ICU/CCUの薬の考え方,使い方

著者 :
  • 中外医学社
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784498066625

感想・レビュー・書評

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  • 中外医学社から献本。なんかいつの間にかシリーズ化しましたね。

    クリティカルケアの領域も新刊本、訳書、定期購読誌が充実してきた。ここで新刊を出すとき、「私が類書を出すことに、果たして意味があるのだろうか」という問いと直面しなければならない。本とは独立して一意的に存在するものではない。類書との関係性があって、その本の立ち一が決めるのである(これはガイドラインにしても、抗菌薬にしても、医者にしても同じだ)。関係性を考えず、ただ書きたいことを書いて出版しても、それはただのme too bookになってしまう。

    では、「意味のある」本になるためにはどうしたらよいか。
    1.コンテンツを特権化させる(ようするに、誰も書いていない内容を書く)。
    2.ターゲット・オーディエンスを特化させる。医学生対象、開業医対象、研修医対象、ナース対象などなど。
    3.同じコンテンツ、同じターゲット・オーディエンスなのだが、「異なる声」でしゃべる。

    3については少し補足する。メッセージを届けるためにはポリフォニーが重要だ。一人の人が怒鳴っていても、声は届かない。同じことをいろいろな声がしゃべることが大切である。語り口を変え、句調を変え、同じことをいろいろな人がしゃべる。これがメッセージの伝達につながっていく。

    僕の考えだと「ICU/CCUの薬の考え方、使い方」の特徴は3にあると思う。音羽病院で長い間実践してきたクリティカルケアの実践知と学習知が結実され、「声」となって表出されているのだ。それは教科書を書くものの上からの声ではなく、現場で走り回っている人の横からの「声」である。

    発展途上にある、日本のクリティカルケアにおいて、このような「声」の意義は大きいのではないか。本書を流し読み、その「口調」を体に感じ取り、僕はそんなふうに考えたのだった。

  • 普段勉強していて、なかなかたどり着かない部分がこの本で学べます。とてもコンパクトにまとまっているので、ICU Bookより先に読んでも良さそう。読みやすいので数日で読めると思います。

  • 理論もきちんと書かれており、とても勉強になります。

  • 集中治療に関する書籍は沢山ありますが、クリティカルな患者を医師がどのように診て何を想定し薬をどのように投与するのかという一連の流れを学ぶのに良い本です。一方で、自分の病院におけるクリティカルケアがまだまだ不十分、不確立、不勉強なものであることに反省させられた次第です。
    総論のアセスメント、各論の鎮静薬、鎮痛薬、筋弛緩薬、ストレス潰瘍予防薬、輸液管理、輸血管理、人工呼吸管理、循環作動薬、抗血小板薬、抗凝固薬・血栓溶解薬、抗不整脈薬、利尿薬、血管拡張薬・降圧薬、抗痙攣薬、抗菌薬、抗真菌薬、抗ウィルス薬、クリティカルケアにおける栄養管理、に分かれています。
    本書を読んで、クリティカルな患者は現在どのような状態かによって適切な薬剤が異なること、添付文書はあてにならない部分も多いこと、日本には使いたくても使えない薬が多いこと、などを知りました。
    何より著者のコラムが、著者のクリティカルケアに対する熱意が感じられます。自身も薬剤師として、クリティカルケアの標準化・最適化・アップデートに貢献できるよう、もっと勉強し医師と協力していけるよう努力したいと思います。
    こんなに良い本をどうもありがとうございます。著者に感謝したいと思います。

  • 所在:紀三井寺館1F 請求記号:WX218||I2
    和医大OPAC→http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=167373

  • 各臓器・領域についての押さえておくべき事項が網羅されていて、頭の中を整理することが出来た。生理・薬理を押さえながら臨床に即していて、普段の診療にも使えます。また誠実な著者の姿勢に敬意を感じる。研修医の先生、若手の先生は絶対に読んでおくべき!

  • 大野先生、相変わらずすごい先生です。
    看護師さん向けにやってた勉強会を本にまとめあげたらしいです。
    ICUで使う薬が非常にわかりやすくまとまっていていいのですが、コラムもとてもいいです。
    大野先生のプロ意識、真摯な姿勢に心うたれました。

    「君がいくら本を読んで知識を持ってようが、目の前の患者さんを助けられなければ意味ないぜ」
    その通りだと思います。頑張らなきゃ、と思わせてくれる一冊。

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著者プロフィール

理科学研究所生命医科学研究センター粘膜システム研究チーム

「2022年 『アロスエルゴン Vol.2 No.1 アレルギーの主役?脇役?:上皮細胞と免疫細胞のクロストークに着目して』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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