万葉のうた (若い人の絵本)

  • 童心社 (1970年6月30日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (96ページ) / ISBN・EAN: 9784494021086

感想・レビュー・書評

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  • 買ってから20年ぶりくらいに再読しました。いや~古典っていいですね。選ばれた歌が心にしみるものばかり。いわさきイラスト・・・だめと言う方もあるようですが私は結構この万葉人の絵は好きですよ。

  • ◼️ 大原富枝 岩崎ちひろ 「万葉のうた」

    遠い万葉の世界を描くちひろは、絵が楽しそうだ。

    兵庫・明石の岩崎ちひろ展に行って読みたくなった。万葉集歌と解説が掲載され、岩崎ちひろが挿絵を描いている。子どもの絵ではなく飛鳥・奈良時代の男女の面影をちひろ風に。

    あかねさす紫野行き標野行き
    野守は見ずや君が袖ふる

    中大兄皇子、のちの天智天皇と大海人皇子、壬申の乱の勝者で後の天武天皇の2人に愛された才女・額田王。かつての恋人、大海人が袖を振るのを見てまあそんな人目についたらどうするの、と詠んで伝えるも嬉しそうで、物慣れたチャーミングさがにじみ出る。ちひろの額田は明るく少女の面影を残した大人の女性。イメージよりも意外な柔らかさ、可愛さがある。

    わが背子を大和へやると小夜更けて
    暁露にわが立ち濡れし  大伯皇女

    持統天皇の一人息子である草壁皇子をめぐり陰謀の犠牲となった大津皇子。は姉で伊勢神宮の斎宮いつきのみや・大伯皇女おおくのひめみこへ会いに伊勢まで来て今生の別れを惜しみ、大和へ帰った。悲劇の運命を悟った弟を想う姉、皇室を代表する斎宮の姿絵は冷たくおぼろで寂しげだ。対して、恋人の石川郎女(ちなみに草壁皇子との恋の歌もあるとか)の絵は、いかにも胸に恋の華やぐ想いを秘める乙女、といった感じだ。

    人言を繁み言痛み己が世に
    未だ渡らぬ朝川渡る

    秋の田の穂向の寄れること寄りに
    君に寄りなな言痛たかりとも

    両方の歌を詠んだ天武天皇の皇女・但馬皇女は異母兄の高市皇子の妃でありながら、やはり異母兄の穂積皇子と恋仲となり、女性の方から逢いに行くという、当時としてはありえない行動に出て朝帰りする。

    永井路子さんの歴史小説や解説書はだいぶ読み込んだ。「裸足の皇女」という秀逸な短編集で但馬皇女と穂積皇子の恋が小説化してある。私はこの歌の「君に寄りなな」が語感も含め気に入っている。朝もやの中裾をからげて川を渡る但馬皇女の姿は、スリムでどこか現代的、表情はシンプル。絵は全部白黒だけど、白の使い方が私的に好ましいちひろらしい筆遣いかな、など思う。

    わたつみの豊旗雲に入り日さし
    今夜の月夜清明けくこそ 天武天皇

    春過ぎて夏来るらし白栲の
    衣乾したり天の香具山  持統天皇

    言わずと知れた天皇夫婦。近鉄で飛鳥駅へ、そこからレンタサイクルで歴史の地を巡るのは数年に一度行く楽しみ。飛鳥浄御原宮や蘇我氏の墓とも言われる石舞台古墳、高松塚古墳、蘇我氏の屋敷があったという甘樫丘。時が悠然と流れている気を吸い込む。また、持統天皇の時移った藤原宮跡は大和八木駅からバスで行く。秋には広い敷地一面に秋桜が咲いて、耳成山、畝傍山、そして香具山の大和三山に囲まれている。遠い遠い時代に浸る。

    著名な皇族も、大伴旅人や沙弥満誓の筑紫歌壇、選者と言われる大伴家持、山上憶良、柿本人麿、山部赤人、さらには東歌。そのますらおぶり、太古のロマン。万葉集は定期的に摂取すべしやね。

    ちひろはそらで口ずさめるほど万葉集好きだったという。やはりその手は楽しそうに思える。

  • 2021年 27冊目

    万葉集の歌は平安以降のそれと比べて、技巧的でなく当時の人々の「肉声」と呼ぶに相応しい。息吹きが伝わる感じが好きです。

  • 古文苦手だったのであんまり読みとれず苦労しました。。

    心の様子も風景の様子も素朴で自然で、おだやかな時間が流れていました。
    切ない歌が印象に残ります。

  • 八世紀
    恋のうた 中臣朝臣宅守 なかとみのあそやかもり
                島流し
                愛しと我が思ふ妹を山川を 中に隔りて安けくもなし
                うるわしとあがもふいもをやまかわを なかにへだりてやすけくもなし
         狭野弟上娘子 さののおとがみのおとめ
                上の人の妻
                君が行く道の長手を繰り畳ね 焼き滅ぼさむ天の火もがも
                きみがいくみちのながてをくりたたね やきほろぼさむあまのひもがも

  • 人の気持ちって大昔も今も変わらないと思わせてくれます。

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著者プロフィール

1912年高知県生まれ。高知女子師範中退。昭和32年『ストマイつんぼ』で女流文学者賞受賞。『椀という女』(毎日出版文化賞、野間文芸賞)、『於雪ー土佐一条家の崩壊』(女流文学賞)等。平成12年1月没。

「2022年 『草を褥に 小説牧野富太郎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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