泥まみれの虎: 宮崎駿の妄想ノ-ト

著者 :
  • 大日本絵画
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本棚登録 : 455
感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (87ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784499227902

作品紹介・あらすじ

鬱屈の時代を、踏み外さずに生き抜く術とは-?極限状況における若きドイツ戦車兵が決して失わなかった正気、持ち続けた勇気。そして沈着冷静かつ勤勉な戦闘行動の実態…宮崎駿が掴み取ろうとした、苦闘の爪痕。

感想・レビュー・書評

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  • 二次大戦におけるドイツの戦車エース,オットー・カリウス。彼がティーガーに乗って戦った,エストニアでの一ヶ月にわたる戦車戦を漫画化した表題作ほかを収録。宮崎氏の現地訪問,カリウス本人とのインタビューもあり,こんな仕事もしてたんだなと。
    オットー・カリウスが戦争のあと,薬剤師の免許を取って薬局を経営していた(その名も「ティーガー薬局」)というのは知らなかった。有名な話らしい。
    戦車や砲,軍用機や軍艦好きで知られる宮崎駿だけど,その点やはりうんざりするほど質問されるらしく,弁明が載っていた。
    「戦車に限らず軍事一般は人間の暗部から来るものなのだ 人類の恥部 文明の闇 ウンコだ,ゲロだ」「(資料を読みつつ)ウームおもしろいなんという愚かさだ…」p.81
    「いいかね!! 戦車が強そうとかカッコイイから好きなんてのはな ただの無知のせいだ 初歩だカケダシだ」
    「戦車も 軍隊の愚劣さ 民族の幼児性 歴史の残酷さ 人間の悲劇と喜劇 そのすべての…結晶なのだ!!」

  • 実在のティーガーエース、オットー・カリウスの自伝を宮崎駿が漫画にした作品。ドイツ軍とソ連軍がデフォルメしたブタで描かれたコミカルな絵面とは裏腹に、凄惨な戦場が描かれている。実写映画やドキュメンタリーでやられたら、プライベートライアン冒頭30分の激戦を凌ぐ映像になることだろう。
    個人的にソ連軍がマキシム機関銃を牽引してる姿が小さくだけどそこかしこに描かれてるのが好き。だってマキシム持ってるから。

    同時収録の「ハンスの帰還」はコミカルな展開のドタバタ敗走劇。併せて「雑想ノート」に収録された「虎の豚」を読んでおくとより一層楽しめる。

  • WWⅡにおいて熾烈を極めた独ソ戦に焦点を当て、その中でも特徴的な撤退戦とその時に活躍した戦車・人物を取り上げる。

    弱冠21歳のオットー・カリウスが多大な戦果をあげたエストニアでの奮闘を「泥まみれの虎」にて、終戦間際の西側への逃亡劇を「ハンスの帰還」にてそれぞれマンガで紹介。前者は体験記を元にしたフィクションであり、後者は完全なフィクションである。

    ドイツ戦車の説明と克明に変化する戦況の描写が印象的。ティーガー、パンター、Ⅳ号、T-34などの紹介や戦闘配置図の妄想が面白い。宮崎駿のマニアっぷりや戦争観、ディテールへのこだわりが垣間見られる。

    本書のカリウスといいサン=テグジュペリといい、宮崎駿は極限状態でも狂気に飲み込まれず、冷静的確な判断を下せる人間に惹かれるのだろうか。

    少しだけ彼の脳ミソの蓋を開けられた気がする。

  • 2022.8.12 市立図書館
    (他の本や雑事に忙しく積読のまま返却へ…またそのうち)

  • 本当宮崎さんは泥臭いものが大好きなんだなあ。
    ハンスの帰還みたいな話、また読みたいです。



  • mmsn01-

    【要約】


    【ノート】

  • コミック

  • マンガ部分は、とても楽しいです。
    楽しくて時間が足りません。
    雑想ノートで描かれていた、ハンスの話の続きが載っているのも知らなかったのですがとても嬉しい♪
    マウスは、、、
    マンガ以外の部分は、歴史的背景や今どうなっているのかと言うことが分かるのが良いです。
    最近、色々なところで戦車関連の知識を得ており、それらを知った上で再度読むとまた一層分かった気になれて楽しく読めるのです。(^o^

  • 宮崎駿が妄想を入れながら描く戦車長の物語。戦車について悩む作者の姿も見られる。
    …というか戦車ってめちゃくちゃ大変な兵器だ…

  • 読了

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著者プロフィール

アニメーション映画監督。1941年東京都生まれ。学習院大学政治経済学部卒業後、東映動画(現・東映アニメーション)入社。「ルパン三世 カリオストロの城」(1979)で劇場作品を初監督。1984年には「風の谷のナウシカ」を発表。1985年にスタジオジブリの設立に参加。「天空の城ラピュタ」(1986)、「となりのトトロ」(1988)、「魔女の宅急便」(1989)、「紅の豚」(1992)、「もののけ姫」(1997)、「千と千尋の神隠し」(2001)、「ハウルの動く城」(2004)、「崖の上のポニョ」(2008)、「風立ちぬ」(2013)を監督。現在は新作長編「君たちはどう生きるか」を制作中。著書に『シュナの旅』『出発点』『虫眼とアニ眼』(養老孟司氏との対談集)(以上、徳間書店)、『折り返し点』『トトロの住む家増補改訂版』『本へのとびら』(以上、岩波書店)『半藤一利と宮崎駿の腰ぬけ愛国談義』(文春ジブリ文庫)などがある。

「2021年 『小説 となりのトトロ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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