「居場所」のない男、「時間」がない女

著者 :
  • 日本経済新聞出版社
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本棚登録 : 326
レビュー : 44
  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532169558

作品紹介・あらすじ

仕事以外の人生の選択肢に乏しく、"世界一孤独"とされる日本人男性。婚活・妊活・保活…リミットに追われ続け、家庭でも自分の時間を確保できない日本人女性、双方が幸福になるために、一体いま、何が必要なのか?気鋭の社会学者が、「時空間の歪み」をキーワードに読み解く。

感想・レビュー・書評

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  • よくある「男と女の感じ方はこんなふうに違う」という本だと思ったら、そうではなかった。今、日本でなぜ少子化が止まらないのか、なぜ男性も女性も平和で充実した生活を送れないのか、を社会問題として切り込んでいる。途中、統計資料が多くて退屈なところもあったが、今まで気づかずにいた問題の本質を突きつけられて、ためになった。

    そうした根本的なことを何も解決しようとせずに、「一億総活躍社会」「女性が輝く社会」などと寝ぼけたことを言っている政治家たちにぜひ読んでもらいたい。

  •  日本男性は「関係貧困」。家庭には居場所がなく、仕事を引退したら友だちもない。妻に先立たれると、あまり長生きできない。孤独死も自殺も男性のほうが深刻。

     日本女性は「時間貧困」。母の愛情は「時間」をどれだけ費やしたかで計測される。共働きでもダンナは家事を手伝わない。そもそも結婚して子どもも産んで仕事も……となると、若いうちから安穏とはしていられないうえ、その3つをこなせるのはもはや「超人」レベル。

     豊富な事例をもとにこの現実をあぶり出すが、著者の視線が学者のものというより、当事者として対象に寄り添っている気配があって、この手の本にあってはめずらしくイラッとこない。
     これまで当たり前だった働き方や、ライフスタイル、ケアのあり方について、手遅れになる前に考えなければいけないと素直に思わされる。

  • 居場所のない男。
    働きすぎて、職場以外で関係性が築けない。家庭で父親として育児に参画できていない。ホームレスの大半は男性。未婚率の増加。世界一孤独な日本の男性。


    時間のない女。
    家事労働は家電製品によって高度化しただけで減っていない。
    有償労働に加えて無償労働の担い手となっている。女性活躍の推進は、女性の有償・無償労働時間を長くする。世界一忙しい日本の女性。



    男女とも、多様な働きかたが可能な就業環境と社会保障を。労働と家庭の再編を。


    筒井淳也『仕事と家族』と合わせて読みたい。というか同じタイトルのように見えてしまう。

  • 無償労働時間を含むと日本人女性が一番働きバチ。まわりの女性をみててもそう思う

  • 仕事以外の人生の選択肢に乏しく、世界一孤独とされる日本人男性。婚活・妊活・保活...リミットに追われ続け、家庭でも自分の時間を確保できない日本人女性。サラリーマンの夫と妻の間に横たわる暗くて深い時空間の歪み。この国では仕事中心で帰宅が遅く、家事育児や地域活動に参加しない男性は珍しくない。むしろ昼間の郊外地にいる中年男性は奇異な目で見られたりする。退職前から地域コミュニティへ参加するか、仕事以外の繋がりを作っておかないと退職後に居場所のない男になってしまう。。

  • 面白く読んだのに何も残らなかった
    こんな人いるんだーみたいな例ぐらいしか覚えてないや

  • 少し前に読んだ本だが、処分するにあたってざっと見直して、これほど日本社会の宿痾を浮き彫りにした本もないな、と改めて思った。

    少子高齢化社会が到来していて、子供を生める社会にしないと立ちいかない―そんなこと、もう何十年も前から言われてきたのに、少子化の度合いはさらに高まっている。昔ながらの社会観、家族観からいつまでたっても抜け出せず、場当たり的な対応しかしてこなかったつけだ。男女平等やダイバーシティなどと掛け声は立派だが、男と女のありようはかつてなく広がり、双方にとって居心地のよくない時代になってしまった。

    それがデータ分析に終わるのではなく、今の社会で子育てをしている視点からの問題提起がある点が、類書と違うように思う。法制度や企業運営はもちろん、労働観や家族観のみならず、私たちの社会の公共性のあり方にまで著者は踏み込んでいく。

    「生まないのが悪い」という時代錯誤的な考え方は論外だけれど、この本で指摘されているように、混んでいる電車にベビーカーが乗ってくると、ついその車両は避けてしまう、というようなことを自分もやっていて(さすがにお母さんの前で舌打ちするなどというデリカシーのないことはしないけれど)、公共性のあり方というのは、そういう姿勢にもかかわってくる話。男の関係貧困や孤独死問題など、自分にかかわるテーマもあって身につまされた。

  • 日本の少子化の原因などがデータで分析されていて非常に論理的。
    やはり日本の女性は世界で一番働いているんだ。社会が猛烈な勢いで変わっているのに、家族感や男女感が変わっていないのが大きな原因。

  • ジェンダー
    社会

  • P114 日本の男性は国際比較からしても突出して「孤立化」リスクが高い。これは男性が就業時間以外の社会参加に乏しいという社会的背景による。
    P119 男性も含めた雇用環境の再編が求められている。男性の働き方を全く変えないまま、社会の変化を女性のライフスタイルを変更するだけで対応しようとするやり方は既に限界を迎えている。
    P182 日本人男子が「働きバチ」であるという神話は労働を有償労働のみ限定した場合にいえることで、無償労働を加えた総労働では男性ではアメリカ人男性が最も働いており、そのアメリカ人よりも長時間労働に従事しているのが日本人女性である。日本のワーキングマザーは世界一の働き者だが「暇だと思われている」。
    P149 今の日本に必要なのは「女性の活躍」以上に男性も含めた総合的な就労・家庭生活・地域コミュニティ・余暇のあり方の再編である。
    P268 現在必要とされているのは、男性も含めた労働と家庭生活のあう方の再編である。単位時間あたりの生産性を高めかつ評価し、就労インセンティブを保ちつつ生活満足度を上げるためには、総合的な見直しが必要である。
    政府が述べてきた「女性活躍」は、スーパーウーマンが飛来して問題を解決してくれることを待っていてはかなわない。そうではなく、今、就労の現場にいる普通の女性が、普通の男性と協業しその能力を発揮するための環境整備こそが求められている。
    このためには、逆説的に「既存の男性の就労モデル」を疑い、問題を検証する必要がある。「居場所のない男」。この観点は、現状の男性の社会的地位や経済的優位性が、決して当の男性にとって幸福なものではないことを示している。
    だから、女性の社会進出と男性の家庭・地域社会進出を是非とも推進することから始めてほしい。女性を企業のメンバーに加えると同時に、男性な地域社会のメンバーに加えることが必要である。このためには、旧来の「標準世帯のライフスタイル」な前提とした社会制度を見直し、全方位的な雇用環境の改善を行う必要がある。それこそが、今日の日本社会の巨大な「リビングにいる象」を正視し、少しずつ解体する方途であると信じる所以である。

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著者プロフィール

1970年生まれ。日本の詩人、社会学者。著書に『無頼化する女たち』(洋泉社新書)、『黒山もこもこ、抜けたら荒野』(光文社新書)、詩集に『音速平和』など、中原中也賞を受賞。

「2014年 『無頼化した女たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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