最高の戦略教科書孫子

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532169251

作品紹介・あらすじ

二千五百年ものあいだ偉人たちに読み継がれ、いまなお絶大な影響力を誇る名著を、1部『孫子』は何が言いたいのか、2部『孫子』は現代でも活用可能なのかの二部に分け、身になるステップを追っていく。

感想・レビュー・書評

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  • 最高の戦略教科書 孫子
    著:守屋 淳
    紙版

    テーマごとに並べられた孫子を初めて手にとりました

    エッセンスを短時間で確認するのはいいかもしれない。版もA5だし、読みやすい

    孫子とは、奇襲を主戦とする短期戦であり、戦争論は、主力同士がぶつかる持久戦を想定している
    なので、孫子の言う戦とは、速やかに勝利してそして、短期で撤退する

    ・孫子の背景には、絶対に負けることができない、プレッシャーが強い
    ・100戦100勝しても、体力がなくなれば、別の敵にやられてしまう
    ・戦争とは、国民の生死、国家存亡がかかっている。それゆえに、最新の注意が必要である

    1部は、孫子のおさらいです

    ・最高の戦い方とは、事前の敵の意図をくじき、これを封じること
    ・次にすぐれているのが、敵の同盟関係を分断して孤立させること
    ・勝てるのであれば当たり前に勝ち、勝算がないのであれば戦をさける
    ・敵を知り、己を知れば、絶対に敗れることはない
    ・戦争とは騙し合いである
    ・状況に応じて戦う
    ・個別撃破、敵が少数なら、囲んで戦う、敵の分散しているところを、味方の集中している兵力でたたく
    ・敵の最も重視しているところを、奪取することだ、そうすれば敵を意のままに振り回すことができる
    ・まず、勝つ見通しをつけてから戦う、そうすれば無理なく勝つことができる、別に人から賞賛されなくてもいい
    ・迂直の計、あとから出発したにも関わらず、計略をかけて、敵を留め、先に戦場に到達する
    ・情報戦、スパイ戦

    2部は、現代への応用篇

    ・戦場に最低最悪の状況を想定する
    ・試行錯誤とは、何度でも戦うことができる小規模戦、臨機応変とは、絶対負けることができない戦闘における応用戦。臨機応変でなければならない
    ・ジリ貧でも、漁夫の利でも勝利は勝利
    ・重心を見ぬけ、そしてそこをつけ
    ・長期戦には、王道で。奇襲戦はなんども通じるわけではない
    ・孫子と孫子の戦い、個別撃破を計画すれば相手も個別撃破をしかけてくる
    ・勢いと育成、勝ちぐせをつけて、一歩でも前へ出る

    目次
    まえがき

    I部 『孫子』はそもそも何を問題とし、何を解決しようとしたのか

    第一章 百戦百勝は善の善なる者にあらず
    第二章 敵と味方の比べ方
    第三章 戦いにおける二つの原則――不敗と短期決戦
    第四章 兵は詭道なり
    第五章 情報格差のある状況での戦い方――各個撃破と急所
    第六章 情報格差が作れないときの戦い方 1主導権と裏の読みあい
    第七章 情報格差が作れないときの戦い方 2無形と勢い
    第八章 自国内での戦い方――地形とゲリラ戦
    第九章 勝は度から導き出される
    第十章 勝てる組織と将軍の条件
    第十一章 情報を制する者は戦いを制す

    II部 『孫子』の教えをいかに活用するか

    第十二章 そもそも人生やビジネスに、戦いなんて必要ないのではないか
    第十三章 そもそも戦略と戦術とは、どう違うのか
    第十四章 試行錯誤ばかりしていたら心が折れそうなんですけど
    第十五章 ジリ貧状態では、不敗なんて守っていられないのではないか
    第十六章 相手の急所をつけば、すぐに決着などついてしまうのではないか
    第十七章 詭道やだましあいなんて、品性下げそうでいやなんですけど
    第十八章 「各個撃破」なら勝てるのに、なぜ「選択と集中」では失敗するのか
    第十九章 追いつめる以外の「勢い」の出し方はないのか
    第二十章 弱者はどのように振る舞えばよいのか

    ISBN:9784532169251
    出版社:日本経済新聞出版社
    判型:4-6
    ページ数:384ページ
    定価:1800円(本体)
    発行年月日:2014年01月
    発売日:2014年01月24日1版1刷
    発売日:2014年02月27日4刷

  • 初版2014年。

    「孫子」と聞いて古いと思う人もいるかもしれないが、この本は訳と解説の良さによって現実の様々な局面を想定して書かれているので、現在でも役立つとてもいい本である。生活・ビジネスにも応用できる。

    読み込むと勝率が一気に上がる。「彼を知り、己を知れば、百戦して殆うからず」が孫子の教えの中で一番人気があり有名で、奥が深い。

    もちろん他にも多くの言葉が書かれていて、それらの訳や解説を読んでいると、三次元的に頭の中でヒト・モノ・コトが動き出し、面白い本である。

    名著であり、何度も読みたくなる。帯にある言葉通り、「もっと早く読んでおけば良かった」である。

  • 1.ビジョンや戦略を立てるときの原点とも言える本書をしっかり読んでみたかったので読みました。

    2.孫武が戦争時代に述べていた言葉を周りの人間が書き留め、戦いにおける勝ち方について述べています。基本的には勝つための格言が書かれていますが、勝つとはなんなのか?ということから深掘りされており、戦いに勝っても国が疲弊していては意味がなく、そうならないためにはどのタイミングでどうやって引くのかまで書かれています。

    3.正直、内容をしっかり理解することはできませんでした。というのは、この本は著者が解説をしてかれていますが、それだけが答えではないため、自分自身でさらに深掘りしなければ本当の意味で理解したとは言えません。ですので、大切なのは、浅い言葉で表現された本書をどれだけ自分の言葉で深くできるのか、活動プランにまで落とし込めるのかが大切だと思います。
    まだまだ何回も読み直すことになるだろうと思いました。

  • 孫子が残した言葉というのもかなり印象的だったが、それよりも応用についての言及が個人的には良し。
    一見すると、「こんな古臭い戦争についての言葉なんか現代にどう活かすんだ。」と思うようなものでも、抽象的に捉えると様々な事物に応用できるという考え方になるほどなと。

  • 前々から孫子を読んでみたいと思っていた中読書。
    古典の名著といわれるが、本当に現在でも全く色褪せない原則が多く記されている印象

    メモ
    ・いかに負けないかというところ。戦わないで相手を屈服させることは最善の策
    ・自分より弱い敵は味方に引き入れよ。敗れた敵兵もひきこめ。
    ・力関係が同じくらいの場合、事前に敵の意図を見破り、これを封じる。または敵の同盟関係を分断し孤立させる
    ・五事七計
     道 下々と上を一心同体に
     天 昼夜晴雨寒暑などの時間的条件
     地 地理的条件
     将 将軍の器量
     法 軍需物資の管理など軍政に関する条件

     主 責任者はどちらが戦いの理由を下まで浸透させているか
     将 どちらが有能か
     天地 天の時と地の利はどちらに有利か
     法令 法令はどちらが徹底して兵器兵站はどちらが優れるか
     兵 どちらが精強か
     兵卒はどちらが訓練組織されているか
     賞罰はどちらが公正に行われているのか
    ・重要なところはわざと書かない

    ・不敗の体勢は自軍の努力次第だが、勝機を見出せるかは相手の態勢如何にかかっている
    ・戦上手は自軍を絶対不敗の態勢におき、敵の隙は逃さずとらえる

    ・短期決戦での成功例はあるが、長期戦に持ち込んで成功した例を聞かない
     短期で勝てる相手とだけ戦う

    ・戦争は所詮騙し合いに過ぎない
    ・臨機応変に動く。こちらを小さく弱く見せる。意図をとんちんかんに解釈させる
    最初は処女のようにふるまい、油断をさそい、脱兎の如く攻める

    ・知謀に優れた将軍は食糧を敵地で調達するよう努力する

    ・敵が放置して置けないところを攻めること。敵の最も重視しているところを奪取すること

    ・戦力の集中による各個撃破を防ぐ策と重要拠点に兵をうすぐばら撒いて守る策はトレードオフ

    ・敵と対峙するときは正規作戦を採用し、敵を破るときは奇襲を採用する

    ・勝利する態勢を整えて戦うものが勝利を収め、戦いを始めてから慌てて勝機を掴もうとするものは敗北に追いやられる

    ・戦上手は相手をこちらの作戦に乗せようとする

    ・敵より先に戦場におもむいて相手を迎え撃てば余裕を持って戦うことができる。敵より遅れて戦場に到着すれば苦しい戦いを強いられる

    ・後出しジャンケンの威力。
     無形を作る。相手の予測をさせない

    ・戦闘態勢は水の流れのようでなければならない。水に一定の形がないように戦争も不偏の態勢はありえない。敵の態勢に応じて変化しながら勝利を勝ち取ってこそ絶妙な用兵と言える

    ・堰き止められた水が激しい流れとなって岩を流すのは流れに勢いがあるから
    勢いとはその時々の情況に従って臨機応変に対処することをいう

    ・戦上手は何よりもまず勢いに乗ることを重視し、一人一人の働きに過度の期待をかけない
    ・全軍を絶体絶命の窮地に追い込んで死戦させる。これが将軍の任務。兵士は逃げ道がなくなると一致団結し、敵の領内深く入り込むと結束を固めどうしようもない事態になると必死になって戦う

    ・敵を包囲したら必ず逃げ道を開けておき、窮地に追い込んだ敵に攻撃を仕掛けてはならない

    ・無形とは、移動経路や目的を捕捉させないことであり、自然体に構えて敵が先に動くのを待つことであり、完全に姿を消してしまうことでもある

    ・兵士にはまず温情をかける。心服をえる。その上で規律による統制を図る
    ・我が子のように扱う。危機感を共有させる

    ・将軍には陥りやすい五つの危険がある
     必死になれば討死する
     助かろうとすれば捕虜になる
     短期で怒りっぽければ術中にはまる
     清廉潔白では敵の挑発に乗る
     民衆への思いやり強いと神経がまいる

    ・相手の意表をつくと言った情報や認識判断ベースの力
     地の利や疲労空腹など環境肉体ベースの力
     勢いや士気に代表される感情精神力ベースの力
     閉院や物量など物量、管理ベースの力
     この四つの力のバランスが重要

  • 作家、中国古典研究家の著者による、孫子の解説書。
    以前に浅野裕一氏による講談社文庫の『孫子』を読んではいたものの、孫子の内容や背景情報や実践方法などについて更に学べるかと思って読んでみた……のだが、得られるものは少なかった。個人的に収穫だったのはせいぜい「孫子も決して完璧なものではなく、つっこみどころが多い」ということくらい。
    孫子の他に『戦争論』などの兵法書を引き合いに出して戦略や戦術について解説しているのだが、著者の主張は結局どこにあるのかもいまいちよく理解できなかった。結局「状況に応じて使い分けろ」と言っているような箇所も多い。
    400ページ近くあるが内容は薄いと感じた。

  • おもしろい、現代にも通じる昔の戦略。
    少しでも実践してみたい。

    ただ、理解するにはあと何回か読み返さないと。

  • 2016.11

    感想としては…
    先に上司がずーっと言ってたことは
    これだったのか、というのが
    ストンと落ちた。
    戦わずして勝つ。
    己を知り、彼を知る。



    以下、備忘録

    負けてはダメ。それどころか、勝っても自分が擦り減ってではダメ。戦わずして勝つ

    自分より弱いものは味方に引き入れる。

    自分と同等の力をまつものは、事前に敵の意図を見破りこれを封じる。
    次に敵の同盟関係を分析して孤立させる。

    短期決戦で戦いに勝てる、短期で終結させられる条件をうまく作り出せる場合→やる
    それ以外すべて→やらない

    短期決戦で済まなかった場合
    →最悪『不敗』のラインで踏みとどまれば良し

    戦いは騙し合い。
    戦う意図や手の内が知られている場合、知られていない場合
    彼我で情報格差がつけられる場合、つけられない場合
    →戦い方が変わる

    こちらを、小さく弱く見せる

    勢いのあるチームは個々を管理しなくても力を発揮する。
    そのためには窮地に追い込む
    →危機感を力の源泉とする
    逆に、敵の方はなるべく危機感を持たないように緩い環境におく。一方自分の部下は絶体絶命の窮地に追い込んで勢いに乗せる。



    同質化戦略
    一番手の企業は二番手の企業のやる良いことを真似すれば一番手としての地位を守ることができる


    勝てる組織と将軍の条件
    愛情や温情による心服をらもって、規律による統制を行う
    →部下を赤ん坊や我が子のように扱う


    知謀:先を見通し謀略を駆使できること
    信義:部下から信服されること
    仁慈:部下を思いやること
    勇気:実行力
    威厳:部下から恐れられること

    →全てを兼ね揃えることは難しい。
    自分の得意なものはどれか、不得意はどれか、己を知るを乗り越えないと成果を残せない
    ※部下に作戦計画を知らせる必要はない


    致命傷を考える
    事前に先を見通すことは不可能だが、自社にとって致命傷となる事象はほぼ考えつくせる
    →いかに負けないことをコントロールするか


    小さくたくさん試して早く失敗し、学習を重ねる
    試行錯誤によって負けや失敗から学び、成長するのは、負けられない勝負で負けないため


    勝負事では2つの時期がある
    自己点検や成長を考えるべき時期
    勢いの力も借りて勝ち進む時期

    何で勝つか、どこで勝つか、いつ勝つか

  • PDF
    孫子

  • 孫子は古典として長い間読み継がれており、一度は目を通したかったもののなかなか今まで機会がありませんでした。今回、良い解説書としてお勧めされましたので、手に取って読んでみました。

    「孫子の兵法」は、簡単に言えば「戦うためのテキストブック」です。もちろん、現代では命のやり取りが行われることは(少なくとも日本に住んでいるかぎり)ありませんが、それでもビジネスや生活の中で「やり直しの利かない一発勝負に身をゆだねるとき「こちらが望んでいなくとも、相手から戦いを挑まれるとき」が無いわけではありません。

    そういった際、あらかじめ兵法を知っておくことは決して無駄ではないと思うのです。

    また、実践に基づく記述であるからこそ長い間テキストとして生き残ってきたのであり、そういった意味でも有用な書と言えるでしょう。

    本書は単なる解説にとどまらず、特に現在の時代背景に当てはめた解説が秀逸であり、イメージもしやすいです。古典が初めての人にも、共感できたり身の回りのことに当てはめてみることができたりしますので、最初の一歩としてはお勧めできる内容となっています。

    私自身は、以下の点の記述がとても良いと思いました。迷ったときや困難に当たった時など、折を見てまた再読したいと思います。

    ・戦わずし勝つのが最良。

    ・まずは勝つのではなく『不敗』を維持することを目指す。

    ・敵の最も重視しているところを奪う。

    ・自分の生死や国の存否がかかる戦争では、周到な準備をするのが当たり前。

    ・自分は相手を意のままにできるが、自分は相手から自由にされないことが主導権の要諦。先手を取ることが主導権に結び付けられる場合、極めて勝負は有利に進められる。

    ・どんな部下に対してもまずは温情や愛情をかける。それが組織統制の優先事項になる。

    ・あるレベルで固執してしまっている何かを捨てることで、一つ上のレベルにおいて新たな可能性が開けてくる。

    ・約束は控えめに。実行はたっぷりと。

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著者プロフィール

1965年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。現在は、作家として『孫子』『論語』『韓非子』『老子』『荘子』などの中国古典や、渋沢栄一など近代の実業家についての著作を刊行するかたわら、グロービス経営大学院アルムナイスクールにおいて教鞭をとる。2018年4~9月トロント大学倫理研究センター客員研究員。主な著訳書に『現代語訳 論語と算盤』(渋沢栄一著、ちくま新書)、『孫子・戦略・クラウゼヴィッツ』(日経ビジネス人文庫)、『最高の戦略教科書 孫子』『組織サバイバルの教科書 韓非子』(以上、日本経済新聞出版社)、『中国古典 名著の読みどころ、使いどころ』(PHP研究所)、『アミオ訳 孫子[漢文・和訳完全対照版]』(監訳・注解、ちくま学芸文庫) など。

「2020年 『『論語』がわかれば日本がわかる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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