンクール課題図書
      小学校中学年の部

    私実は課題図書が好き
    図書館予約したくてうずうずするけれど、感想文書くために借りる子供たちの邪魔をしてはいけないと、ぐっと我慢
    夏休みが終わってから予約する

    でも、この本はなんか気になって買ってしまった
    正解だったね
    カラスは嫌い
    鳴き声も色も「不吉」って教えられて育ったせいか

    でもでも、人間の勝手だよねえ
    彼らは生きるために必死
    そのかしこい頭脳を使って智恵を働かせて、懸命に生き、子育てしている
    まあ熊も猪も猿もみんなみんな人間の勝手に翻弄されてるけれど

    研究者ではない方の著作なのでとても読みやすかった
    ちょっと見る目が変わったような

    子どもたちがすてきな読書感想文が書けるといいな

    ≪ 人と生き 工夫重ねる カラスたち ≫

  • 2021年中学年課題図書。カラスは他の鳥より脳が重くて頭がいい。人間の生活をちゃんと見てて自分の生活に取り入れる。なるほどなるほど。カラスすごいなぁ。横書きで読みやすいが、3,4年生だよね、図とか表とかあっても良かったかなぁ。絵は多いからわかりやすいか。でもさ、カラスがすごいって本は案外出てるじゃん?メジロとかトンビとか、シジュウカラとか、案外近くなのに知らない鳥が良かったのは個人の感想(笑)

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著者プロフィール

しまだ・やすこ:生物・環境などをテーマとした出版物の企画・編集・執筆に携わる。編集した作品に『ブナの森は緑のダム』(あかね書房)「地球ふしぎはっけんシリーズ」(ポプラ社)など。著作に『車いすからこんにちは』(あかね書房)「いっしょがいいな 障がいの絵本」『さかなだって ねむるんです』『やさいの花』(以上ポプラ社)「いきもの みーつけた」(童心社)などがある。

「2020年 『カラスのいいぶん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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