- Amazon.co.jp ・本 (53ページ)
- / ISBN・EAN: 9784494021178
感想・レビュー・書評
-
誰しもが持っている心の弱さや欲深さ、人間が外道に落ちる呆気なさが生々しく描かれた作品。
人魚の母の思いとは裏腹に壮絶な人生を歩む娘には心が締め付けられました。
桃太郎の鬼のような明確な「悪」は存在せず、何の変哲もない普通の人間が欲にまみれ、途端に人の道を踏み外すところに唖然とし、同時に自分の中に潜む心の弱さをも認識して恐怖を感じました。
序盤で善良な人間として描かれていた老夫婦が欲望に呑み込まれる姿には寒気すら覚えるほどです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人間はきっと、魚よりけだものより人情深いに違いない…北方の海の人魚は、そう信じて人間の住む町に子供を産み落とす。蝋燭をあきなっている老夫婦に拾われた人魚の娘は美しくかしこく育っていくのだったが…。美しくも悲しい人魚の娘の物語といわさきちひろさんの絵がとても合っていて、深く感動しました。この作品がいわさきちひろさんの遺作であったことをはじめて知りました。蝋燭に赤い絵の具で絵を黙々と描く人魚の娘の姿と、病の痛みに耐えながら物語の世界を描いているいわさきちひろさんの姿が重なって、より美しさと悲しさが感じられるようでもありました。それにしても人間とはなんと欲に弱いのでしょうか。ささやかながらも幸せな日々を大切にしていくことは出来なかったのでしょうか。人間の欲望は青く荒れ狂う北方の海よりも深くて恐ろしいのかもしれません。
この作品を読んで小川未明が日本のアンデルセンと言われる理由がわかる気がしました。 -
鉛筆で描かれたいわさきちひろさんの絵も、駒子さんのと同じように小川未明の作品とマッチしていました。
-
小学生のときに読んだきりだったのを、青空文庫アプリをとった機会に再読。心変わりの怖ろしさ。赤い蝋燭を見てみたくてしょうがなかったのを思い出した。
-
カテゴリに悩む一冊です。
作家は皆さんご存知の小川未明ですが、この本に限っては「いわさきちひろ」の絵に惹かれ購入したからです。
しかも未完のまま遺作となってしまったにも関わらず発行されたという曰くものです。
病魔と闘いながらも最後まで筆を折らなかったちひろさんの気持ちが絵から伝わってくる一冊です。 -
物語の「人魚」といえば、大概はネズミー小・人魚らへんなんじゃないかと思うが、私にとってはこれだった。囲われモノでも、愛されてれば幸せなのに。それ以上何も求めてなんかいなかったのに。
-
いわさきちひろの未完の遺作。
この画家の描く少女のきゅっと上がった目尻がとても好きです。
いろんな意味で大切な一冊となりました。 -
いわさきさんのカラーが見たかった・・・。文章がキレイ。
-
これ小さい頃に読んでトラウマになった。
でも今改めて読んだらそんなことなかったなー。
童話系っていい人はずっといい人なのにこれはいい人→悪人になるんだよね。めずらしい…。 -
この本を読むと、やっぱり中原中也の詩、「海にいるのは、あれは人魚ではないのです。海にいるのは、狼ばかり。。。」というような(すみません、ハッキリとはおぼえていません)詩がつい、思い出される。
中也も金沢生まれ、未明も新潟生まれだから、やはり、日本海の荒涼とした海を背景に作られた作品だからなのだろう。新潟の水族館などに行くと、ときどき、この話の人形劇を映画にして、上映している。幼い頃、母に「早く帰ってこないと、捕まえられて、サーカスの人たちに売られちゃうよ」とよく怒られた記憶があるが(サーカスの人たちに失礼ですよね!)、薄暗い夕方の物悲しい気分と相まって、泣きそうになった。そんなことを思い出させる。
石井桃子やいぬいとみこ等による児童文学の記念碑的評論集「子どもと文学」(在庫切れ)では、随分、この作品はたたかれていたが、それでもやっぱり子どもをひきつけることは、否定できない。なぜ、ひきつけるのかといえば、このお話の中に、「おそろしいもの」がファンタジーとして登場してくるからだと思う。誘拐犯が子供を監禁してどうのこうのといった生々しい話には、なにか想像力を枯渇させるような物が含まれている。ファンタジーとして登場してくるからこそ、一気に想像力を掻き立てられ、本当は、日常の中に潜んでいるはずの怖ろしいものを、心のどこかで知ることができるのだと思う。
著者プロフィール
小川未明の作品






この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。






赤い蝋燭と人魚 (若い人の絵本)を本棚に登録しているひと
-
- mwood
- 2019年8月29日に登録
-
- thx22
- 2019年6月5日に登録
-
- junkotetu
- 2019年3月10日に登録
-
- cherimie
- 2016年4月4日に登録
-
- henyorico
- 2015年12月31日に登録
-
- kodomotohonaoi
- 2015年10月25日に登録
-
- サイン38
- 2015年5月7日に登録
-
- honnotobira
- 2015年3月15日に登録
-
- こどものほんだな
- 2014年9月18日に登録
-
- 1235242番目の読書家
- 2019年7月24日に登録
-
- 山崎杏
- 2018年10月13日に登録
-
- チヲ
- 2018年6月3日に登録
-
- ユウレイ
- 2016年6月30日に登録
-
- iitan22
- 2014年7月2日に登録
-
- fjsw
- 2012年10月28日に登録
-
- あけお
- 2012年7月27日に登録
-
- putyuri
- 2012年5月16日に登録
-
- オグリ
- 2011年11月13日に登録
-
- あら
- 2021年1月5日に登録
-
- とく
- 2021年1月5日に登録
-
- キラチ
- 2020年5月6日に登録
-
- hoshisato3
- 2020年2月19日に登録
-
- りとれぼ
- 2019年6月8日に登録
-
- 絵本いただきますの会
- 2018年1月4日に登録
-
- あいころもち
- 2017年1月8日に登録
-
- suzu
- 2016年11月29日に登録
-
- bgmfact
- 2016年8月30日に登録