トコトンやさしいエントロピーの本(第2版) (今日からモノ知りシリーズ)
- 日刊工業新聞社 (2020年2月28日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784526080432
作品紹介・あらすじ
エントロピーは、自然現象に対するものの見方を深める意味で非常に重要な物理の概念。本書は数式を極力用いずに、身近な具体例を使ってエントロピーをやさしく解説する。要望が多かった「なぜエントロピーが増えるのか」と「ボルツマン分布」の解説に紙幅を割いた第2版。
感想・レビュー・書評
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エントロピーという概念を、最大限初心者に向けて分かりやすく書いた本。エントロピーに対して知識がほとんどなかったが、もっと突き詰めたいと思わせる良書で人に薦めたい。
エントロピーは全体として必ず増大し、質の低下と存在空間の拡大で説明できる。
最終の6章で急に難しくなるが、量子化やボルツマン定数など物事の本質に直結する話で熱力学に対して好奇心をそそられる。
環境問題との関わりも考えさせられる。リサイクルや再生エネルギーは本質的に環境に優しいのか?など、、。
エントロピーとは乱雑さの程度ではなく、配分の仕方の程度の数、がとてもしっくりきた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
映画TENETを観てエントロピーに興味を持ち読了。見開きで解説1P、図解1Pという読みやすい作りだが、扱っている内容がそもそも難しいためかスッキリ理解したと言えるまでに届かず。「変化には方向性がある」「物質はより乱雑で仕事をしない状態に落ち着く」「例え減少してもTENETみたいにはならない」ということはわかった。
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ボルツマン分布は統計力学に発展した。
エントロピーは増大する方向に自然に変化する。
速さはわからない。
質量保存の法則=物質は無くならない。エネルギー保存の法則。エントロピー増大の法則。
無理に元に戻そうとすると、他のエントロピーが増える。
電機が熱に、位置が熱に、化学エネルギーが熱に、太陽光が熱に、はエネルギーの質が下がるのでエントロピーは増える。
摩擦があるので、必ず熱に変わる。元には戻れない。エネルギー保存則だけでは、変化の方向がわからない=エントロピーが増える方向に変化する。
クーラーは、温度を下げる=部屋のエントロピーを減らしているが、室外は熱を出している=エントロピー補償。
エネルギーの質の低下と物質の存在空間の拡大=これもエントロピーの増大になる。
自然現象は、増大する方向に起きる。
錆びる、燃える、傷むなど。
酸化反応は発熱反応=エントロピーの増大、と酸素の固定=エントロピーの減少、の合成。
結露も蒸発も増大する。条件によって向きが変わる=温度によって、溶けるか、蒸発するか、固まるか、が変わる。
塩が解けるのは、溶解の発熱が空間の固定より多いから。骨が溶けないのはその逆だから自然には起こらない。
物質が広がろうとする性質は、融点を下げてまでして液体になる=凝固点降下、昇華など。
凍結防止剤は、塩が溶けていた水の状態のほうがエントロピーが高いから。凝固点降下。
ハンダの融点が低いのは、個体が液体になりたがるから。
沸点上昇=なるべく気体にしたくない(蒸発で水分が減少する)ので、まぜると沸点が上昇する。
凝固点降下、沸点上昇、蒸気圧効果、浸透圧は、液体に溶けたものが存在空間を広げたいために起こる現象。
生命活動は、ブドウ糖を燃やす=エントロピーの増大、
植物は、太陽光エネルギーを熱に変える=エントロピーの増大、で、ブドウ糖と酸素を作り出す。
電気はエントロピーが低い=質が高いエネルギー。
化石燃料は、化学エネルギー、元は太陽光エネルギー。
地球は増大したエントロピーを宇宙空間に熱という形で捨てている。
水の循環=エントロピーが増大して、宇宙空間に熱を捨てると、雨となって水に戻る。
リサイクルをすると他のエントロピーが増える。
宇宙は熱的死に向かうか。単純な話ではない。
気体の分子のの速度の分布はマックスウェルボルツマン分布になる。
ボルツマン分布=指数関数的な減少。
自発的なぽ留津マン分布への変化がエントロピー増大の本質。