同じお客様に通い続けてもらう!「10年顧客」の育て方 (DO BOOKS)
- 同文舘出版 (2015年4月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784495529710
作品紹介・あらすじ
値引きなし!ムリな集客なし!ご無沙汰客なし!お客様との関係を深めて、安定的に売上を伸ばしていく繁盛店づくりのヒント。大手チェーン店には真似できない!売場、接客、販促ツール、イベント、スタッフ育成。
感想・レビュー・書評
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大手チェーンに対向するためには個対個で勝負!
図や具体例などがたくさんあって見やすく読みやすく、けっこう細かいところも書いてあるのでてっきり著者は女性かと思っていたら、ふと著者の名前を見ると男性だったのでちょっとびっくり。
いろいろな方法が書いてあるが、結局大手チェーン以外のお店が同じお客さんに続けて利用してもらうには、顧客を「お客さん」と見ずに「◯◯さん」と見ているかということに尽きるのではないかと思わされる。
例えば他店より価格が安いということだと他にもっと安い価格のお店が出てきた時にそれに勝てなくなるし、品揃えの豊富さでもそれは同じ。よほどオンリーワンのような商品を取り扱っていなければ売る物での勝負というのはかなり難しいことだと思う。
それに今はネットでほとんどの物を購入することができるので、安くていろいろな品はパソコンやスマホの中に溢れている。
実際に手にとって見ることができるのが店舗の長所であるとしても、手にとって確認してから家に帰って、もしくはその場ででもスマホを取り出してポイントがつくネットサイトで購入する消費者も多いと思われる。
実のところ私もよっぽど緊急に必要なものでない限りはネットで少しでも安く、そしてポイントのつくところで買おうという行動を取ってしまうことが多い。
私自身10年通っているお店があるかと考えた時、この10年は子供が産まれたりなんやかやで自分の生活がどんどん変わり、「物を買う」という点では自分の状況が変わりすぎているため安定して購入を続けている店はない。
しかし、10年以上通い続けている喫茶店がある。なぜそこに通い続けるのかというと、味が良い、雰囲気が良い、というのは当然のことで、自分がその店を「定番」だと意識づけられたのはやはり店員の方から話しかけられ、自分を大勢のお客さんの1人ではなく「よく来てくれる◯◯の仕事をしているあの人」と覚えてもらい、店に入った時に「いらっしゃいませ」ではなく「こんにちは」と言われるようになってからだ。
そう考えるとこの著書に書かれている接客のパートでまずお客様に「こんにちは」をキーワードにお客様に合わせて使い分ける、というのはかなり効果的だろうと思う。
だがでは「いらっしゃいませ」を止めたほうがいいのか、というとそうではないと感じる。コンビニの店員のような顔も見ずにただ「いらっしゃいませ」と言うのではなく、きちんとお客様の顔を見て「いらっしゃいませ」と言う、それだけでも画一的な「いらっしゃいませ」を変えることはできるとは思う。
この著書の中で「なるほど!」と思った部分は、まずレイアウトの方法について、商品をグループごとに分けてその売上構成比を目安にスペースを決めるというところで、これは意識して行わなければついつい大きな商品にスペースを取ってしまったり、してしまいがちなところである。
それに売上に応じてスペースを決めるというのは目安として非常にわかりやすい。
会計時に商品の使い方、お手入れ方法を伝える、ということも、お客様は既に購入手続きを終えているので買おうか買うまいかの悩みはもう解決しているはずであり、次の悩みであるこの商品を買って本当に良かったのか、買ったのはいいけれどもどうすればいいのか、と内心考えているお客様もいるであろう。
会計時にその不安を取り除いてあげることはこの店で購入してよかった、と思わせられる良い方法だと感じる。
そして、ポイントカードを会計時にではなく接客時にいかに提示してもらうか、これはせっかく顧客情報を記録している店舗であれば利用しなければかなりもったいないであろう。
自分も買い物をしていて前に買った商品を毎回説明しなければならないことにうんざりすることもある。
美容院ですらカット前に希望を伝える際に顧客カードを見ながら話さないお店もあり、「前回と同じ」でいいのにちゃんと伝わっているんだろうか、と思ったことがある。
POPやポスター・ボードの例も載っていたり、最終章では店のしかけだけでなく、10年顧客を増やすためにそこで働くスタッフのチームワークをいかに育てるか、ということも書かれており、小売の店舗向けの内容ではあるが小売以外でも消費者を対象とするサービス業などでも使える部分があるだろうと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示