レアメタル資源争奪戦: ハイテク日本の生命線を守れ! (B&Tブックス)
- 日刊工業新聞社 (2007年3月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (163ページ)
- / ISBN・EAN: 9784526058134
感想・レビュー・書評
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中露は、露骨に豊富な資源を外交カードとして使い始めた。アメリカが世界を牛耳っていた時代が終わり、中露印が台頭してくる。では、日本はどうすれば良いのか、それを考えさせられる本であった。
本書で述べられるように、「資源の開発に協力する代わりにその貴重な資源を輸入する」という方策が最も現実的かつ有効な手段であろう。だが、取引する相手を選ばなければならない。
中国は、内需が増加したのと、資源ナショナリズム、歴史問題もあり、今までのように中国に頼ってばかりいるとレアメタルに関する保護政策の影響をもろに受けてしまう。これは、先年にもニュースになり問題になっていた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ゼミの発表のために読んだ本。最近中国が領土問題の外交手段としてレアアースの輸出を停止した。時事問題としても、日本のこれからを考える上でも、レアメタルは重要な資源である。レアメタルはハイテク産業で生き残るための必需品。携帯電話、テレビ、デジカメなの私たちの身の回りのものに使われている。
日本が生き残るために・・・
・中国と協力
・中国以外の国と協力
・代替材料の発見
・日本での生産量が多いスポンジチタンを生かした産業作り
・国内鉱山の再開
・エコリサイクル技術(環境)
・新たな資源の開発
などが挙げられる。
原油とレアメタルの市場価格がパラレルで推移すること。
日本にもスポンジチタンという資源があったこと。
鄧小平が「中東有石油、中国有希土」と言ったこと。
中国が輸出を制限しながら、海外で資源開発していること。
など日本のこれからを考える上で参考になることが多く書かれていた。 -
ハイテク製品の生産に不可欠なレアメタルが世界的に暴騰する中で、各国の熾烈な争奪戦が起こっている。レアメタル専門商社で長い経験を持つ著者が、その業界の実情や各国の戦略と今後の見通しについてまとめた一冊。
特殊鋼業界で働く一員として、レアメタルの高騰は仕事にも直結している。しかし恥ずかしいことに、レアメタルの使い方は知っていてもそれが鉱山からどのようなルートで特殊鋼メーカーまでやってくるのか、またその価格はどのようなメカニズムで決定しているのか、それらの点はまるで知らなかった。
本書を読んで痛切に感じるのは、日本の戦略不足だ。多くのレアメタルの主要産地となっている中国が資源ナショナリズムに走っていることは知っていたが、それはあくまでも自国が持っている資源を高値で売るためくらいの認識だった。しかし実際は、海外(主にアフリカ)産のレアメタルに対する利権まで押さえつつあるという。
海外の資源利権の確保は、自国で産出できない日本にこそ必要な戦略のはずなのに、その分野ですら中国に遅れを取ってどうするのだろう。まったく情けない。また国家備蓄についても、欧州や米国に比べて日本のそれは貧弱きわまりないという。正直なところ、日本はもうダメなんじゃないかとすら思えてくる。
本書は最終章において、日本が勝ち組になるための様々なアイデアを提言している。本当に、一刻も速くこれらの方策が実行されることを希望してやまない。 -
6/17