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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784502277719
作品紹介・あらすじ
条文の中でも難解な組織再編税制の条文を読むために最低限必要なテクニックを解説。誤りやすいケースや再編用語、知っておくと便利な項目別の法律・政令・省令の対応表も付す。
感想・レビュー・書評
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「組織再編税制の条文は難しすぎて読めません」と嘆く人向けに、組織再編税制を読むために最低限必要な知識と技術が解説された書籍。カッコは飛ばして読むといった基本的な技術から応用的な文理解釈までわかりやすく解説されていた。組織再編税制実務に関わる専門家には一読の価値がある書籍だ。
P173
間違いやすい再編用語
1、2では条文を読むことの重要性を、具体例を用いて説明しました。条文を読む際には、正確に内容を読み取る必要があるのですが、組織再編成に関する用語には紛らわしい、わかりにくいものもあります。
以下に組織再編税制に関連する用語のうち、特に混乱しやすいものについて、留意すべきポイントを示しておきます。
ーの者←個人の場合、範囲に注意!
支配関係・完全支配関係の判定における「一の者」 (法令4の2)には、その者が個人である場合にはその者と法人税法第4条1項に規定する特殊の関係のある個人(親族など)が含まれます (156頁事例1参照)。例えば、親と子はまとめて「一の者」としてカウントされます。したがって、例えば父と子が株式を50%ずつ保有している法人Xの株式につき、父から子に譲渡を行っても、一の者による完全支配関係は継続していることになります。
発行済株式(等)←自己株式の取り扱いに注意!
組織再編成の関連規定においては、「発行済株式 (等)」には発行法人が保有する自己株式を含まないケースがほとんどです(例:支配関係の定義。法2⑫の七の五。適格要件(法令4の3①ほか)。この点、「自己株式を除く」というカッコ書があって、「発行済株式等」のすぐ後ろにあればわかりやすいのですが、条文の初めにカッコ書があって、「以下この条において同じ」となっている場合、2回目以降に登場する「発行済株式等」にはカッコ書が付いていないので、うっかりしていると読み落としてしまいます (法令4の3など)。
また、「発行済株式」はいつでも自己株式を除外しているものと思い込んでしまうと、そうではないケースもあるので要注意です (例: 令119①十ロ)。
特定引継資産・特定保有資産←みなし引継資産・みなし保有資産に注意!
資産議渡等損失の損金算入制限の対象となる「特定引継資産」は、「内国法人が特定適格組成再編成により支配関係法人から移転を受けた資産で、支配関係法人が支配関係発生日前から有していた資産」とされています (法法62の7②一)。しかしながら、当該支配関係発生日において支配関係法人が保有していなかった資産であっても、一定の期間に一定の適格組織再編成により移転を受けた資産については、支配関係発生日前から有していたものとみなす規定があります (法令123の8⑫)。このみなし規定は、施行令に規定されていることもあり、見落としやすいので要注意です。
※特定保有資産についても同様です。
特定適格組織再編成等←一定の非適格合併も含まれる
特定資産譲渡等損失の損金算入制限は 「特定適格組織再編成等」 が行われた場合に適用されます。ここで、「特定適格組織再編成等」には、適格合併、適格分割、適格現物出資が含まれるほか、非適格合併のうち法61条の13第1項 (完全支配関係がある法人の間の取引の損益)の規定が適用されるものも含まれます。「特定適格組織再編成等」という字面からは非適格合併は含まれないような印象を受けるので要注意です。
5年超支配関係←「5年超」の起算点に注意!
「5年超支配関係」 というのは法人税法上の用語ではありませんが、書籍などで、欠損金の引継制限・使用制限の解説に際して、この用語が用いられることがあります。この表現からは 「適格組織再編成の日において5年超の支配関係を有すること」と思われるかもしれません。この点、条文を一読すれば明らかなのですが、「5年超」の起算点は、組織再編成の日ではなく、組繊再編成の日の属する事業年度の開始の日となっています (法法57③④、法令11) 2④⑨)。
支配関係の継続見込み←株式を売却せずとも支配関係は喪失する!
支配関係者間の適格要件の1つに「支配関係の継続見込」があります (法令4の3②二他)。
一般に、「支配関係の継続」イコール「株式を売却しないこと」と思い込みがちですが、株式を売却せずとも、「支配関係」が喪失することがあります。第三者割当増資・組織再編成による持株割合の低下や、対象法人の合併による消滅がそれです。
特にグループ内適格合併による法人の消滅については、「支配関係の喪失」というイメージを持ちにくいので、注意が必要です。
株式全部の継続保有←1株でも売却見込みがあればアウト
共同事業による適格要件には、支配株主による株式継続保有要件があります(法令4の3④五他)。これは、「支配株主に交付される株式の全部が支配株主により継続して保有されることが見込まれること」が必要となります。したがって、1株でも売却する見込みがある場合には、要件を満たさないことになります。一方、増資により持分割合が減少することが見込まれていても要件に抵触しません。
また、全部継続保有の対象となる株式は「議決権のないものを除く」となっており、無議決権株式の売却が見込まれていても、株式継続保有要件に抵触しない点も要注意です。
価額・帳簿価額←「帳簿価額」は会計上の薄価ではない
法人税法において、「資産の価額」と言えば、それは資産の時価を意味します(法法62他)。また、「帳薄価額」とある場合、これは会計上の薄価ではなく、法人税法上の薄価を指します(法法62の3他)。一方、会計上の薄価を示す場合には、「貸借対照表に計上されている」という前書きが加わります(法令22)。
抱合株式←誰が持っている誰の株式かを把握するのがポイント
合併直前に、合併法人が有している被合併法人の株式を「抱合株式」と称します(法法25②)。被合併法人が有している合併法人株式や自己株式(被合併法人株式)は、法人税法上の「抱合株式」には該当しません。
資産調整勘定・負債調整勘定←非適格株式交換・移転では発生し得ない
一定の非適格組織再編成等により資産等の移転を受けた場合に計上する税務上の「のれん」を指します (法62の8)、事業の移転が前提となっているので、非適格株式交換や非適格株式移転ではこれらは発生しません。
「減算」と 「控除」←「減算」と「控除」は意味がちがう!
組織再編成に関する各種計算(増加資本金等の額·利益積立金額、みなし配当の額など) 規定には 「減算する」「控除する」という用語が登場します。いずれも「引くこと」 を意味する用語ですが、両者の違いは何でしょうか。
それはマイナスがあるかどうかという点です。
「AからBを控除した額」とあって、BがAより大きい場合には、その額はゼロとなります。「100から150を控除した額」 はゼロです。
一方、「AからBを減算した額」とある場合、BがAより大きければ、その額はマイナスとなります。「100から150を減算した額」は-50です。詳細をみるコメント0件をすべて表示
中島礼子の作品
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