国際カルテルが会社を滅ぼす 司法取引、クラスアクションの実態と日本企業の対応

  • 同文舘出版 (2014年9月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784495465018

感想・レビュー・書評

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  •  先週の土曜日のニュースで、26日に米司法省(DOJ)が海運大手の川崎汽船が運賃に関する価格不正操作で罰金74億円支払いに同意と言う記事があった。自動車部品業界でビシビシ取り締まりの対象にあい、多額の罰金場合によっては関係者が懲役刑も課されるという厳しい事態に陥ることもある。

     そんな国際カルテルに対する日本企業の対応の甘ちゃんぶりに警鐘を鳴らすのが今回の著者たちだ。実際にDOJとの対応をして苦労をした経験が書かれているだけにこれから対象になるあるいはもうすでに対象になり始めている企業の方には参考になる。

     読んでいて驚いたのが、DOJから質問をしたいということで対応したのがある企業の子会社の日本人幹部社員。その社員は、弁護士と綿密に協議して同伴で聞き取り捜査に対応しないで、「大丈夫だから」と1人で質問に応じたとある。きっと、話せばわかる、自分から調査に協力するのだから悪いようにはしないなんて言う妄想を抱いていた可能性がある。著者は、「日本人らしい対応をしてしまうこと」は、後で取り返しのつかないことになる可能性があるので、弁護士に相談して指示を仰ぐと言った対応をしないとまずいと述べている。

     アメリカの独占禁止法に関する本や雑誌の特集を見ていると著者も指摘しているが、調査の対象で行われる「ディスカバリ」あるいは「eディスカバリ」と言う作業を中心にして書かれているものが多いと指摘している。

     確かに、ディスカバリは、対象となる人物(カストディアン)のパソコン、手帳、書類をかき集めて、後は弁護士の指示のもとにキーワードで必要な情報を検索して「仕分ける」ので、時間と費用が掛かるのは事実だ。しかし、著者が指摘しているように、「現実には、被害を受けたと主張する私人の損害賠償請求訴訟の対応が重要」である。あまり「発掘調査」にばかり気を取られると肝心な点、訴えらえた企業や対象となっている社員の負担を軽減するところがかすんでしまう可能性があるので注意が必要になる。

     最近では、あらかじめ不正を予測する装置を開発していて宣伝している企業がある。未然に防ぐ、あるは最小限度にダメージを防ぐにはいいが、宝の持ち腐れになってしまう可能性がある。結局テクノロジーではなく、それを使いこなす人間がしっかりしていないと東京電力のようになってしまう。そういう意味でも、外国に支社や子会社を持っている企業の法務部や経営者には一読していただきたい本だ。

    川崎汽船に罰金74億円、海運カルテルで米司法省

    http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140927/fnc14092708320003-n1.htm

  • 必要な人以外は手に取ることはないだろうけれど、必要な人が見つけたらこれ以上はない、というくらい実用的な本。
    どれだけ本気で対策をしなければならないのか、もしくはちょっと気を抜くとどのような目に遭うのかが痛いほどわかる本。

  • 山口先生と、米国州弁護士としてカルテル被疑の現場マネジメントに携わる龍氏の対談形式。

    司法取引のエゲつなさに思わず「それが法的正義を担う検察官たる司法省のすることですか!」と山口先生も絶叫。 それもその筈。米国でのカルテル調査は司法省のみならずFBIも動く案件、Felony として殺人に並ぶ一級の犯罪として取り扱われるからだ。 生産者も消費者も一緒になって負担しよう という信頼ベースの経済とは、土台が違うことを知らねばならない。

    現場を数多く経験した人のコトバはハラワタを掴むような説得力がある。大変ためになりました。

  • これは読み応えのある本でした。対談の内容に迫力があるのはもちろん、解説編2のメッセージが強烈で勉強になりました。

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著者プロフィール

弁護士

「2014年 『不正リスク管理・有事対応』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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