再生コンサルティングの質を高める事業デューデリジェンスの実務入門
- 中央経済社 (2015年7月9日発売)
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感想 : 10件
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Amazon.co.jp ・本 (260ページ) / ISBN・EAN: 9784502147814
感想・レビュー・書評
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読了しました。
■なぜ手に取ったのか
事業診断を何度か行っているのですが、「事業報告書」を体系的に学んだり、 捉えたりしたことがなかったため守破離の「守」 (教えを忠実に守る)を、まずは自身に落とし込みたいと思い、事業診断の王道ともいえる本書を手に取りました。
■何が語られていたのか
事業デューデリジェンスは、事業を調査して報告書にまとめる作業であり、そのまとめ方について記載されている。
1テーマごと両開きでまとめられている。
左にそのテーマで何を記載し、勘どころは何か、何を記載しないといけないのか。
右には記載イメージなどの例示や表を示し、実際にどのように記載すのか、わかりやす、端的にまとめられている。
会社概要から始まり、同業種分析、競合分析などの外部環境、沿革、社長、組織、財務、業務プロセスなどの内部環境、その内容を用いた分析、そして見出させる課題・問題、それらの対策、具体的なアクションプラン…といった構成である。
本書の重要なポイントとして、再生企業を調査、診断するといった視点で全体がまとめられています。特徴的なのが、窮境要因(その企業が再生に陥った真の原因)を探ることや、緊急的どのように対応するのかといった指針が示されいます。
事業報告書としてどのようにまとめていくか、実務的に作成できるようになるための
ノウハウが語られていました。
■何を学んだのか
私が当初目的としていた事業報告書を体系的、そして即戦力で活かせることができる
良書であり、実際の活動にすぐに活かせる実践的な内容であった。
さらに本書のポイントである、「再生企業」の調査であるといった視点が良書の所以である。
著者が本書を記したのは、実力派の再生コンサルタントが生まれ、困窮する企業を再生に導くためであり、1人で短期間に質の高い報告書をまとめ、そのうえで再生へのアクションを調査を活かしてどのように進めるかといった姿勢が、本書のいたるところにちりばめられ、緊張感あふれる内容として記載されていた。
静沈着に事業を見極め、社長を再生の道へ奮い立たせ、自走できるようサポートする。
報告書をまとめるだけでなく、コンサルティングを取り組むにあたっての姿勢や気概も得ることができました。
■どう活かすのか
すでに活動の中で随所に活かしており実践しています。
迷ったところ、わからないところは、テーマに戻って再確認します。
端的かつ勘どころが分かりやすくまとめられているためすぐに解決できる本です。
■どんな人にお勧めなのか
士業の方で事業者を俯瞰的に捉えるための基本的な技法を学びたい方。
会社で相手方の分析・審査を担っている方にお勧めの本です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
コンサルタントが企業に対して提案する事業調査報告書の作り方の基礎が網羅的に書かれている。
新米コンサルタントの教科書的な本。
ヒヤリングのポイントや作るべき資料、必要な分析手法や、フレームワークが紹介されており、コンサルって何からやればいいか全くわからん!っていう人にとってとても役に立つ本。
中小企業診断士に合格し、実務補習(実際の企業に対して報告書を提案する研修のようなもの)を行う際に、必読と言われているらしく、1月末頃に品薄で調達しにくくなるみたい。
あくまで基礎的な内容だけど、網羅的にまとめてあり、この本の通りにやればとりあえずモレはないかなあという印象。文章も読みやすく、それぞれの手法が見開き1ページにまとまっているので、後から知りたい情報を調べやすいのもいい。
今後、何度も見返す本になるだろう。
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◆感想
・DDのフレームワークを得られる良書
→多様な業種/レポートに触れられる
→初〜中級者向けの辞書的な活用ができる
※フレーム/辞書をどう使うかは読み手次第
・表紙で思うほど中身は硬くなくて読みやすい
・実務補修者向けと紹介されているが、
診断士の2次受験生が読んでも良い
(対策に直結しないがイメージが湧くため)
◆メモ
・質の高いDDとは?
・徹底的に問題点を抽出し原因究明できている
・他者との細かな差異まで探り強みを見出す
・具体的な改善策や成長シナリオがある
・事業DDで使用するフレームワーク
・外部環境分析:PEST/5FORCE
※業種別審査事典
・内部環境分析:問題解決の手順/VC/PDCA
・マーケティング:3C/4P/4C
・事業戦略:競争の基本戦略/アンゾフの成長戦略
・まとめ:SWOT
・ヒアリング7ルール
①コンサル主導
②大→小
③不明点はその場で確認
④ヒアリングシート(項目)の準備
⑤問題点と強みの発見と深掘り
⑥目的を持つ
⑦細かい業務フローはフロー図で確認
・事業調査報告書の作成順
⓪事前:外部環境分析/収益構造分析/会社概
①Ⅲ.外部環境分析/Ⅳ.収益構造
②Ⅰ.調査概要/Ⅱ.会社概要(窮境要因以外)
③Ⅴ.内部環境分析
④Ⅶ.SWOT
⑤Ⅱ.会社概要(窮境要因)
⑥Ⅶ.窮境要因除去可能性と今後の方向性
⑦サマリ
◆参考データ/指標
・財務分析
日本政策金融公庫「小企業の経営指標」
・国内市場の景気動向
・さくらリポート:個人商品/設備投資/物価
・中小企業の業況判断DI
・仕入先業界分析:世界経済のネタ帳
原材料の価格推移
・業界の市場動向:工業統計表(産業編)
出荷額/事業所数、出荷額/従業員数
・家計調査:家計調査年報(家計収支編)
食料品/家具/衣料/交通・通信費
・再生可能性指標
・経常利益黒字化:3年以内
・債務償還年数:20年以内
・有利子負債CF倍率:10倍以内
・債務超過解除年数:10年以内 -
中小企業診断士の実務補修に向けて購入。
わかりやすくまとまっていて、理解はできるけど実際やる立場になったら難しいしいんだろうな。 -
中小企業診断士2次試験勉強の際に一読し(雰囲気を掴み)
実務補習の際に手元に置いて参考にし
実務の際にはテンプレートを使って始めたら良いかも。(師匠がいない場合)
入門書ですが、簡潔にまとまっているので入門書的に星四つ。
実務はそんなに甘くはない(読んだだけでは出来ない)けど、本書に従えば最初の一歩大きく踏み外しはしなさそう。
(コメ主はペーパー中小企業診断士です) -
ちょっと想定よりも中小企業だったのですが、それでもこれだけの知識レベルでここまでできるんだと改めて思った。
付録もダウンロードして、監査業務に活用できるところを活用しようっと。
ヒアリングについてまとめた4章だけでも監査人は読んでおいて損はないですね。
基本的な経営管理体制を把握することが監査ステップにあんまり色濃く反映されてないので、これを変えるにも、診断業務に倣うこと多いかな。 -
事業デューデリジェンスの進め方と事業報告書の書き方が一通りわかる。
ただ、SOWT分析やマーケティングミックスなどのフレームワークや、財務の基本といった事業デューデリジェンスの前提になる知識はこの本だけで身につくものではない。すでにある程度知っていることを整理し、デューデリジェンスや報告書作成のためにどう使えばいいかがわかる本である。
また、わかったからといってできるようになるわけでない。実際に手を動かさないと身につかない。この本を手元に置いて、実際に調査をして書いてみることが大切だと思った。
著者プロフィール
寺嶋直史の作品
