規制改革の経済分析―電力自由化のケース・スタディ

  • 日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532133399

作品紹介・あらすじ

安定供給に不安はないのか?送電料金改革の効果は?電力制度改革の成果とこれからの改革がもたらしうる潜在的成果を、数量分析とシミュレーションで定量的に評価。制度設計の問題解決に必要な具体的提言を行う。

感想・レビュー・書評

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  • 章ごとに独立した論文集。
    第1章:1990年代以降の電力自由化による経営合理化と電力料金内外価格差の低減効果の実証分析。
    第2章:規模の経済により独占的な市場となる送電事業において、距離に応じた送電料金から距離によらない一律の料金体系へ規制改革することによる送電パターン変化のシミュレーション。
    第3章:地域内では独占的な価格支配力を持つ発電事業者が、既存の送電料金、送電容量を所与としてクールノー型競争を行った場合の発電量、価格のシミュレーション。
    第4章:需要家が卸売スポット価格に反応できる料金体系として、リアルタイム料金制度の仕組みの説明。
    第5章:混雑料金をベースとした送電設備への設備投資が可能か否かのシミュレーション。後半で、送電容量増大による便益を送電投資の回収に振り向ける投資の規模と費用の分担を決めるための最適な混雑料金とインセンティブ規制(当分析では2部料金制を検証)の組み合わせを協力ゲームに基づき分析。
    第6章:地域間送電網の形成過程と各地域の発電事業者の発電施設構成、需要特性の関連性を分析。また、空間経済学に基づく今後の発電設備、送電設備の立地のあり方を分析。
    終章:需給逼迫時の需要抑制と供給抑制のためのリアルタイム電力需給制度として、インバランス精算制度の導入が必要。日本のように電力のリアルタイム市場がない場合、リアルタイム発電の限界費用をインバランス料金として用いることで、インバランス精算が可能。ただし、その前提として、需要・発電計画の「前日通告制度」が不可欠である。

  • 独立行政法人経済産業研究所(RIETI)における「電力自由化研究プロジェクト」の研究成果を取りまとめた本書ですが、非常に刺激的な内容になっております。論文集なので部分的に読んでも参考になりますが、特に面白く最近の電力に関する議論の参考になると感じたのは面白い順番では3章、2章、1章です。

    まとめると既に実施された改革(1章、2章)により電力価格にしてそれぞれ1円/kWh前後の効果を得られていますが、さらに大きな効果は域内競争の本格導入(3章)により得られるということで、3日間の最大電力に基づく分析である点と安定供給という観点からの示唆はない分析という点に留意は必要ですが、今後の制度変更の議論の際には是非参考にすべき先行研究だと考えます。

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著者プロフィール

八田 達夫(ハッタ タツオ)
大阪大学名誉教授・政策研究大学院大学名誉教授
1943年東京都に生まれる。1966年国際基督教大学(ICU)教養学部卒業。1973年ジョンズ・ホプキンズ大学経済学部博士(Ph.D.)。オハイオ州立大学経済学部助教授(1972-74年)、埼玉大学教養学部助教授(1974-77年)、ジョンズ・ホプキンズ大学経済学部助教授・准教授・教授(1977-85年)、大阪大学社会経済研究所教授・所長(1986-99年)、東京大学空間情報科学研究センター教授(1999-2004年)、国際基督教大学教養学部教授(2004-07年)、政策研究大学院大学(GRIPS)学長(2007-11年)、学習院大学客員研究員・特別客員教授(2011-13年)を経て、現在、大阪大学名誉教授・政策研究大学院大学名誉教授。

「2013年 『ミクロ経済学 Expressway』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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