- Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532167288
感想・レビュー・書評
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海外に行かずとも問題はここにある。興味深く読ませてもらった。
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新聞記者が、ある地域に1ヶ月住んで取材したルポで、その地域の一つに移住体験で人気の北海道浦河町があります。田舎暮らしに憧れてとか、馬に魅せられてといって実際に移住された方の声、また、大正創業の映画館館主やアイヌ民族といった地元の方のお話もあり、短い章に実生活が凝縮されています。(浦河)
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50、60代のベテラン記者たちが日本列島の各地に1カ月間の密着取材をし、日経新聞の夕刊に連載し反響を呼んだルポ「住んでみるシリーズ」をまとめた一冊。寿町のドヤ街、問題を抱えた若者が共同生活をする奈良県吉野町の自立寮、ブラジル人が半数を占める豊田市の団地など、日本社会が抱える問題を凝縮したスポットとともに、岡山のハンセン病療養所・邑久光明園が扱われている。療養所内の職員の業務や、地域文化と入所者の関わりなど、住み込むことでしか見えない土地や施設の実情と、地元民との親密な交流が綴られている。
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初めて聞く日本にある海外、過去の歴史に気持ちがおもわず暗くなってしまった。
北海道でアイヌが差別にあっていたが、あるアイヌの人がアイヌもシャモ(和人)も同じ仲良くクラスことが大切といっていたところが印象的。 -
日本の中でも一風変わった地域に住んでみるというルポ。コンセプトは非常に面白いのだが、文章が追いついてないような印象をうけた。ただ、NGOなどによる頑張りもむなしく、いろんな問題が残っている。ハッピーエンドになりえない現実にむしろ興味がわいた。
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日経の木曜夕刊で連載された「住んでみる」シリーズが、途中まで本になったやつ。今も連載は続いているが、この春から紙面がかわって土曜夕刊になった。
新聞の連載のときから毎回ずっと読んでいて、たまに切り抜いてみたりもしていたが、本になったし、ちょうど浦河の話も入ってるし、まとめて読みたくて借りてきた。
「日々、時間に追われていると、取材先で型どおりの質問をして、予想された答えが得られれば、それでよしとしてしまいがちだ。…ことに地方出張の際などは、帰りの飛行機の出発時刻に追われて突っ込んだ取材ができずに、結果的に底の浅い記事しか書けず、後で自己嫌悪に陥るようなことがある」(p.3)という記者の体験から、シニア記者がそれぞれの地に一ヶ月住んでみる、その住んでみた日々から書かれた連載。記者が住んでみた場所は「日本社会が抱える問題が凝縮したような場所」だという(p.4)。
最南端の孤島・与那国、横浜の寿町、奈良・吉野の若者自立寮、北海道の浦河町、日本ブラジル共存のまち・豊田の保見団地、そして岡山・邑久のハンセン病療養所光明園が、この一冊目におさめられた場所。
こないだ行ったところの浦河が、行ってきた復習みたいでおもしろかった。都会からの移住のこと、アイヌのこと、92年続くという映画館「大黒座」のこと、馬のこと、べてるの家のこと、昆布のことなど、浦河町のいろいろが網羅されている。
「丘と海のまきば」と町民がよぶというように、千歳から浦河へ向かう国道とJRの日高線(このふたつは時に交差しながら、ほぼ並んで走っている)から見える風景は、遠くまで広がる牧場が見えるところも多かったが、浦河に近づくと片側は海が迫り、もう片側はわずかな平地の後ろは山で、広島の呉線からの風景に似ていた(呉線から見える瀬戸内海には、島がたくさんあるところが違うが)。
車窓から見える動物は馬が一番多かったが、鹿、牛、豚、雉なども見た。浦河町のある日高郡は馬の産地で、国道沿いには、馬をモチーフにした街灯が町ごとにあった。
海と山が近いあたり、土地の狭いところには、アイヌの人たちが追われてきて住んだと聞いた。
▼浦河町には数百人が住んでいるとされるが、差別を恐れて素性を隠すためか、アイヌ民族で構成する北海道ウタリ協会浦河支部に登録しているのは165人だけ。「物産展への参加など光が当たっている人はごく一部。多くは生活苦にあえいでいる」という声も聞いた。(p.141)
浦河のアイヌのことはほとんどわからなかったが、先週の日曜には二風谷のアイヌ文化博物館へ行き、萱野茂さんが残した映像記録をいくつか見た。最初から最後まで見たのは、子どもの遊びのビデオ、横からちょっと見たのが、アイヌの踊りのビデオと、丸木から舟をつくるまでのビデオ。
子どもの遊びの記録は、撮影時期からすると、萱野さんは50歳くらい、うつっている子どもたちは私と歳の変わらないくらいのようだった。これはアイヌのことばではこう言うのだと子どもたちに語りながら、自分が子どもの頃に自然の中でどんな遊びをしていたかを子どもたちにやってみせ(そりを作ったり、樹液をとってアイスキャンデーにしたり、雪玉をころがしたり、木の蔓にぶらさがったり、あるいは囲炉裏端で大人が子どもに語って聞かせたり)、子どもたちが遊ぶ姿が映像になっている。その映像に、民映研の姫野忠義さんが聞き手となって、萱野さん自身の子どもの頃の記憶が語られる。
萱野茂さんがいなければ残らなかったものが、どれほどたくさんあるかと思った。他のビデオも、時間がゆるせば全部見たかった。
そういうすごい記録を見てしまうと、新聞記者が一ヶ月住んで書いたものはどうしてもうすーいように思えてしまうが、事情がゆるすなら、半年や一年くらい住み込んで書く記事を読んでみたいよなあとも思う。 -
ひとつひとつがまとまっていて読みやすかった。北海道の浦河町、静岡のブラジル人街、横浜の寿町、奈良の吉野にあるフリースクール、ハンセン病の施設。など、さまざまな場所に作者が一ヶ月住んでみる。そこでみたものや、知り合った人のインタビューなどが載せられている。少子高齢化、不登校、外国人受け入れ問題など、確かに日本の問題が見えてくる。ここを足がかりにしてもう少し深い本を読めるといいのだけれど。そして、人は自分でどこにも行けない、ここから動けないといったような規制をかけがちだけれども、どこにでも住めるということを再認識した。
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コンセプトが面白いなと思った本。
日経新聞の記者が1カ月間、日本のあちこちに住んでみて感じたことを紹介する本。
最西端の孤島 与那国に住んでみる、
変わりゆく労働者の街 横浜・寿町に住んでみる、
奈良・吉野町 若者自立寮に住んでみる、
田舎暮らしを体験 北海道浦河町に住んでみる、
日本ブラジル共存の街 豊田・保見団地に住んでみる、
岡山・邑久光明園 ハンセン病療養所に住んでみる
…という内容。
その場所に行かないとわからない真実、出会わないいろんな人、感じられない空気がある。
日本のあちこちの、あまりスポットライトの当たらない場所で、実はこんな苦労を抱えた人たちがいるのか、こんなにがんばっている人が居るのか…と考えさせられる。
自分も、いろんな場所を旅行する、だけではなく、「住んで」実際に「人と出会いたい」「見たり聞いたりしたい」と強く思う。
情報だけじゃ、わからない。
自分の五感で、確かめたい。そんな気持ちでいっぱいになった。 -
「住んでみてわかる生活真実を」