ルービン回顧録

  • 日本経済新聞出版
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レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (541ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532165154

感想・レビュー・書評

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  • ゴールドマン・サックスの共同経営者、アメリカ財務省長官と、企業・政治のトップを経験したルービンの回顧録。たとえば世界経済危機の際の、各国への支援の手段をめぐる意思決定の過程など詳しく述べられており、臨場感がある。意思決定に際してルービンは、「確かなものは何一つない」と複数の手段を検討し、その手段を実行した場合に起こる事象の確率やメリット・デメリットを慎重に検証する。財務長官という立場なら、トップダウンでとにかくスピード重視の決定をするのではと私は考えていたので、この点は特に興味深かった。政治の舞台裏を知ることができたとともに、議論の進め方のコツなど仕事に生かせる教訓も学ぶことができた。

  • ゴールドマン・サックスのシニアパートナー、クリントン政権時の国家経済会議委員長、財務長官、シティグループの経営執行委員会会長など、華々しいキャリアをもつロバート・ルービンの回顧録。

    わしの胸に響いたのは下記のくだり。

    「仕事一途の度が過ぎると仕事の虜となり、ひいては自分の上で権力を持つ者の言いなりになる。一方、仕事がすべてではない人間は、身の引き方を知っており、精神的にも独立している」

    「ゴールドマン・サックスに入った当時は、もちろん政権入りした頃のような経済的な余裕もなかったが、それでも、いざとなったらここを辞めてまったく違う人生を歩めばよいのだと気軽に考えていた」

    「こうした割り切りのおかげで、独立心を保ち自由な考えを述べることができ、数々の重圧を切り抜けられた」

    「どこに身をおこうと自分自身は変わらないのだから、己の本質を見極めることが肝心なのだ」

    これらは、第11章『ワシントンを去る』の終盤に出てくる記述。
    これらの文章に出会えただけでも、この本を読んだ甲斐があった。

    「確実なものは何もない」という彼の蓋然的哲学とか、彼の功績とか、アメリカ経済・政治の難しさとかは本書を読むなり、アマゾンのカスタマーレビューを参考するなりしてくださいです。

  •  いま、あなたの目の前に憧れの人がいるとしよう。その人が好きで好きでたまらない。でも、実際のところ、あなたがその人に何のアプローチもしないとしても、世界に対しては何の影響もない。もしかしたら、あなたたちの子供が救世主になるかもしれないが、実現しない未来には誰もケチをつけない。しかし、たとえ実現しなくてもケチをつけられてしまう人達がいる。だが、決断しなければならない。それが政治家だ。

     ロバート・E・ルービン。第70代アメリカ合衆国財務長官。この本の著者だ。彼曰く、彼の思想の根底にあるのは蓋然的思考。すなわち、世の中に確実なことなど何もないのだから、どんな起こりえないと思える事態も起こりうる。そんな思想の元にアメリカ経済を牽引してきた男。

     なぜ彼がそんな思想に支配されたのか。この本を読めばその一端が理解できることだろう。アメリカの投資銀行ゴールドマン・サックスで裁定取引に従事し、市場ではどんな事態でも起こりうると言うことをその身に刻んできたのだから。

     お金を儲けたいだけならば、別に政治家になどなる必要がない。彼の根底には、政治への熱望が潜んでいたのだろう。この本には、クリントン前大統領への深い敬意とともに、自らが実施してきた経済政策の裏面が率直に記されている。まさに、生きた経済の教科書。
     また、政治の世界の恐ろしさも垣間見ることができる。たとえ自分が信じていなくても、政敵を追い落とすためならばどんなことでも利用するえげつなさ。自分の正義を貫くためには道を選ばない。

     結局、経済政策は結果のみによって評価されるもので、どんな高尚な理論もそれだけでは何の役にも立たないのだということが分かると思います。

  • クリントン政権閣僚の内幕話しは面白いし、やはり共和党に比べて暖かみがある。加えてサマーズとルービンの見解の違いはなかなか考えさせらる。

  • アジア通貨危機、ロシア危機などの当時のアメリカ政府の対応策が詳細に描かれている。

    またルービンの考察によるアメリカおよび世界を発展させる経済論も書かれていて結構おもろい。

  • GS時代からの回顧録。
    危機の時の対応など読みごたえはあり。政治背景が少し難。

    【格言】
    ①人生で確実なものは何もない。
    ②至上主義経済は歓迎されるが、それで全ては解決できない
    ③1国の繁栄のためには、IMFなどによる援助より、国の政策の信用と質の方が大切
    ④効果的な政策は金で買えるものではないが、時に金をジャブジャブにする必要がある。
    ⑤債務者が負債を追うとどうなるか、債権者が融資するとどうなるか心すること
    ⑥アメリカ合衆国は何を支持するかではなく、、何を批判するかで評価されることを心に受け入れる
    ⑦ドルは非常に重要な通貨であり、貿易政策の手段として用いるべきではない!
    →へー、そうか。
    ⑧選択肢があることはそれだけで素晴らしい
    ⑨実現不可能なことを保証する言い回しはしてならない
    ⑩意思決定において、小手先細工は禁物。真剣な分析と配慮に勝るものはない。

  • こいつすげぇと思った。

  • 2007夏 第三集会所

  • ゴールドマンサックスのトップやクリントン政権時代には財務長官を務めたルービン氏の回顧録。

  • ルービンって聞いたことあるけど何もんやねんって感じでしたが、財務長官だったわけね。しかも、ゴールドマン・サックスの共同会長まで上り詰めて、そっから財務長官。
    本書では、彼のゴールドマンでの経験や、財務長官時代の経験をもとに、メキシコ危機や、アジア通貨危機についてのアメリカ政府、財務当局の意思決定行動が詳しく述べられているて興味深く参考になる。ただ、当局の主体者が述べたものなので、例えばアジア通貨危機に対する行動の、より客観的評価、よくささやかれるアメリカのウラの真意などが述べられておらず、キレイごと感はあるのは否めない。
    ところで、いくらゴールドマンの会長にまでなった人間とはいえ、バリバリのウォールストリートの人間が大国の財務長官なんて務まるんか?って疑念があり、且つ本人も政治に対する不安があったみたいに書いてるけど、忘れてはならないのが、彼はハーバードを主席で卒業した秀才だということ。そして、ウォールストリートで大成したはんぱない金持ちだということ。
    アメリカにおいてなら、彼のキャリアを参考に、ビジネスから政治へのモデルケースとして参考になるかもしれんけど、日本の状況においては、どうなんだろね。やっぱり、ビジネスマンから行政分野のトップになるのはコネや血筋がないときついだろうね。勿論、本人の資質次第といえるかもしれないけど。例えばホリエモンもそれなりに財を成したわけだから、政治献金とか言う手口から政界進出を考えても良かったかもしれない。ただ、彼の場合は東大中退だし、そもそも普段の振る舞いが教養がなさ過ぎるから、アメリカでも無理だったろうけど。
    いずれにせよ、ルービンのような生き方には憧れる。やっぱハーバード出でないと、世界では学歴なんか通用しないんだろうな。

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