コミュニケーションのモノサシ 良い人間関係を手に入れる12のステップ

  • 同友館 (2020年2月12日発売)
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本 ・本 (250ページ) / ISBN・EAN: 9784496054600

作品紹介・あらすじ

心理学の発展とともに構築されてきた理論と長年の実践経験を踏まえて心理学の専門家の小児発達学博士である著者が苦しい心を楽にするスキルを身に付け、爽やかな人間関係を築く方法を解説している。世の中でコミュニケーションに悩んでいる人は多い。この本も分類ではそうした人のためのコミュニケーションの方法を解説する本である。しかしノウハウの伝授にとどまらず「どうしてそうなるのか?」 に丁寧に答えてくれる内容になっている。自分を変えたいと思っている人は「こうすればいい」と言われてもその背景を知り科学的な裏付けを示してもらいたくなるものではないだろうか。それにできる限り答えようとしている。
こうしたノウハウ本にはそういわれてもできないと思うことが多く挫折しやすいポイントがあるものだがこの本には全編を通じて「とは言えメモ」と称するコラムがちりばめられている。先回りしてそう簡単ではないと思う気持ちを汲んでくれるのがこのコラムである。教科書的なきっちりした話の運びの中にこのエッセイ的な表現が挟み込まれているおかげで読みやすい。 
人は人と関わってこそ成長していくものであり人間として生きていくうえで人との関わりを避けることはできない。でもその関わりはストレスの原因になる。自分と他人は違うのだから意見やその表現方法が違い、相手は自分の思い通りにならないことこそが当たり前であることが前提として話が始まる。その基本である自分とは、他者とはという社会哲学者の理論をもとにした「自己概念」を基本に「ジョハリの窓」による自己分析のしかたを紹介している。人は自分を他者と比較してどうして傷ついてしまうのか、傷つかないようにするにはどうしたらよいのか、いくつかの心理学の理論をベースにいろいろな方向から述べられている。人というのはわからないものだと切り捨てるのではなく「傾聴」し相手を理解・受容することが大事でそれは日常生活に活かせる。話を聴いてもらえるという安心感から話し手は心にたまっていたものを吐き出し、自分自身を受け入れ、より客観的に理解し、態度・行動まで変わっていく。関係性が聴き方で大きく変わるのである。心理カウンセリングの基本であるこの「傾聴」のテクニックについて詳しく解説している。自分と相手を理解したら今度こそ自分のことをきちんと伝える技術に入る。アサーションは自分の考えや気持ちを尊重しながら、相手の考えや気持ちも大切にするコミュニケーション手法である。取引や妥協ではない第三の道ともいえる成果を相手と一緒に手に入れる。それが爽やかな人間関係を生むのだ。「人間はなぜ心が苦しくなるのだろうか」という問いをたて、認知行動療法についても解説している。苦しい心を生むのは自分の考えである、その苦しい心を楽にする筆者の開発した「OKSプログラム」についてそのやり方と成果を示している。ストレスマネージメントやアンガーマネジメントの基本はコミュニケーションが求められる職場で役立つ。伝える技術は特に仕事で重要になろう。説得的コミュニケーションの効果的な方法にもきちんと心理学の裏付けがあることがわかり興味深い。

感想・レビュー・書評

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  • 弁護士を職業とする者にとってとても勉強になる内容で、大変参考になりました。
    弁護士は、悩みを持たれているご依頼者のご相談、対立当事者との協議・交渉、裁判所の説得など、シチュエーションによってコミュニケーション方法を変えなければならない場面が多々あります。
    もっとも、いずれの場面においても基本となるのは、「傾聴」です。
    改めて「傾聴」の重要性を認識するとともに、相手への適切な表現・行動がわかりました。
    また、職務上、ストレスを覚えることも少なくありませんが、それに対する自分の感情のコントロール、自分を客観視をするためのヒントが述べられており、今後の職務を行う上で大変参考になりました。
    学生もですが、特に社会的ストレスを感じ始める新入社員の方や、多様な人々とコミュニケーションをとる職業の方にとても参考になる本だと思います。

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