- Amazon.co.jp ・本 (418ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532176761
作品紹介・あらすじ
●本質シリーズの最終巻
圧倒的に不利な条件から勝利を導き出した独ソ戦のスターリン、英独戦のチャーチル、ベトナム戦争のホー・チ・ミン、対イラク戦圧勝もつかの間、非正規戦という泥沼の打破を迫られた米国――。
本書は、日本陸軍の敗北のメカニズムを組織論の切り口から解明した『失敗の本質』(中公文庫)、海外の戦史を題材に成功の本質を解明した『戦略の本質』、国家指導者に焦点を当てた『国家経営の本質』につづく本質シリーズの最終巻。勝利を実現するメカニズムの解明は、『失敗の本質』とは裏表の関係となります。また『戦略の本質』は逆転を生み出した要因を現場の指揮官レベルで解明しましたが、本書は国家の指導者レベルとリンクさせて、機動戦と消耗戦を臨機応変に使い分ける知略戦略こそが勝利を生み出したというストーリーで解説します。
知略戦略とは、「知略=知的機動力」で賢く戦う哲学であり、過去-現在-未来の時間軸で、組織メンバーの共感を得、一丸とさせる共通善のために「何を守り、何を変革するか」の動的平衡を追い求めながら、行動し続ける戦い方を指す。これを実現できたリーダーが、本書で取り上げる、スターリン、チャーチル、ホー・チ・ミンです。
感想・レビュー・書評
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2022.02.27 独ソ戦を検索していて見つける。『失敗の本質』の進化版か?
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ホーチミンの箇所が秀逸
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事例をコンパクトに紹介、状況に則した戦略立案
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独ソ戦やバトルオブブリテンにおける趨勢の転換、ベトナムのフランスからの独立やアメリカとの戦争におけるベトナムの戦い方、イラク戦争におけるアメリカ軍の戦い方の変遷といった実例を通じ、戦略、そして知略やリーダーシップについて分析している。野中氏が35年生まれで、一番若い麻田氏が80年生まれと、かなり年代にバラエティのある4人の著者が章別に分担執筆しているが、内容・文体はよく統一されている。
内容は多岐にわたるが、ヒトラーも気まぐれなだけでなく戦争経済を考えて戦略を練っていたこと、スターリンも兵站や補給の重要性をよく理解していたこと、米軍は正規軍どうしの戦闘ではベトナムでもイラクでも常に強力であったこと、トランプ政権を(一時的に)支えたマティスやマクマスターといった軍人が湾岸戦争や対イラク戦争の前線で活躍していたことなどが印象に残った。
知略の本質を考察する終章は、事例を展開するそれまでの記述に比べると抽象的かつ難解であるが、「失敗の本質」の出版以降、戦略に関する数々の考察を繰り返してきた著者たちの現在の到達点と思えば、繰り返し読んで理解に努めることは意義があると思われる。 -
事実に引き込まれたが、最終章が?無理矢理な感じが。
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成功経験も失敗経験も、その経緯を言語化しておくことは大切なんだということを、改めて感じさせられた。
ただ、多くのケースは、目的の不明瞭さが、失敗を導くこともわかっているのにね。
わかっていてもできないのが、人間の性なのか。 -
201228読み応えある 何度も再読して血肉化したい 失敗の本質シリーズ
1.失敗の本質=組織の失敗を学んだ
→「成功の秘訣」は「知の創造」にある
情報→知識→[本質・直観]→知恵
暗黙知
形式知
実践知
2.管理過剰を批判 バブル後のつけ
リスクとる、人材・仕組み・風土を喪失 再構築が必要
3.独ソ戦 読み応えある
ヒトラーvsスターリン トップの資質のレベル差
ソ連の犠牲者は甚大 2,600万人!
4.組織の価値理念 「人命を守る」
ゼロ戦は防御が手薄 パイロットの軽視 損耗激しく長期的には劣勢
5.理念価値観の重要性=本音 -
知略の本質を知るため、読みました。知略とは、情況と文脈に応じて具体的戦略を実践していくことです。知略の4つの要件は①共通善(共通する目的意識)②共感(相互主観性)③本質直感④自律分散系(実践知の組織化)でふ。知略の本質を洞察し理解すれば、どんな場面でも戦略を賢く実践できます。
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久しぶりの野中先生の戦略・知略の本。
頭に汗をかくような、難解な内容ではありますが
最終章は、読みごたえがあって非常に有用な
内容でした。内容を絶対に頭に写真としてのこして
おきない内容です。
SECIモデル。実践知リーダーの必要な6つの能力
知略の4つの要件。
これは覚えておきたい。 -
レニングラード攻防戦、バトル・オブ・ブリテンをはじめ、おそらく戦史オタクでないとなかなか知らないであろう内容をこの本で読むことができた。しかし、これだけ詳細に書いてあるのはさすがでした。