- Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532165956
作品紹介・あらすじ
揺さぶられる身体感覚。欧州、北米、中東、日本を駆け巡り、自作を朗読し、読者と話した1年。見る、聞く、歩く、触る、食べる。街の表層が裂け、記憶がゆがむ。待望のエッセイ集。
感想・レビュー・書評
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日経新聞で1年間、毎週土曜日に連載された都市エッセイ。1~12月、土曜日の数の分だけの都市名のタイトルがずらっと目次に並んでいる。一番多いのはやはりドイツだけれど、中欧、北欧、アメリカその他かなり範囲は幅広く、日本国内ですら行った場所は数えるほどしかない自分からしたら、お仕事の必要上とはいえよくぞこれだけの旅を重ねられたものだと驚愕。
1作1作は3~4頁なのでとても読みやすく、とかく引きこもりがちな当世、ちょっとした旅行気分も味わえて楽しかった。サボテンのトゲがめっちゃ刺さる話とか、親切な神父さんが殺人犯で蟻がきっかけで捕まる話とか、他の小説で使われていたエピソードが実話だったのにも驚きました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
装丁、文章と挿絵の配置、月ごとの章分けなど、全体の雰囲気が魅力的でした。
そんなに透けたり溶けたり歪んだりはしない。 -
溶ける街 透ける路。多和田葉子先生の著書。多和田葉子先生による旅行記エッセイ。多和田葉子先生のように多様な文化や新しいものを柔軟に受け入れて学ぶ謙虚な姿勢を見習いたいと思います。
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完全な旅行記であった。ドイツ内のことが少ないのですこしがっかりである。
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多和田葉子が訪れた様々な国の様々な都市について記したエッセイ。異国の空気が流れてくるかのような文章。行ってみたくなる。
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タイトル買い、ジャケ買いで買ってしまった一冊。旅行記。主に欧州の都市が書かれている。
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なんか、文章がすごく繊細って感じがするんですよ。装丁もうっとりするほどステキだし。
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世界地図を横手において読むことをお勧めする。
それぞれの街の本当の様子、本当のというのは人々の考えていることや習慣などについてで、それについての発見が多く描かれていたので、行ってみたいと思うと同時に不思議と知った街のような気分にもなった。
各章の最後の2~3行にはっとさせられたりくすりとさせられることが多かった。
言葉の選び方もきれいでたおやか。
粋な言い回しをしても嫌味な感じがまったくしない。
とても好きな感じの文章だったので、他のエッセイも読んでみたい。 -
どの町も毎年変っていく。今年のベルリンは去年のベルリンとはまた違う。五年前のモスクワは十五年前のモスクワとは全く違っている。だから今年のブダペストと数年前のプラハよりは、今年のブダペストと今年のニューヨークが一冊の本の中に共存する方が納得できるような気がした。地球の表面を早い速度で移動しながら生きていると、さまざまな地域が見えない糸でつながっていて、ともにひとつの時間を生きているのを肌に感じる。そのつながりを手がかりにエッセイを織ることの方が、この町は昔からこういう町であるという歴史の縦糸を織ることよりも楽しかった。
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装丁と挿画が内容にぴったりですてきな一冊。
北方が好きなので、登場する街のラインナップも魅力的。
マリア・グリーペの物語を読み返したくなりました。