- Amazon.co.jp ・本 (508ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532168322
作品紹介・あらすじ
新エネルギー安全保障世界秩序の再編。世界的権威が見通す私たちの未来。下巻では、藻、スイッチグラスといったバイオ燃料、風力、太陽光といった再生可能エネルギー、内燃機関の進化、電気・水素自動車といった未来の技術に注目。普段は「エネルギー源」として考えていなかった「効率」や「節約」についても解説する。
感想・レビュー・書評
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圧巻の情報量。
技術面も政策面も、今日のエネルギー問題を取り巻くテーマは、ほぼ満遍なく網羅。「ノンフィクション」の枠を超え、「教科書」と呼びうる領域に。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
近代世界史はエネルギーの歴史と思わせるような、エネルギーを巡る話。国・民間がこぞって追い求めるのは炭素という形のマネーではないか。一方で再生可能エネルギーという新機軸によって、既存の体制を打ち破ろうとする、壮大なエネルギー大河ドラマが展開される。
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第3部 電気時代(承前)
第5章 新エネルギー
第6部 未来への道 -
下巻は第3章電気の時代の続きからでそのまま第4章の気候とCO2につながる。
クライムゲートの話も出てはいるが気候変動については概ね中立的でまだ充分なデーターが取れていないが、もし地球温暖化が現実なら影響が大きいので慎重な立場に見える。
第5章は新エネルギー、風力発電が発展することは確実視しながらも、太陽光ともにバックアップ電源が必須になることからすぐに夢の様な解決はしないとこれも現実的。
むしろ節約、省エネ(我慢すると言う意味ではなくエネルギーの効率利用)には期待しているようだ。当然だと思う。
最終章の未来への道に至ってもこれで全て解決すると言う答えは無く、再生可能エネルギー、原発、バイオマス、省エネ、それこそ石油やシェールガスも含めてイノベーションが未来に影響するが、現時点ではどれが早いかは述べていない。
エネルギーは単一の回答は無く、その時々で国ごとに最適な組み合わせを探す物なのだろう。
また、新興国を中心にエネルギー需要は過去最大になるし、効率化が進んだ先進国でも需要の絶対量はむしろ増えて行く。
上下900ページの重い本でした・・・。
現在のエネルギーや技術もそれが実現に至るまではほとんどが当時の常識で否定されていたので答えは何らかのイノベーションなのでしょうが、どれが来るかはわからない。
個人的には現時点で完成度が高いのは省エネ技術の様な気がしてます。 -
エネルギーの世紀、市場対国家を書いた、ヤーギンの新作。お勧めの一冊。
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下巻は、新エネルギーと環境性に関する記述が主体。
再生可能エネルギーは、比較的新しい分野でありながらも、その辿ってきた歴史を詳しく知ることは少ない。手短に勉強するためには格好である。
上下巻合わせて、900ページ近い大書であるが、まさにエネルギー史の教科書である。エネルギーに関わるものとしても、たいへん勉強になった。
今の日本の現状は、次に示す引用が正に的を射ていると思う。
「エネルギーの未来を形作る要素は無数にあるし、それらの相互作用は複雑で、ときには混乱をきわめ、利害関係や大局観のちがいも大きい。
そのため、首尾一貫した”エネルギー政策”を固めるのは、容易ではない。
”エネルギー政策”はしばしば、”エネルギー”を対象にしているとさえ思えない政治によって定められる。
だが、未来に決断を下すのに役にたつ原則がたしかにあることを、歴史が示している。」
そして、お金持ちで平和ボケの日本人に、痛烈な一言。
「リスクのないオプションなどなく、リスクはさまざま形で現われる」
言い尽くされているが、”エネルギー資源の多様化” を真に考えさせられてしまう。 -
人間が文化的な生活をするために必要な「エネルギー」。
世界の人口が増え、新興国の産業が発達するにつれて、エネルギーの確保が深刻な問題になっていると感じています。
さらに日本で起こった原発事故により、その調達手段の構成を、世界各国が見直さなくてはいけないということも、現時点での困難度を高くしていると理解しています。
そのエネルギー問題について、膨大な調査結果をまとめたのが本著です。
上下巻で合計千ページを超える大著です。
6部構成になっています。
まず、石油の産出について、次にその供給経路について。
次に、利用のされ方としての電気の重要性が増していること、エネルギー使用によるCO2他の環境問題と新エネルギーの開発状況と続き、最後に、今後の展望が記述されています。
前半の石油の部分においては、ロシアや中国とった国の隆盛と石油との関係、そして産出だけでなく供給路の確保ということに各国が注力しているという記述が、特に印象に残りました。
そして僕は特に、後半の新エネルギーの動向についての部分を、興味深く読みました。
太陽光と風力といった再生可能エネルギーを、技術の力でいかに効率よく活用するか、そしてスマートグリッドという技術手段による利用の平準化とそれ以前の”省エネ”も含めた、利用量の削減。
どれか一つの画期的な手段というものはなく、いま進めていることをミックスさせて総合的に、エネルギーを確保・利用していく必要があるのだなあと、理解しました。
体系的な章立てになっていますが、その中の記述は、関連する事例を紹介していくといった構成になっているので、理詰めで理解しようとすると難しい部分もありますが、大著にしては読みやすい書かれ方をしているのではないかなと、感じました。
エネルギーの探求は「知識の追求」で成り立っているという、著者の洞察は真理をついているのだろうなあと思います。
その知識が正しい形で集められ、高められていくことを期待したいですね。 -
下巻は、再生エネルギーの波を石油ショック、2000年以降のCo2問題に絡めて紹介、福島第一原発も登場。エコカーなど節約にも焦点を当てる。
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新技術がらみかと思ったらただひたすらにアメリカのエネルギー史であった。レビューですらなく、レポート。しかも調査内容を詰め込みすぎて読み物としては極めて読みづらい。かといって網羅的な基礎資料になるかというとそれには至らず、どっちつかずの残念な本。
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信じられない量の情報量のため、読み終えるのに長くかかったが本当に為になった。歴史のような古い出来事から遡らせてきっちりまとめあげる著者の腕は素晴らしい。読み終えた後の達成感が半端無く良かった