不況を勝ち抜く予算管理ガイドブック

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  • 中央経済社 (2012年12月11日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (244ページ) / ISBN・EAN: 9784502465703

感想・レビュー・書評

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  •  私は怒っている。一体あの予算は何なのだ?出来るわけがない。ぜんたい、本部は予算策定の時はあれを出せこれを出せとかうるさく言うくせに、ひとたび予算を下ろしてくると、その予算の作りについては全く説明しようとしない。そのくせ自分たちの方がエリートで偉いと思っている(怒)。全く食えない奴らだ。

    ・・・失礼しました。
     以上は現場の拠点で働く身として、しばしば本部に対して思っていることである。
     私はたまたま、拠点の数字を見る役目を仰せつかっており、目標や予算のやり取りを本部とするのであるが、あのノルマの理不尽さについては、営業という職務に従事したことがある方なら、多かれ少なかれ経験したことがあるのではないでしょうか。

     当方は、そのようなノルマ・予算の折衝に関して、本部と対峙し、謂わば先鋒(人柱?)として、時に道化を演じ時にそれらしく式なんかを提示しつつ本部と対峙している。しかし最近、そんな化かし合いにほとほと辟易してきており、むしろより建設的な議論をしなければ不毛であるとやっと気づきました。そして手にしたのがこの本です。

     ふう、前置きが長くなりました。
     実はこの本は長らく積ん読しておりましたが、活動制限をきっかけにとんでもない予算が下りてきてしまい、居てもたってもいられず読みました。

     完全にはまだ理解できてはいないけれど、非常に参考になりました。

     一番なるほどと思ったのは、日本企業の多くで『中期経営計画のどの戦略によって、予算のどの数値を達成するのかがリンクしていない』という指摘。確かにぼんやりした経営計画はあるものの、それが地域本部、拠点と順に降りてくるうちに結局売り上げしか目がいかなくなるようなKPIになってくる。また、細かすぎるKPIがどっさり降りきたりするが、すでにKPI同士で重複していたりとか。いずれにしても戦略的な計画と各種目標数字に明確にリンクがないといけないという指摘は沁みました。うちの会社、できてません。。。

     またKPIのチェックポイントも参考になりました。
    曰く4っつのポイントがあり、それは夫々アクション可能性、測定可能性、信頼性、容易性とある。アクションが取れる、つまりコントロール可能な対象が指標となっているか。必要なデータが入手可能か(情報部門が時間をかけなければ得られないような代物ではないかどうか)。営業マンからの自己申告ではなく、客観的で恣意的な操作が不可能な項目となっているか。マニュアルを見なくても直観的に分かる指標を使っているか。
    うちでいうと、そうですね。定性項目とか言っていますが、”こんなことしました”っていう申告系のKPIがあります。評価というゲームで言えば『いただき!』な項目ですが、会社的にはイケてません。

     あとゴーンさんを高く評価しており、その点幾分時代を感じさせました。今レバノンで彼は何をしているのかしらん。ただし、取り上げている日産リバイバルプランは確かにしっかりしています。課題→施策→KPIと目標数字、と実にツリー上に綺麗に流れています。いずれにせよ、往時の日産はかなり力を入れてこのプランを作ったことでしょう。

    ・・・

     最後に、予算について改めて振り返ります。
     予算というのはそもそも会社の業績に対して設定するものです。課題を把握し、対策を立て、策を実施するための具体的な数値目標を置き、月次や四半期など定期的にトラックしてゆく。
    実はこれって個人の業務計画でも同じですよね。毎年マンネリのように作っている(しかも期が終わりごろになって急いで作ってたりとか)あの計画もこの本で出てくるものと同じように作ればきっと自分ももっと爆発的に成長できるのではないかと夢想しました(計画倒れもあり得ますが)。

     書きぶりも教科書のようですし、基本的に計数関連の方でないと眠くなるような内容ですが、会社を俯瞰したい人や人事関連の方ならば面白く読めると思いました。

  • まず、あるべきを知るという意味で役に立った。実務的な応用は各社で考える必要がある。

  • ・予算管理、経営管理とは、飛行機のコックピットのようなもの。企業業績が順調なのか、そうでないかを知り、うまくいっていないならば、改善策を考える。その指標を作るのが経営管理
     ・平たくいうと、企業経営をしながらPDCAを回せるようにするためのもの
    ・予算の機能は、計画、調整、伝達、動機付け、業績評価に分かれる
     ・調整は、おおむね出来上がった予算をもとに、部門、トップと管理者同士で、妥当な数値にしていく過程
    ・売上高予算は、色々ある予算の中で最も大事な予算
     ・売上高予算に基づいて、製造予算や購買予算が設定されるため
    ・予算達成が大事なのは、予算の達成がその企業の今期の目標、ミッションだから。その予算の達成によって、企業の事業拡大や昇給なども考えられているから。上場企業などであれば、外部に対するコミットメントでもあり、予算が守られないことは、株主からの評価低下→資金調達力の低下→事業投資力の低下→競合優位性の低下→売上低下→…→廃業 といった因果も可が得られる

    *個人的な学び
    ・予算はいろいろなものがあるが、結局、自分の経営、事業にあわせて必要な予算を組むことが大事
     ・予算は業績評価および企業経営を推進するための一つのツールであり、予算が絶対的な手段ではない
     ・予算を設定し、それを達成するために可能な限り意味のある数値目標を設定していくことが重要
      ・意味のある数値に注目するには、現場との対話が欠かせない

  • 大手コンサルタントの方が
    予算管理のガイドを書いたもの

    原価管理会計の基礎が業務手順であれば、
    この本は具体的な実践方法

    コンサルタントらしく、
    あるある事例を踏まえて
    対処方法の事例が豊富

    予算管理不要論は衝撃的

  • 参考になることが多かった!
    特に戦略マップ、スコアカードはぜひ自社でも取り入れたいと思う!

  • 予算についての仕事をする必要があり、社内での勉強会開催に向けた勉強。


    予算管理が予算編成と予算統制で成り立つことと、具体的に経営・経理・事業部間でどのように流れるのがわかるだけで十分だった。

  • 一寸先は闇の経営環境の中で予算管理の重要性を説く。売上高予算、販売費予算、製造予算など監査の現場でもお目にかかる予算編成プロセスが端的に解説されている。とは言え、予算を見積もっても計画倒れという会社も多いから、予算管理にどれだけの意味があるのか不明な感も否めない。現にヨーロッパの多くの会社では予算管理を廃止しているそうだ。ただその代わりに、予算管理を廃止した会社では、組織構造をフラット化し、社員にオーナーシップを持たせるため、多数のプロフィットセンターを設けているケースが多い。プロフィットセンターはコスト削減、顧客満足、売上増に責任を持つが、売上目標は存在しない。評価はプロフィットセンター同士の相対順位で決まる。社内競争の活性化から全社的な利益増大を狙ったものであろう。
    日本でも導入事例が増えてきたバランス・スコアカードの実践例は参考になった。        

  • 予算立案、管理の考え方が分かる本。様式など細かいテクニックに走らず、予算のあるべき姿について満足出来る程に記載されている。オススメです。

  • 予算管理について良くまとまっている。理屈をきちんとおさえつつ、実務への適用可能性も抜かりない。
    3章を熟読して予算策定に挑めばしっかりと体系化された予算を組めるだろうし、その後の予算統制には4章がとても役に立つ。そして、予算管理とKPIマネジメントの関係を論じた7章が地味にいい。実務では、KPIの財務数値との関係が意外なほど意識されていない。そこのところが明快に論じられているのは、
    一方で、5章6章あたりはいかにも教科書的な概論で実用性には乏しい。こんなのもあったね、くらいの気持ちで。あと、ところどころ文章や図表がおかしいのも気になる。例えば縦軸横軸がなんなのかさっぱり不明なマトリクスが登場するのだが、あんなの作ったら普通のコンサルだったら怒られるよ。なんでこんな図がそのまま通ってしまったのか、ちょっと理解に苦しむ。
    とはいえ、クオリティに若干の難はあるものの、全体としては使える一冊だと思う。

  • 4〜5

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