平成ストライク

  • (株)南雲堂
3.09
  • (2)
  • (7)
  • (28)
  • (5)
  • (1)
本棚登録 : 128
感想 : 24
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784523265849

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「ラビットボールの切断」白井智之
    のみがKindleで購入できたので、この作品しか読んでいません。
    「平成に捧げる小説集」がテーマのようです。

    変わらぬエログロ感で、笑いながら読んでいました。
    短編なので気軽に読める割にきちんとミステリーなので、事件もあり、トリックもあり。
    毎度変わらず犯人はハズれますが。
    白井智之の作品は、意表を突かれる表現方法が魅力の1つだと思います。
    物事や気持ちの例えを表す表現を、
    「万馬券を拾ったような気分」
    「政治家みたいなわざとらしい笑み」
    「狂犬病のサルみたい」
    「ウシガエルみたいにたるんだ顔」とか。
    もっともっと奇抜な表現がたくさんあるのだけれど、すごく自然に、さらりと使いこなすので、いちいち頭の片隅で突っかかる事がありません。
    私にとってですが、ある種の「癒し」です。

    新刊「名探偵のはらわた」(またタイトルが笑)とても楽しみです。

  • 平成に纏わるアンソロジー。世代的にはピッタリ。
    青崎有吾さん、、、JR西の福知山線脱線事故をモチーフにした青春ミステリ。日常の謎が非日常と遭遇した話。
    井上夢人さん、、、ベテラン。バイトテロ始めとした炎上の話。えっ、ここで終わりという短編。
    千澤のり子さん、、、あんまり知らない作家さん。2分の1成人式といういつの間にか定着した気味の悪いイベントと、ネグレクトの話。ミステリと平成というテーマのバランスがちょうど良い。
    遊井かなめさん、、、まったく知らない作家さんだったが、本アンソロジーの編者でもある。短編は雰囲気オンリーの半グレの話だが、渋谷サブカル、渋谷系音楽が好きな方には懐かしさがある。
    小森健太朗さん、、、書き下ろしではないらしいですが、古典ミステリ(館もの)の現代的解釈の異色作として、アンソロジーに入れたかったのかも。結末は噴飯ものだが、作者の中ではマシなほうかもしれない。
    白井智之さん、、、天才作家。未読短編だったので嬉しい。すけべな新興宗教の教祖が、陰部を切り取られて死んでいるフーダニット。理解不能な動機と心理描写、怒涛の伏線回収とらしさは抜群。アンソロジーで出会ってしまった人で拒絶反応がなければ今後も是非。でもひっどい話です。
    平成も正直関係ない、いつものインモラルワールド。
    乾くるみさん、、、当たり外れの多い飛び道具的な作家。消費税増税に纏わるコミカルミステリ。すごい小粒。
    貫井徳郎さん、、、超実力派。このアンソロジーでは少し浮いてませんか?スマイリーキクチさんのネットリンチが題材。流石の切れ味だけど、これミステリですか?
    天袮涼さん、、、震災がテーマ。メフィスト賞作の共感覚の持ち主の主人公が登場する。印象めちゃくちゃ薄い。この人はあまり合わないかも。

    けっこう読んでいる作家さんが多い中でしたが、白井智之さんの短編は良かったけど、それ以外はあんまりかなぁという印象。アンソロジーとはそういうものであるか。

  • +++
    激動の昭和が終わり、バブル経済の熱冷め止まぬうちに始まった平成。
    福知山線脱線事故、炎上、児童虐待、渋谷系、差別問題、新宗教、消費税、ネット冤罪、東日本大震災――平成の時代に起こった様々な事件・事象を、九人のミステリー作家が各々のテーマで紡ぐトリビュート小説集。

    「平成」という言葉を聞いて 感傷的になっちゃってる自分を照れくさく感じるような人たちへ。
    「加速してゆく」青崎有吾
    「炎上屋尊徳」井上夢人
    「半分オトナ」千澤のり子
    「bye bye blackbird...」遊井かなめ
    「白黒館の殺人」小森健太朗
    「ラビットボールの切断」白井智之
    「消費税狂騒曲」乾くるみ
    「他人の不幸は密の味」貫井徳郎
    「From The New World」天祢涼
    +++


    まったく好みではないものもあったが、平成という時代を振り返り、その長さと変化の激しさを改めて感じられる物語たちである。現在とは、小説に登場する小道具が違い、言葉遣いが違い、生活の周囲の空気感が違う。「平成」とひとくくりにしてしまうと、橋のない水路を飛び越して、新しい時代である現在(いま)に立っているような心地になる。だが、昭和から平成、そして令和、すべてが地続きなのだと、ふと気づいたりもする。時代の空気ってどうやって作られるのだろう、などと考えたくなる一冊である。

  • 「平成」をコンセプトとした9人の作家さんのアンソロジー。平成にあった事件や事故など題材が多種で面白く読んだ。途中、グロさに挫折したお話もあったけれど、井上夢人さん、乾くるみさん、貫井徳郎さんは安定して面白かった。

  • 色んなことがあったなぁ。
    消費税の 面白かった。

  • あぁ、あったな平成の時代に、というものが題材になっている。ちょっと前のことのように思うのに、考えたらそうでもなかったりして……。
    時の流れははやい。

  • 懐かしい物事使って
    面白く読んだ。
    相変わらずの白井智之…笑

  • 福知山線の事故、急速に発展するSNSと燃え上がる悪意、盛り上がり消えていく流行りと街の空気、凄惨な虐待や性被害、児童による殺人、増税、そして東北大震災。めまぐるしい平成の三十年の間にあった事柄を、空気をテーマにしたアンソロジー。

    青崎先生目当てで、あとは井上先生、貫井先生、乾先生は既読かなあ。他の方は名前はわかる程度。ちょっとわたしには消化不良の短編が多いかな。まとまりよくて読みやすいのは青崎先生。平成の空気感を一番感じたのはさすがに主宰の遊井先生。この感触を懐かしく哀愁を感じるのはもはや一定以上上の世代で自分もそちら側だと思うと不思議だな。あらゆる小ネタをしこむのが好きなタイプの作家を集めたのだなという印象。それはそれとして、平成という時代に想いを馳せて楽しくはあった。

  • 青崎有吾さん目当てで読んでみた。やっぱり青崎有吾さんの作品が1番好きかな。どちらかというと苦手な作品が多かったかも…

  • 振り返るにはまだ早すぎるかもしれないが
    平成という時代は昭和を薄めて伸ばした時代だなーとも
    ただ不穏さだけが増していて不気味

    アンソロジーながら明確なオチを求めなくなったともいえるのかもしれない
    あなたで判断してくださいと言われているようで
    その個々の判断が肥大している

    個別の感想
    「加速してゆく」 /青崎有吾 福知山線の事故をある意味ショーアップして
    うまくまとめている

    「消費税狂騒曲」 /乾くるみ 皆さんにとっていいことが個人を無視しているのをよく表しているし、答えから無理くり論旨展開している消費税を感じた

    「白黒館の殺人」 /小森健太朗
    弱者の味方をすることで自分を守ろうとしてる人嫌い

全24件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

★小説家/推理作家。“平成のエラリー・クイーン”の異名をとる、本格ミステリ界の若きエース! 代表作に『体育館の殺人』『図書館の殺人』『ノッキンオン・ロックドドア』など。

「2018年 『ネメシス ♯40』 で使われていた紹介文から引用しています。」

青崎有吾の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×