七つの会議

著者 : 池井戸潤
  • 日本経済新聞出版社 (2012年11月1日発売)
3.89
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  • レビュー :594
  • Amazon.co.jp ・本 (403ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532171162

作品紹介・あらすじ

『下町ロケット』の池井戸潤 さん最新作!

トップセールスマンだったエリート課長・坂戸を“パワハラ”で社内委員会に訴えたのは、歳上の万年係長・八角だった―。いったい、坂戸と八角の間に何があったのか?パワハラ委員会での裁定、そして役員会が下した不可解な人事。急転する事態収束のため、役員会が指名したのは、万年二番手に甘んじてきた男、原島であった。どこにでもありそうな中堅メーカー・東京建電とその取引先を舞台に繰り広げられる生きるための戦い。だが、そこには誰も知らない秘密があった。筋書きのない会議がいま、始まる―。“働くこと”の意味に迫る、クライム・ノベル。

七つの会議の感想・レビュー・書評

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  • 池井戸さんと言えば、勧善懲悪がテーマのばっさばっさと悪役を斬りつけ、最後はめでたしめでたしで終わるのがほとんど。
    しかし今回の作品はひと捻りきかせているようで、そうは問屋が卸さない。

    舞台は中堅メーカー。出世頭の営業課長がパワハラで更迭されるところから物語は始まる。
    その真相はどこにあるのか、本当の正義とはどこにあるのか。
    このあたりの話の運び方のうまさはやはり池井戸節。安心して読める。

    章ごとに人物の視点が切り替わり、それぞれの人物の背景を丁寧に描いているところはさすが。
    それぞれがそれぞれの悩みを抱えており、悪人とも善人とも取れない描き方をしているのがいつもの池井戸作品と違うところか。

    決して爽快になれる読後感の良い話ではなかったけれど、やっぱり面白いです。満足。

  • 中堅メーカー・東京建電でやり手の課長の坂戸が、万年係長の八角からパワハラで社内委員会に訴えられる。
    ろくに仕事をしているとは思えない八角の訴えは、取り上げられないだろうとの大半の予想とは異なり、更迭された坂戸。
    坂戸のあとを任された原島は、この裁定に納得のいかず八角を問いただす。「知らないでいる権利」もあると言う八角から、その裏に隠された事実を聞き、「知ってしまった責任」を果たすことになる。


    子どものとき、父親が会社でどのように働いているかについて、
    考えたこともなかった。何の仕事をしているかについて、詳しく訊ねる事もなかった。
    ただ社会科の宿題で勤務先の会社について、質問したことはあった。
    自分の仕事に対する自負のようなものがあったのか、その後、会社が社員に渡していたダイアリーをくれたのだった。
    きれいな写真が添えられたカレンダーやら、国内にある工場や営業所の描かれた地図。会社の沿革。ビジネスに関するページ。
    厚めのなめらかな紙を使ったそれは、子供心にとてもきれいで、眺めているのは楽しかった。興味は長続きはしなかったけれど。

    「働く」とは、どういうことなんだろう。
    「傍を楽」にすることだと、聞いたことがある。
    人の役にたつこと、誠実に仕事をすること。
    決して会社に目先の利益をもたらすことではないはずだ。
    顧客を裏切り、社員を追いつめ、一部の人間だけが得をするようなやり方がまかり通る企業はいつか綻びが現れると信じたい。

    「客を大事にせん商売は滅びる」(P296)

    顧客が満足し、働く人が少しでも自分の仕事に対して自負を持てるwin-winの関係というのは、誰もが破たんに追い込まれない目指すべき関係なのではと改めて思う。

    「ロズジェネ」シリーズのようにヒーローが出てくるわけではないし、オセロで黒が白にひっくりかえるような鮮やかな解決もない。
    起死回生のカードが切られて解決するようにと願いながら、息を詰めながら読んだ。

    現実の企業では、どうなんだろう。

  • 『空飛ぶタイヤ』や『鉄の骨』と並んで、
    この『七つの会議』においても、

    池井戸潤が描く物語のストーリーには、
    現代社会において多かれ少なかれ組織に縛られて
    働いているかもしれない読者ひとりひとりに対して、

    「本当の意味での正義とは何か?」

    を心の底から訴えて考えさせる一貫性があって、
    それがまた、池井戸潤が描く物語の魅力なんだと私は思います。

    それと、
    『七つの会議』の第三話以降にちょくちょく出てくる
    「ドーナッツ」の話しは、読者にとっては、
    ここでちょっとブレイクができて、これがまた良いです。

  • 八角さんに共感。そして原島さん村西さんが凄く気の毒・・。
    上に立つって大変だよね。
    八角さんの奥さんがいい人だから出来る選択かも。
    新田と梨田と江木は同情の余地なし。
    名前からか八角さんは六角さんのイメージ。

  • ブクログお友達のレビューを拝見して読みたくなり、図書館で7ヶ月待っている間にテレビドラマを先に観ることになった。
    原作の方がシンプルで良い。
    池井戸作品は本当に不思議だ。男臭い企業モノなのに、キャリアウーマンならいざ知らず、主婦でも面白くて夢中になり途中でやめられなくなる。

    池井戸さん、是非今後もこの調子でお願いします。変な恋愛要素とか入れないで欲しい(本書では少しだけ入っていたけど)。ひたすら男臭いままでも女性の支持者は多いと思います!…って池井戸さん見るわけないか。

  • とても読み応えがあって ラストにもホッとするところがあり
    結果的には安心出来るのだけれど
    そこに至るまでがとにかく辛い。
    常にノルマに追い立てられるような企業人達。ノルマ達成したいがためにやってはいけない一線を越えてしまったり
    私利私欲のために腹黒い登場人物もたくさんいすぎてムカムカしながら読んだ。
    池井戸さんの企業小説を読むといつも弱者が陥れられて
    にっちもさっちもいかなくなるという苦しさを感じずにはいられない。
    とても痛々しいけれどこれが現実だったりもするなと。
    いろいろ考えさせられた。

    • hongoh-遊民さん
      「いつも弱者が陥られ」るけど、最後は勝つ、読後感は爽快。だから池井戸潤の小説はやめられない(笑)
      2013/02/09
    • ねこにごはんさん
      >hongoh-遊民さん
      そうですね、池井戸さんのインタビューで聞いたことがあります。ラストの爽快さはずっと追求していきたいことなんだそうです^^
      2013/02/10
  • 中堅電機メーカーを舞台とした企業不祥事をめぐる物語です。
    社会人として組織で働く身としては
    本当にありそうな事だったり経験するような事もあり

    なんのために働くのか、仕事で何を目指すのか、何をするのが正しいのか
    普段考えるのを避けているような事を非常に考えさせられます。
    感情移入しておもわず怒ってしまったり、悲しくなってしまったり
    物語についつい入り込んでしまいます。

    池井戸潤の本領発揮!おもしろすぎます!
    これから就職する人、社会人をやっている人、是非読んでみてください!!

  • ひとつの出来事をいろんな人の視点から見た話。
    テレビのランキングを見て初めてよんでみました。
    思った以上におもしろくて一気によみました。
    私も会社員をしていていろんな人事異動を見てきました。
    裏では大なり小なりの出来事があったんだろうな…
    みんなが一生懸命に生きているのに、自分の地位をあげること、認めてもらうことを求めるために悲しい選択をしてしまう…
    あってはいけないことだけど、いろんな会社で実際ある出来事なんだろうなと感じました。
    同じ会社の中にいても自分が見ているものは一部なんだなと改めて感じました。
    でも嫌な気分にもならず、ラストもスッキリして読んでよかったと思えた本でした。

  • わかりやすいヒーローは出てこないが、みんなそれぞれ言い分があったり正義があったり(なかったり)。追い詰められた時に人間が出るんだ、というセリフもあった通り、謎解きの娯楽の中でいろいろと考えさせる作品だった。
    しかし女性を描くのは苦手と見える(笑)

  • 虚栄の繁栄か、真実の清貧か。謳い文句にあるように、如何に生きるか、どう働くか、を問いかける作者のメッセージに溢れた好作品である。登場人物それぞれの来し方、生い立ちを丁寧に描くことにより、不正を働く人間が即悪人、あるいは不正を追及する側も正義の味方一辺倒ではなく、人物像に厚みを持たせているのが、池井戸潤のなせる技といえようか。ますます、注目していたい作家であるとは、言い過ぎか。

    • adagietteさん
      やっと読みました。勧善懲悪快進撃ではないけれど、人に寄り添おうという気持ちが感じられて良い作品ですね。
      2013/02/14
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