赤い蝋燭と人魚 (若い人の絵本)

著者 :
  • 童心社
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本棚登録 : 106
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (53ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784494021178

感想・レビュー・書評

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  • オーディオブックで家事をしながら聞いた。人魚がかわいそうで悲しくて胸が詰まった。人間はなんて欲深く愚かなんだろう。昔、持っていたいわさきちひろさんの絵本の中の女の子の黒い瞳を思い出していた。女の子は海に帰って幸せになったのだろうか?母親の仕返しのところで終わっているので怖いままだ。だから、ずっと心に残っているのかもしれない。

  •  小川未明は少女趣味という酷評を刷り込まれていたけれど素晴らしいと思った。
    一目で「いわさきちひろ」とわかる挿絵の美しさとはかなさ。透明感に触発されて、この人魚の物語は欧物語の再話なのかと思いきや日本海を舞台の創作だった。挿絵の少女も着物を着ているけれど幻想的で無国籍な物語と感じた。人はどうしても大きいもの、財力のあるもの、名声に左右されてしまう。人知れず力を尽くした人のことに気づかず忘れてしまう。少女がいなくても地道に暮らしてきた人でさえその心を忘れてしまう。魚やけだものよりも人情があってやさしいはずの人間は愚かで流されやすい。そのことが私の胸の真ん中にズキンとメスを入れる。

  • 誰しもが持っている心の弱さや欲深さ、人間が外道に落ちる呆気なさが生々しく描かれた作品。
    人魚の母の思いとは裏腹に壮絶な人生を歩む娘には心が締め付けられました。
    桃太郎の鬼のような明確な「悪」は存在せず、何の変哲もない普通の人間が欲にまみれ、途端に人の道を踏み外すところに唖然とし、同時に自分の中に潜む心の弱さをも認識して恐怖を感じました。
    序盤で善良な人間として描かれていた老夫婦が欲望に呑み込まれる姿には寒気すら覚えるほどです。

  • 人間はきっと、魚よりけだものより人情深いに違いない…北方の海の人魚は、そう信じて人間の住む町に子供を産み落とす。蝋燭をあきなっている老夫婦に拾われた人魚の娘は美しくかしこく育っていくのだったが…。美しくも悲しい人魚の娘の物語といわさきちひろさんの絵がとても合っていて、深く感動しました。この作品がいわさきちひろさんの遺作であったことをはじめて知りました。蝋燭に赤い絵の具で絵を黙々と描く人魚の娘の姿と、病の痛みに耐えながら物語の世界を描いているいわさきちひろさんの姿が重なって、より美しさと悲しさが感じられるようでもありました。それにしても人間とはなんと欲に弱いのでしょうか。ささやかながらも幸せな日々を大切にしていくことは出来なかったのでしょうか。人間の欲望は青く荒れ狂う北方の海よりも深くて恐ろしいのかもしれません。
    この作品を読んで小川未明が日本のアンデルセンと言われる理由がわかる気がしました。

  • 鉛筆で描かれたいわさきちひろさんの絵も、駒子さんのと同じように小川未明の作品とマッチしていました。

  • 小学生のときに読んだきりだったのを、青空文庫アプリをとった機会に再読。心変わりの怖ろしさ。赤い蝋燭を見てみたくてしょうがなかったのを思い出した。

  • カテゴリに悩む一冊です。
    作家は皆さんご存知の小川未明ですが、この本に限っては「いわさきちひろ」の絵に惹かれ購入したからです。
    しかも未完のまま遺作となってしまったにも関わらず発行されたという曰くものです。
    病魔と闘いながらも最後まで筆を折らなかったちひろさんの気持ちが絵から伝わってくる一冊です。

  • 物語の「人魚」といえば、大概はネズミー小・人魚らへんなんじゃないかと思うが、私にとってはこれだった。囲われモノでも、愛されてれば幸せなのに。それ以上何も求めてなんかいなかったのに。

  • いわさきちひろの未完の遺作。
    この画家の描く少女のきゅっと上がった目尻がとても好きです。
    いろんな意味で大切な一冊となりました。

  • いわさきさんのカラーが見たかった・・・。文章がキレイ。

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著者プロフィール

明治・昭和時代の小説家・児童文学作家。新潟県出身。「日本児童文学の父」と呼ばれ、『赤い蝋燭と人魚』『金の輪』などの名作を多数創作。

「2018年 『注文の多い料理店/野ばら』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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