政治が危ない

  • 日本経済新聞出版
3.88
  • (3)
  • (8)
  • (5)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 66
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532176105

作品紹介・あらすじ

☆安倍官邸の一強状態、小粒化する政治家たち、憲法改正の行方、政治ジャーナリズムの根源的問題……いま日本政治は、さまざまな面で大きな危機に直面している。そこには、どういう原因、問題があるのか。政治学の泰斗とベテラン・ジャーナリストが舌鋒するどく切り込む対談集。

☆「なぜ安倍官邸に権力が集中するのか」「自民党で政治家が育ちにくくなった理由」「憲法改正議論が抱える難題」「16年夏の天皇陛下の『おことば』の意味」「これから政治で何が起こるのか」など、日本政治を読み解く最重要テーマごとに歴史的視点も交えて語り尽くす。

☆対談だから語れる「打ち明け話」、今だから話せる「あの事件の裏側」、日頃のニュースからはうかがい知れない「あの政治家の素顔」など、現実をよく知る二人にしか語れない興味深い話題も満載。日本政治の現在、過去、未来を考えるうえで必読の1冊です。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 現代政治に関する論評。現状を分析し、わかりやすく理解するには優れた一冊である。

    御厨氏が表現する安倍政権は、『やってる感』。
     (抜粋)『安倍政権というのは、常に「政策を政局にする」ことが長く続いているのですよ。純粋に政策が正しいかどうか、これはどうでもいいわけです。・・・振ってみて、「する、しない」のどちらが受けるかを考える。受けるかどうか分からないときは、「やる」と言ってみたり、「やっぱり、やらない」と言ってみたり、色々言い続けるわけです。彼が敏感なのは、選挙が近くなれば、やったほうがいいのか、やらないほうがいいのかを必ず決める。決めたら電光石化、どっと行く。これがポイントです。』

    この分析はなかなかに適切で、昨日のコロナ会見も、「内容はないよう」。何の価値のない会見だったけど、なんとなくのアピール感を演出する。

    そんな安倍政権の底の浅い本質もだいぶ露呈しているのだが、現代の政治の最大の課題は、それにとってかわる人材が圧倒的に不足していること。

    そのような状況になった布石も、下記に分析している。
    (抜粋) 『人材を育てられない組織というのは、リクルートシステムがないわけです。昔の自民党には派閥の中に、ビルトインされていました。派閥を通じて人材を調達して、育てて、国対の副委員長をやって、部会長をやって、常任委員会をやって・・・と、そういうキャリアシステムがありました。・・・ところが、派閥が壊れてしまったことによって、この仕組みが瓦解しているわけですね。考えれば、会社もそうですけど、人を作れない組織は持ちませんよね。』

    希望や未来が見えない国になってしまった。小選挙区制の導入により、天下国家の大義を論じる器の大きな人材がいなくなってしまった。もしかすると、右に倣えの従順な国民を作るシステムを作った、文部科学省の今の教育制度の賜物?

  • 戦前から戦後、そして安倍に至るまでの歴代総理他の評価が辛辣に語られていて面白い。
    政治の劣化の流れの分析も、非常にわかりやすく納得のいくものである。
    人材を育てられない自民、相変わらず反対でしか存在感を示せない野党、これから先の政治が本当に危ない。
    安倍政権の話も出て来るだけに、この本を読むのが遅すぎた。

  • 今上天皇は、憲法違反と思われる発言をしているという指摘がある。

  • 痛快である。大学のゼミで同級生だった政治学者と政治記者の
    おふたりが、現在の安倍政権は勿論のこと、明治以降の政治家を
    俎上に載せた対談である。

    多くの政治家に接して来たおふたりだけにエピソード満載。政治家の
    人となりやその思想までに踏み込んでいるのだが、小難しい理論を
    振り回すのではなく「床屋政談」に近いので楽しい。

    なんだよ、安倍晋三。自分でもアベノミクスが成功するなんて思って
    なかったのかよ。「やってる感」が大事なのか。元から大風呂敷じゃ
    ないかよ~。

    反対派・賛成派を問わずアベノミクスを本気で議論していた経済学者
    がお気の毒だわ。

    それに安倍自民党は人材を育てられないという話。政治家の小粒化
    は現在の選挙制度にも問題があるのだろうが、党が人を育てないか
    ら政治家以前に人としてどうなのか?と思う政治家ばかりが増えてい
    るのかもしれないね。

    二階派は問題児ばかりとのお話にも深く頷いてしまった。

    私は麻生太郎のおじいさまである吉田茂が結構好きなのだが、本書
    でも吉田茂の豪胆なエピソードが出ていた。

    戦犯としてGHQから呼び出された近衛文麿は出頭前夜に服毒自殺を
    した。近衛が服毒自殺した荻窪の荻外荘を一時期住まいにしていた
    吉田茂は近衛が亡くなった部屋を寝室にして、平然と寝ていたとか。

    旧民主党政権の鳩・菅のことはボロクソだし、中曽根政権では官房長
    官だった後藤田正晴が中曽根のブレーキ役になっていたとか、大隈
    重信はいい加減なことばかり話していたとか。読みながら思わずニヤリ
    としてしまうことが多かった。

    まぁ、今の日本の政治の流れを見ている限り、笑ってばかりはいられない
    のだけれどね。

    過去の政治家の評価などもしているので、政治に興味のない人でも
    面白く読めるかも。

    ただ、おふたりは稲田朋美の網タイツを評価しているのだが、同性から
    みると年増の網タイツは痛々しいだけなんだが。

  • この人たちと政治に対する考え方は違うような気もするけど(そこは読んでいてもいまいちわからない)が、政界の内幕というのはよくわかったような気がする。

  • 安倍内閣はいろいろなテーマに取り組むけれど、そのフォローアップができていない。つまみ食いである。もっと長期的な目線で課題に取り組むことが必要である。「不利益の分配」が当然必要。
    これまでの政治は右肩あがりの経済もあって、胃液の分配ばかりやってきたから、政治家に不利益を分配するだけの肝が座っていない。
    防災は、不利益の分配。それを基本にこの国の国家構想に組み込んでいかなければならない。

全9件中 1 - 9件を表示

著者プロフィール

御厨貴

1951年(昭和26)東京都生まれ。東京大学法学部卒業。東京都立大学教授、政策研究大学院大学教授、東京大学教授を経て、東大先端研客員教授(名誉教授)、放送大学客員教授。サントリー文化財団理事、サントリーホールディングス株式会社取締役。東日本大震災復興構想会議議長代理(2011年4月~12年2月)、復興庁復興推進委員会委員長代理(2012年2月~13年3月)、「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」座長代理(2016年9月~17年4月)などを務める。著書に『明治国家形成と地方経営』(東京市政調査会藤田賞)、『政策の総合と権力』(サントリー学芸賞)、『東京』、『馬場恒吾の面目』(吉野作造賞)、『権力の館を歩く』『平成の政治』(共著)などがある。

「2020年 『天皇退位 何が論じられたのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

御厨貴の作品

ツイートする
×