人はお金をつかわずにはいられない

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532171100

作品紹介・あらすじ

欲望を満たすため、社会に活かすため、生活のため…ただ、つかうため?日経新聞「電子版」小説シリーズ、第二弾。

感想・レビュー・書評

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  • 「人はお金をつかわずにはいられない」

    うん。
    お金をつかわなくちゃ何にも出来ない。
    餓死に一直線だ。

    いきなりサラ金の話から始まって、オンラインゲームにお金をつぎ込んだり、「人間バンク」なるものからお金を借りてみたり、遺産が三万だと言われてみたり‥。
    お金について考えさせられるアンソロジー。

    楽しいわけではないのに真剣に読んでしまうのは、何か教訓を得ようとしてしまっているからだろうか?
    お金の話はいつの間にか体温を奪っている。

    山崎ナオコーラさんの「誇りに関して」に描かれているお金を使うことの罪悪感が、なんとなく分かる気がする。
    親からおこづかいを貰っていた時は無駄遣いをしていると怒られるのでは‥と気にしていた。
    自分で働くようになった今はいったい何を恐れているのだろうか?
    「誇りに関して」の主人公のように「社会から許されたい」なんて感覚が自分にあるとは思えない。

    「老後に差し掛かったとき、七千万円くらいの貯金がないといけないらしいんですよ。」
    というセリフがあったけれど、では七千万円あれば安心なのか。
    たぶん違うだろう。
    七千万円あれば七万円の買い物に罪悪感がなくなるのか。
    なくならない気がする。
    何に対する罪悪感なのか分からないから断定は出来ないけれど。

    お金をつかうことによって生じるストレスもあれば、お金をつかう快感もある。
    手元のお金がなくなる不安もあれば、買った宝くじが当たるかもなんて夢を見ることもある。

    「お金がほしい!お金のために働いてます」と言い切ることは出来なくて、「じゃあ要らないのか」と言われたら「要ります」とうなだれるしかない。
    お金は無ければ無いなりに、あればあっただけ、使い道が見えてくるからいつまで経っても満足出来ないのではないか。
    それがこわい。
    それがあの罪悪感の根っこにあるのかもしれない。

  • 『グレーゾーンの人』 久間十義
    『おめでとうを伝えよう!』 朝倉かすみ
    『誇りに関して』 山崎ナオコーラ
    『人間バンク』 星野智幸
    『バスと遺産』 平田俊子
    の5作品が収録されていた。

    『グレーゾーンの人』以外はおもしろかった。
    『おめでとうを伝えよう!』ゲームにはまったことがないからよくわからないけれど、ま急に夢中になるということはあるんだろうな。
    『誇りに関して』今どきの働く女性にある悩みのような? 両親から先の心配をされないというのもまた問題か!?
    『人間バンク』なんか恐ろしいような? これでやり直せる人が出てくるか?
    『バスと遺産』兄さんから貰った遺産額に愕然。いい兄嫁さんだね。バスでおばあちゃんの荷物に入れてしまうところはなんとも爽快。

  • 読み終わってすぐの感想は「100万円もったいない」でした。
    最後の平田さんのお話でなんですけど。

    お金ってやっぱり生きていくうえで必要なもので、
    多く持ってる人と持ってない人では価値観が絶対違ってきちゃいますよね。
    お金に左右される人生って・・・って思ってたところだったので、図書館で目について借りてみました。

  • アンソロジーなのかな?4人の作家さんが描いた物語。

    お金がテーマとなりちょっと奇妙な感覚に陥るお話。世にも奇妙な物語を見た後みたいな読後感。
    こういう何とも言えない気持ちになる文章を普段は避けてるから、久しぶりに出会って今気持ち悪い。

    図書館で手に取ってパラパラと捲った感じだと、なんだか面白そうと思ったけれど
    読んでみるとお金の概念が現在の時代と違う。価値観?見方?がまるで違っていて、まともなのは最初のサラ金のお話ぐらい。それも、娘が反対側に行くのは謎だけど。

    終わりもスパッと綺麗に終わらなくて、この後どうなったんだろうと嫌な気配ムンムン。
    あーこの本読まなきゃ良かったなぁ、私には合わなかった。

  • 好きなアンソロジー

  • 山崎ナオコーラ「誇りに関して」、平田俊子「バスと遺産」のみ読了。/気心が知れていて、リラックスできる相手と、ちょっと豪華な食事をするというのは、明日の仕事への活力になるのだもの。/「誇りに関して」は若き女医としてそこらへんの人の平均よりはるかに高い年収を叩き出し、服や美味しい料理やお酒にふんだんにお金を使うが、どこか社会参加していないのではという背徳感にとらわれる主人公が、リラックスできるのは、働かずに実家に暮らすハンサムな弟と会食することであり、ひとりでバーで美味しいお酒を飲むこと、というストーリー。「バスと遺産」は美しくもとことん意地の悪い兄に、遺産3万と値切られた妹に、義姉がへそくりから100万出してくれ、しかし帰りのバスで見た老婆に心動かされ、その使いみちを…といった話。

  • お金
    文学

  • ナオコーラさんが良かった。

  • 山崎ナオコーラさんの『誇りに関して』おもしろかった。
    お金を使う時の罪悪感。
    自分の為に使っていいのか。
    使っちゃうんだけど、その時に感じるゾワゾワとする感じ。わかる気がする!

  • そこそこ。そこそこ楽しめるアンソロジー。
    朝倉かすみさんのバーチャルな世界でしかないアプリに課金してまでハマる一般家庭を築く中年男と、同じく課金しいるが桁違いの課金率で社長息子でいわば御曹司の中年男との比がうまい具合に皮肉ってて面白かった。
    山崎ナオコーラさんのニートの弟と年収二千万の自分との比も、ありそう、や、あるあるなのかもーと思いながら読みました。
    お金って大事だよね、ほんと。

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著者プロフィール

1953年北海道生まれ。早稲田大学第一文学部仏文科卒業。87年豊田商事事件を扱った『マネーゲーム』で第24回文藝賞佳作。『世紀末鯨鯢記』で第3回三島由紀夫賞受賞。『刑事たちの夏』では警察小説ブームに火をつけ、警察小説の金字塔となる。主な著書に『放火(アカイヌ)』『刑事たちの聖戦』『ダブルフェイス』『禁断のスカルペル』『デス・エンジェル』『限界病院』など多数。

「2020年 『笑う執行人 女検事・秋月さやか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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