人類の議会 上: 国際連合をめぐる大国の攻防

  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532166397

作品紹介・あらすじ

19世紀、英国の詩人テニスンは、過去数百年にわたって繰り返された戦争に心を痛め、世界平和を実現するために国家の主権を超えた国際機関-「人類の議会」が必要だと訴えた。国連(国際連合)は、この崇高な理念に共鳴した人々によって創設された、史上類を見ない機関である。だが、大国の利害に翻弄される苦難の歴史は、誕生直後から始まっていた…。世界的ベストセラー『大国の興亡』で知られる歴史学者ケネディは、国際連盟の誕生前夜から筆を起こし、幾多の戦争や国際情勢の変化が、国連にいかなる影響を及ぼしたかを描く。また、安全保障理事会など国連諸機関の実態も詳細に紹介。北朝鮮問題や安保理常任理事国入りなど、日本外交の重要課題にも貴重な洞察を与える話題作。

感想・レビュー・書評

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  • 170317 中央図書館
    パラパラめくっただけ

  • 生まれて初めて読んだ政治経済の本はポール・ケネディの「大国の興亡」で、中学生の時に貪るように読んだのを昨日のことのように思い出しました。文学部に行かず政治経済に進んだのは著者の影響が多少なりともあったかもしれません。
    でも、国連の創設と歴史について書かれたこの本は思いの外平板で読むのに苦労しました。データも無ければ血肉も見えない。下巻を読むかは若干考えてしまいます。いや、いい本なんですよ。学生時代なら必読書だったかと。

  • 「国連が何をしてきたか」と同時に「国連は何をできなかったのか」を分析した本。後者の記載のほうが多いのは現実をよく反映している。

  • 国連に関する著作は世間に多く出版されているが、本書はその普遍性と客観性において特筆に価する一書ではないかと思われる。
    本書の狙いと構成は、ポール・ケネディ自身が述べているように一文で言い表すのは難しい。
    そのうえでポール・ケネディは次のように述べている...

    【開催案内や作品のあらすじ等はこちら↓】
    http://www.prosecute.jp/keikan/054.htm
    【読後の感想や読書会当日の様子などはこちら↓】
    http://prosecute.way-nifty.com/blog/2009/09/54-2c80.html

  • 国連創設時からの功績や失敗やら、いわゆる歴史が詳細に説明されてた。(失敗に関しての記述が圧倒的に多かった。)前に読んだ岩波新書の「国際連合 軌跡と展望」は国連の方が書いてたのに対してこの本はそういう当事者の方ではなく第三者的立場の人が客観的な視点の下に書いているので国連の狙いや各国の思惑が細かく書いてあったからこちらの方が読みやすかった、っていっても簡単なわけじゃなくもちろん難しい本でした。

    まず一つ目に思ったこと。これは大学のゼミでも発表したことだけど、ひとつの大国の独断での行動(あるいは拒否権の行使とか)はある意味で国連の創設時の狙い通りだが明らかに有効に働いていない歴史がすぐそこにあるわけでこれからの平和構築を考えていく上で再考する必要があると思った。例えばソマリア内戦についての話をしてみよう。1982年にソマリアで内戦が勃発したために1992年、国連安保理はPKO国連ソマリア活動のためにアメリカ軍中心の多国籍軍を派遣した。国連のもと支給された食糧やら物資が現地でアイディード将軍らの兵士に強奪されることが多発して国民に食料が行き届かず飢餓がかなり進行していた。アメリカ中心の多国籍軍はアイディード将軍の補足のために作戦を実行したが兵士18人の死亡とそのアメリカ兵の死体が民衆に引きずり回される映像が放送されたためにアメリカ軍がソマリアから撤退した。18人という死者は決して多いわけじゃないが、それに比べてソマリア国民は何万人という人々が死んでいっている。あまりにも中東の人々の命を軽視しているとしか思えない。このアメリカの独断の撤退はどうかと思った。そして多発テロからイラク戦争。ワールド・トレード・センターが攻撃されて憤慨するのはとても理解できる。でも問題はそのあとの行動。十分な証拠なしにイラク攻撃をまたもや独断で実行。なんちゅーかね、力のある国が独断で動けるようじゃ世界の平和なんて作れんのかなって、すごく思います。大国独自で行動できる状態はなんとか解決しなければいけないと思う。安保理での集団的決定にもうちょい拘束力を持たせた方が大国の暴走やら独断への抑止力になると思う。そして何よりアメリカ主導の世界という状態を打破する必要があると強く感じる。これこそまさに“一つの大国”を協調して暴走を助長してるような感じがあるので。今や情勢は激変しているのでいつまでも国連創設時の体制ではこれからの未来の危機に対して対処できないだろうなって感じますよ。

    二つ目に思ったこと。自分が思っていた以上に経済的対処の失敗が多いなぁと、世界銀行やらIMF(国際通貨基金)が支援失敗を繰り返してるんだなぁと。って言ってもあまりにも書いてある出来事の数が多すぎるから覚えてる事が少ない状態で少し残念。この本も難解なため(翻訳書だから少し変な日本語がでてきたりでてこなかったり…)複読の必要ありです。さぁて下巻に取り掛かるとしますかねっ!!!!

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著者プロフィール

山本文史

近現代史研究家。1971年フランス・パリ生まれ。獨協大学英語学科卒業、獨協大学大学院外国語学研究科修士課程修了、シンガポール国立大学(NUS)人文社会学部大学院博士課程修了。Ph.D.(歴史学)。著書・翻訳書にアザー・ガット『文明と戦争 上下』中央公論新社、2012年(共監訳)、『検証 太平洋戦争とその戦略(全3巻)』中央公論新社、2013年(共編著)、Japan and Southeast Asia: Continuity and Change in Modern Times (Ateneo de Manila University Press, 2014) (分担執筆)、キショール・マブバニ『大収斂――膨張する中産階級が世界を変える』中央公論新社、2015年(単訳)、『日英開戦への道 ―― イギリスのシンガポール戦略と日本の南進策の真実』中公叢書、2016年(単著)、ニーアル・ファーガソン『大英帝国の歴史 上下』中央公論新社、2018年(単訳)などがある。

「2020年 『イギリス海上覇権の盛衰 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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