アクティビストの衝撃 ―変革を迫る投資家の影響力

著者 :
  • 中央経済社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784502339714

作品紹介・あらすじ

企業統治改革や世界的低金利等を背景に存在感を高める国内外のアクティビストについて、業界トップのストラテジストがその思考方法、企業や投資家への影響を実例と共に考察。

感想・レビュー・書評

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  • アクティビストとは数%の株式を保有し、企業に経営改善や株主還元の増強などを働きかけ、株価を上げて、数ヶ月または数年後に売却して、運用資金の出し手のためにリターンをあげる投資家である。

  • 最近また注目を集めつつあるアクティビストに関する解説書。近年の日本の証券市場におけるアクティビストの活動の歴史も事実をもとに詳細に書かれている。大変意欲的な内容で上場企業にかかわる専門家にはお勧めの書籍だ。
    P14
    スティール・パートナーズのウォレン・リヒテンシュタイン代表は、池田章子社長から、ソースが何から作られているか知っているかと尋ねられ、「私はソースが嫌いだからよく分からない」「水だ。想像するに水が相当入っていると思う」と答えて、国内投資家を唖然とさせた。同代表は、来日に「日本の経営者や株主を教育したい」と上から目線で述べたことも、反発を買った。
    2007年にブルドックソースはスティール・パートナーズに、買収後の経営計画など79項目にわたる質問状を送ったが、スティール・パートナーズは買収後の経営計画について「自ら経営を行う意図はない」と回答し、経営への理解不足を印象づけた。スティール・パートナーズのブルドックソースへのTOBでは応募株式が僅か1.9%に留まった。ブルドックソースも長期にわたる業績低迷や、非効率的な資本活用が批判されるべきだったが、投資先企業の事業内容も理解せずに買収しようとしたスティール・パートナーズは「悪い株主」と見なされた。ブルドックソースは買収防衛を巡る攻防で勝利したが、訴訟関連費用が当時の年間営業利益に匹敵する6億円に及んだ。買収防衛策発動に伴うスティール・パートナーズへの支払いも21億円に達し、2008年3月期に19億円の最終赤字に陥った。買収合戦で結局最も得をしたのは弁護士事務所との見方が出た。

  • 2021/02/23 読了。
    トップアナリストが、アクティビストの現状をまとめた本である。

    章立ては、
    第1章 アクティビストの定義と現状
    第2章 海外の大手アクティビスト
    第3章 日本におけるアクティビスト及びエンゲージメントファンド
    第4章 国内機関投資家のスチュワートシップ活動
    第5章 株主総会での株主提案の賛否
    第6章 買収防衛策と株主併合
    第7章 アクティビストの投資対象になる可能性がある企業
    となっている。

    第2章~第3章は筆者の独自の情報網を駆使した情報収集をしていて、この本の独自性がある。なかなか得難い情報。

    また、アクティビストを一方的に悪と見なすことなく、会社成長に取って必要との立場で記載しているのも面白かった。

    また、議決権行使についても機関投資家別の分析をしており、日本国内では、ISSとグラスルイスの推奨どおりになっていないことが浮き彫りとなった。

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  • アクティビストが何かという点及び主要アクティビストについては既に理解している通りで新しい知識を得ることはなかったものの、アクティビストのリターンデータ、日本での案件事例が豊富で多くを学ぶことが出来た。

    また、日本における機関投資家の会社/株主提案への賛成・反対履歴が充実していたのも有難かった。

    スティールパートナーズのイメージが未だに残り、アクティビストに対していいイメージを抱く人は多くないと考えるが、企業価値を高める提案をし企業側と協力してWin-Winな関係を構築するアクティビストが増えていくにつれてアクティビストの印象が変わり、そして日本におけるガバナンスの改善が前進することを願って已まない。

  • アクティビストとは何ぞや?がよく分かる本です。
    日本と欧米で捉えられ方が異なるものの一つがアクティビスト。日本では悪者のイメージが強いアクティビストだが、企業への提案や株主権の行使により、経営の効率化を目指す。最終的に目指すのは、保有株のリターン確保なのだが。
    日本でどのようなアクティビストの活動があったか、どのような企業がターゲットになるのか?、海外では機能するのに日本では難しい理由など、具に記されており、勉強になりました。

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