アマゾン・コムの野望 ─ジェフ・ベゾスの経営哲学

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  • 東京電機大学出版局
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784501626808

作品紹介・あらすじ

いまや世界最大の書店となったアマゾン・コム。この書店はどのようにして誕生し成長してきたか、創立者のジェフ・ベゾスに焦点をあてて、それらの謎を解き明かす。虚飾や伝説が多い中で、株式上場の目論見書や証券取引委員会への年次報告書、裁判資料、特許資料など出典が確実な資料をもとに、ジェフ・ベゾスの生い立ちや思考過程などを時系列に沿って克明に追跡。電子ブック端末の先駆けとなったキンドルの開発を通して、アマゾン・コムの将来と電子書籍の今後を見通す、出版社・編集者・読者必携の一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 大学工学部の教授が書いた本なので、
    結構、テクノロジーに関する内容も書かれている。
    とは言っても、バリバリのアルゴリズムとかではなく、
    こう言う特許が有るとか、やんわりとした触れ方だが。
    でもタイトルからは、あまり想像しないような内容だった。

    それと、意外に事実を追う事の比重が高く、
    amazonの戦略とかについて述べる所は少なく感じた。
    それは、著者の専門とは異なる分野であるので、
    仕方ないのかな。

  • アマゾンビジネスの話かと思えば、急に特許訴訟の技術的な詳細の話になったりして、どの立場で読めばよいのか困惑した。

    ただ、P280以降のAWSの解説は個人的にためになった。今まであんまり俯瞰して理解していなかったので、その部分はわかりやすかった。

  • 図書館HP→電子ブックを読む 
    EBSCO eBook Coleection (NetLibrary) から利用

    【リンク先】
    http://search.ebscohost.com/login.aspx?direct=true&scope=site&db=nlebk&lang=ja&AN=475568

  • p18
    ジョフはモンテッソーリ・プレスクールに通った。二歳から六歳までがプレスクールのようだ。誤解がなければ幼稚園といってよいだろう。モンテッソーリ教育法とは、イタリアの意志で教育家のマリア・モンテッソーリによって考案された教育法である。モンテッソーリは、自発的に学習dけいるように考えられた用具を準備し、その環境で自由にふるまうことをゆるされた子供を観察する過程で、子供の本当に自然な性質を発見した。この観察の結果を活かした創造的な教育法がモンテッソーリ教育法である。モンテッソーリ教育法は米国でとくに広まった。
    モンテッソーリ・スクールの卒業生である有名人は数多い。まず、アンヌ・フランク、ジャクリーヌ・ケネディ、ピーター・ドラッカーがいる。さらに、キャサリン・グレアム(ワシントン・ポスト紙経営者)、セルゲイ・ブリンとラリー・ペイジ(グーグルの共同創立者)、ジミー・ウェールズ(ウィキペディア創設者)などがいる。これらの情報は、Montessori College of Aucklandのホームページによった。まだ他にもいるが割愛する。
    モンテッソーリ・プレスクールで何事にも夢中になってしまうジェフを次の作業に移すには、先生が椅子ごとジェフを運んでしまうしかなかったという逸話がある。それほど集中力が強かったというのだ。この話はたぶんつくられたものだろう。モンテッソーリが集中現象の発見をしたとき、円柱を穴に差し込む作業に夢中にしている女の子を椅子ごと持ち上げてテーブルにおいても気がつかなかったという観察結果に関する有名なエピソードがあって、それを下敷きにしているように思われる。
    このマリア・モンテッソーリの創始したモンテッソーリ法という教育法はきわめて興味深いmのので、関心のある方は英訳があるので一読をお勧めしたい。第一章からマックス・ウェーバーやグスタフ・フェヒナーやヴィルヘルム・ヴントなどの名前も出てきて、はっとする。できれば、やさしく噛み砕いたいハウツー物ではなく、原典を読むことをお勧めする。

    p20
    ローレンス・プレストン・ガイスは、トランスミッションの故障した中古のキャタピラー社製ブルドーザーD-6を買った。修理をするには、500ポンドのギアーを外さなければならず、またクレーンを自作する必要もあった。二人は実際そうした。男の子にはたまらない幸福である。都会では味わえない経験だ。アン・バイヤーズによれば、ジェフ・ベゾズはこれらの体験を通して、どんな問題だって解決できる、困難とは困難と考えるから困難なのだ、という教訓を学んだという。

    p26
    1986年、ジェフ・ベゾズはプリンストン大学を首席で卒業する。当時、ジェフ・ベゾズは、すでに「懸命に働き、楽しみもし、歴史をつくろう」という哲学をもっていた。ジェフ・ベゾズはプリンストンには強い愛情をもっているようで、学生たちに卒業生としてのアドバイスを贈っている。これにはユーチューブにビデオ映像があるのだが、映像を短く編集した結果、論理的に脈略が通らないところがある。

    p27
    「もし、私が時を遡って、私自身に学生として、一言アドバイスするとしたら、それはこうなるでしょう。自分の決定とハードワークに誇りを持ちなさい。ただし自分の才能にではないですよ。自分の才能を祝福しなさい。才能を楽しみなさい。しかし、才能を誇ってはいけません。自分の決定とハードワークに誇りを持ちなさい」
    「スタートしようとする誰にとっても、プリンストンでスタートしようとする誰にとっても、何にフォーカスすべきかについてのアドバイスは非常に簡単です。それは必ずしも簡単ではないのですが、自分が本当に関心をもっているのはなにであるかを見極めなさい。そしてそれらを追求していきなさい。
    別のやり方としては、何がもっとも有益とおもわれるかを見極めようとするというのがあるでしょう。もっとも、このやり方はうまくいかないかもしれません。
    波を追いかけるのはたいへんむずかしいことです。自分が本当に好きなことの真中に自分を立たせ、波がやってきてあなたを見つけさせるようにしたほうがベターでしょう」

    p59
    「決定は私自身がしなければなりませんでした。私が見つけだした決定するのに使ったフレームワークは、信じられないほど簡単でした。ナード(通常、日本ではオタクと訳す)ならこう呼ぶでしょう。『後悔を最小にするフレームワーク』と。
    私は自分が80歳になったつもりで、自分に問いかけてみました。
    『オーケー、さて自分の生涯を振りかえってみよう。私は後悔の数を最小限にしたかったのだ』
    私は80歳になったとき、こうしたことで後悔はしないと思っていました。
    私は自分が本当にビッグな状況になると考えていたインターネットに参加することを後悔しないと思っていました。仮に、もし失敗しても私は後悔しないと思いました。
    しかし、唯一つ後悔すると思ったことがあります。それは、まったく挑戦しなかったということです。それは毎日、私をさいなめ苦しめるでしょう。私はそういうふうに考えるのが信じられないほど簡単な決定法だと思いました。
    それはたいへんすばらしいと思いました。もし80歳になったと想像して、次のように自身に問うてみてください。
    『あのとき、自分はどう考えたか?』
    そうすると、日常の些事のいくつかを忘れさせてくれるでしょう」
    ここでジェフ・ベゾズは、ちらりと人間的な悩みを口にする。
    「私は年の中ごろにウォールストリートを去ったのです。すると年度のボーナスはもらえません。短期的にはそうしたことは悩みの種ですが、もしも長期的に考えれば、あとで後悔することのない、実際、すばらしい人生の決定となるのです」

    p114
    ジェフ・ベゾズのアマゾン・コムはお金に糸目をつけず、最高の人材の獲得をめざすことになる。アマゾン・コムは超エリート集団をめざした。アマゾン・コムで上を狙うなら、東海岸の超一流大学の出身で学業成績がよく、名門会社でよい業績を収めた絶対のエリートであることが出世の条件だといわれるまでになる。普通の一流会社でもそうだろうが、アマゾン・コムには少ししの傾向が強い。
    白人であることが絶対ではないが、非白人には少しつらいところもあるようだ。そういう記事も読んだことがある。従業員全体での非白人比率が法律で定まっているから、配送センターなどには非白人の従業員が多くなり、事務管理部門には白人の社員が多くなる。ただし、これはアマゾン・コムに限ったことではない。マクロソフトなどでも同じである。

    p291
    ジェフ・ベゾズにはどこか曲折したところがあっておもしろい男だ。ジェフ・ベゾズはスローガンも好きだ。有名なものをいくつか並べてみよう。
    「懸命に働き、楽しみ、歴史をつくろう」(Work hard, have fun, and make History)
    「急速に大きくなろう」(Get Big Fast)
    「世界で最も顧客中心の会社になろう」(To be the world's most customer-centric company)
    「顧客への関心、オーナーシップ、行動指向、倹約、厳しい採用基準、革新」(customer obsession, ownership, bias for action, frugality, high hiring bar, and innovation)

    p294
    「ジェフ・ベゾズは、笑いは絶やさないものの、仕事は厳しく、真剣で、多くを要求する。たとえば、ジェフ・ベゾズの毎週のマネージメントミーティングは四時間のマラソン会議で、博士号の口頭試験にも似たものだ。重役たちは、新製品、技術、価格戦略、コストコントロール評価などについてプレゼンテーションを行う。すると、ジェフ・ベゾズは第一級検察官の技量をもって、あらゆる角度からみて自分が納得するまで質問する。」
    テレビで蜷川幸雄の厳しい稽古風景を見たことがあるが、同じようなものかもしれない。ジェフ・ベゾズは定性的な答には満足しない。具体的な数字で定量的に答えられなければ満足しないのだ。
    一方で、ジェフ・ベゾズはとにか変わったおもしろい人だ。倉庫で従業員とゴム輪の撃ち合いを真剣にやるかと思えば、本社でも水鉄砲を従業員に向けて遊ぶ。廊下でリンゴをかじり、お手玉をする。廊下に置いてある動物の立ち姿勢の骨格模型にカメラを向けて、「スマイル(笑って)」と言ったりする。
    かと思えば、エンジンなしのゴーカートを従業員に押させて廊下を突っ走る。大きな鉄枠でできたボーリングのボールに入って、従業員に押させて巨大なボーリングピンを倒す。また、大きな風船に乗って従業員たちと跳ねまわる。庭でアクアラングをつけて、水を張った巨大なプラスチックの桶に飛び込む。テレビに出れば、背中におもちゃの馬の鞍をつけ、人に乗らせたり、乗ったりする。やんちゃなジェフ・ベゾズの一面である。
    そうであっても、アマゾン・コムでの選別は厳しく、生き残るのはたいへん厳しい。


    ==アマゾンの内容説明==
    急速に拡大を続けるアマゾン・コムとはどのような成り立ちの会社で、どのような経営哲学を持った会社なのであろうか、それらについて多様な観点から考察したのが本書である。

    ==目次==
    ジェフ・ベゾスの神話
    インターネット時代の幕明け
    シアトルへ一路爆走する男と女
    アマゾン・コム、いよいよ営業開始
    アマゾン・コムの源流
    バーンズ&ノーブル・コムの栄光と悲惨
    ワンクリック特許―奇妙なビジネスモデル特許
    か細きダビデ、ゴリアテに変身
    勢いを増すアマゾン・コム―連続する企業買収
    アマゾンのコンピュータ化されたビジネスのしくみ
    電子ブック端末キンドル
    アマゾン・ウェブサービスAWS
    アマゾン・コムの将来

  • 情報通信工学の教授が書いているだけあって、技術的な観点でamazonのサービスモデルを解説しており、それ以外にも随所にマニアックさを感じる内容。
    amazonのみならず、ドットコム時代の幕開けを支えた投資家や起業家の人物像、バーンズアンドノーブルとの競合関係・特許裁判の詳細、当時の時代背景なども踏まえながらamazonの歴史を紹介してくれる。
    少々読みづらさはあるが情報量は多い。

  • Amazonについてこと細やかに記されているが、僕は、そんなに詳しくAmazonについて知りたい訳ではない。

  • 請求記号: 024.067||W
    資料ID: 91113576
    配架場所: 工大選書フェア

  • 2011 12/21パワー・ブラウジング。筑波大学図書館情報学図書館で借りた。とある実験に参加していて存在を知り、面白そうだと思って借りてみた本。
    みんな大好き密林さんの経営について・・・とあるが、うーん、経営哲学についてインタビューしたとかではなく、Amazonや関連する人物群像について色々調べて書いてみた、という本。
    テーマは面白いはずなのだが、話がかなり取っ散らかっている印象があるのと(第2章とか必要か?)、著者が「私が」「私が」と前面に出てくるのがこの手の本としてははっきり言ってうざったい。著者の個性よりベゾスの個性が知りたいわけで。
    ところどころ面白い話もあるし、よく調べてあるなあ、と思うところもあるので残念。

  • まあ、面白かった。
    ただ本自体はAMAZONのことがすべて書かれているわけではなく、AMAZONの歴史における関わってきた企業や人にも多くのページが割かれているため、実際のAMAZONの話が本の全てではない。

    AMAZONのサービスの説明とかはあまりいらなかったんじゃないかというきがした。
    AMAZON自体の経営内容を知りたかったのだけれども、個人的には蛇足が多すぎ。

    --気になった言葉--
    「私は後悔の数を最小限にしたかったのだ」(P58)
    要するに、神話を作りたかったのだ(P64)
    かんばん方式で成功する秘訣は、いかにして在庫が上層部にみつからないように各スカであって、実際に在庫ゼロでは運用は無理なのだそうだ」(P72)

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