鎮静と安楽死のグレーゾーンを問う

  • 中外医学社 (2023年6月14日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (274ページ) / ISBN・EAN: 9784498057364

作品紹介・あらすじ

長い間議論され,1つの指針を明示することが困難な「鎮静と安楽死」.本書では,各領域のトップランナーが真正面から語ることで,鎮静の茫漠とした像を浮かび上がらせることに挑んだ.医学,看護学,生命倫理学,法学という多方面から論点を明確にし,全体像を掴む.「自分だったらどうする?」―各著者の多様な視点が,より深い理解と考察へ導く.ガイドラインだけでは表現しきれない著者らの思考に触れることができる1冊.

感想・レビュー・書評

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  • ( オンラインコミュニティ「Book Bar for Leaders」内で紹介 https://www.bizmentor.jp/bookbar )

  • 鎮静とは眠ることで苦痛を減らす。意識がなくなることが多い。約50%の患者は、WHO式鎮痛では十分ではなく、睡眠状態にしなければ緩和が得られなかった。

    持続的な深い鎮痛と安楽死の境界が不透明。
    精神的苦痛の場合に使っていいか。近年増えているのは患者からの要望があるためではないか。

    患者毎の違いが大きく、投与量を決められない。眠れるまで滴下し、眠ったら投与量を減らす。電子カルテの登場で、投与量の正確な指示が求められ、鎮静が不十分になることがあった。すでに患者は全身状態が不安定で、量が確定できない。

    鎮痛レベルを浅くする=調整型鎮痛は、持続的深い鎮痛に比べて難しい。家族にとっては持続的鎮痛のほうが好ましいと評価される。

    在宅療養では座薬で家族が投与できる。しかし家族がこれを行うと死に加担しているような気がする可能性がある。経験の浅い看護師でも座薬を入れてから数時間以内に亡くなると、心に傷が残る。

    自分が望むときから鎮痛を始めて欲しい、家族に苦しむ姿を見せたくない、という希望はかなえていいものか。
    精神的な苦しみと肉体的な苦しみを分類できるか。予測される苦痛を避ける予防的な鎮痛をするべきか。

    緩和ケアのなかに安楽死は含まない、というのが原則だが、積極的安楽死や自殺幇助を認めるのは世界的な潮流。

    うつ病の場合(倦怠感や食思不振もうつ病の症状のひとつ)で絶望感から死を望んでいる場合は、どう考えるか。
    進行がんでは、同時にうつ病にかかりやすい。この場合に苦痛がないまま、鎮痛することは積極的安楽死または自殺幇助にならないか。

    教義の安楽死(致死薬を投与する)は日本では違法。仮に合法になっても、緩和ケアの一部にはならない。
    一方で消極的安楽死は生命維持の終了だから、自然に委ねる範囲に収まる。鎮静は死期を早めない限りで合法。

    グレーゾーンの鎮静をどう考えるか。
    予防的CDS(持続的鎮静)。痛みがあれば予防的ではないだろう。
    治療中止に伴うCDSはどう考えるか。数日程度であればいいとされることが多いが、これは消極的安楽死と同じと考えられるか。
    一般に生命維持治療の終了は、再開が可能。

    「生きている意味が無い」という精神的苦痛の場合、数週から月単位になる。
    生命予後が限られている、のはせいぜい1週間程度が前提となっている。それ以上の期間はそもそも予後自体が不確実。

    鎮静中の患者は苦しくないのか。
    鎮静は生命予後を短縮するか。
    一度鎮静したあとに鎮静を浅くすることのためらいがある。
    身体的苦痛と精神的苦痛を区別できるか。

  • 医学部分館2階書架 : WB310/MOR : https://opac.lib.kagawa-u.ac.jp/opac/search?barcode=3410169978

  • 11月新着
    東京大学医学図書館の所蔵情報
    https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2003674987

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著者プロフィール

聖隷三方原病院緩和支持治療科

「2022年 『事例に学ぶ AYA世代のがん サポーティブケア・緩和ケア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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