社会は存在しない セカイ系文化論

  • 南雲堂 (1970年1月1日発売)
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感想 : 3
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  • 本 ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784523264842

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  • 「いいかえれば、社会という中間項が、我々の周りにある小さな領域と、世界として類される大きな領域とを結ぶことができないという事態において、いかに我々は生きるべきかを問い返しているのだ」

    いわゆるセカイ系というものが、現代の共同体の欠損に由来しているという指摘はなるほどと思うし、その通りなのではないかなと思う。

    セカイ系というのは個人の行動やら妄想やらが直接的に世界そのもののあり方に影響を及ぼしてしまう、ザ・自意識過剰、中二病的な総体を示す言葉だと僕は捉えているけれど、それも当然のことなのだろう。社会につながろうとした時に、そのあり方が個人しかありえない人々というのは一定数以上いて、特に学生であればそれは顕著なのではないか。

    セカイ系的要素の強い小説、たとえば多くのライトノベル(最近の傾向は知らね)に関してはこれがものすごくいえると思うし、逆に代表し所属する組織のあるビジネスマンに受けない要因の一つなのではないかなと思う。いやビジネスマンにセカイ系がどの程度流行っているかとかの統計データは知らないのだけども。

    僕の周りの人間もこの中間項、共同体の不足について考えを巡らせている人が多い。これは世界への働きかけを志向するひとにとって特に顕著な関心事だ。

    それは逆に会社というものに所属していない状態で、社会への働きかけをしようと考える際には、必要不可欠なことだということを示しているのかもしれない。

  • ●『社会は存在しない~セカイ系文化論』 。[例外状態]の探索のため、笠井潔の「セカイ系と例外状態」を読んでいたら、収録されていた小林宏彰氏の「快快〈faifai〉論~〈セカイ〉の全体性のうちで踊る方法」を再発見。必読の力作快快論である!

  • 新潮2009年10月に書評されていた本

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