帝王学 「貞観政要」の読み方 (日経ビジネス人文庫)

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  • 日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532190453

作品紹介・あらすじ

組織の指導者はいかにあるべきか?敵の忠臣を登用せよ、部下の諫言を聞き入れよ、清貧の生活に甘んじよ-これらが『貞観政要』の教える行動鉄則だ。古来、為政者の必読書とされてきた名著を、現代のビジネスリーダーに向けて読み解いたベストセラー。

感想・レビュー・書評

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  • 帝王学のテキスト「貞観政要」の解説書

    文春文庫の復刻版:そのまま転記しています。
    裏表紙に現代のビジネスリーダーに向けて読み解いたベストセラーとあります。

    唐の2代皇帝太宗:李世民の言行録であり、呉競が、則天武后後の唐再建のために、復位した中宗に上進されたものである。
    北条政子や、徳川家康も愛読したと伝えられる書は、王者の創業後の守成:組織の維持管理の心得を、今日に伝えている。

    気になったことは以下です。

    ・帝王学はかつて権力・権限が一人に集中していたから、その一人が学べばよかった。しかし、今日、民主主義で権力が分散する。このために、多くの人が帝王学を学ばなければならない。
    ・嗜欲喜怒の情は、賢愚皆同じ。いかなる賢者であっても、権力をもてばおかしくなる。「三年でバカになる」
    ・草創(創業)と守文(維持)といずれが難き とは、貞観政要の言である。草創とは陽性であり、守文とは陰性である。守文とはすでに組織ができあがってしまっている状態である。
    ・唐太宗の時代は、「貞観の治」とよばれ、理想的な統治が行われた時代として語られる
    ・実におもしろいのは、部下たちは李世民に、実にずけずけと率直に意見をいっていること、同時に李世民はこれを当然として、自分の案がみんなから拒否されても少しも感情的にならないことである。
    ・太宗は、仇敵を重要ポジションに任命したことだ。その仇敵が自分の上司に誠心誠意仕えたものである。そして、期待にたがわず、太宗が嫌な顔をしても、かまわず強く諫め、非をなすことを許さなかった。
    ・何かの権限をもつと、人間はどうしても、情報遮断の状態となるか、自ら不知不識の状態となってしまう。一方通行の情報しか来なくなったがために、滅亡、失敗、失脚をしてしまう。

    ・十思とは
     ① 欲しいと思うものを見たら、足ることを知って自戒することを思い
     ② 大事業をしようとするときは、止まることを知って民の安楽を思い
     ③ 高ころびそうな危ないことを思うときは、謙虚に自制することを思い
     ④ 満ち溢れるような状態になりたという願望が起これば、満ち溢れる海はすべて川より低いことを思い
     ⑤ 遊びたいとと思うときは、限度をわきまえ、狩りのとき、一方に逃げ道を用意してやることを限度とすることを思い
     ⑥ 怠け心が起こりそうだと思えば、始めを慎重にして、終わりを慎むことを思い
     ⑦ 自分の耳目をふさがれているのではないかと心配ならば、虚心部下の言葉を聞くことを思い
     ⑧ 中傷や讒言を恐れるなら、まず自ら身を正して悪をしりぞけることを思い
     ⑨ 恩恵を与えるときには喜びによって賞を誤ることがないように思い
     ⑩ 罰を与えようとするときには怒りによって重すぎる罰にならないように思う

    ・九徳とは
     ① 寛にして栗(りつ) 寛大だがしまりがある
     ② 柔にして立 柔和だが事が処理できる
     ③ 愿(げん)にして恭 まじめだがていねいでつっけんどんでない
     ④ 礼にして敬 事を治める能力はあるが、慎み深い
     ⑤ 擾にして毅 おとなしいが、内が強い
     ⑥ 直にして温 正直・率直だが温和
     ⑦ 簡にして廉 大まかだがしっかりしている
     ⑧ 剛にして塞 剛健だが、内も充実
     ⑨ 彊にして義 強勇だが、義(ただ)しい

    ・人はみな、他人の欠点はすぐ気がつくが、自分のことはわからない

    ・六正 とは

    聖臣 兆候も明確でないのに、存亡の危機を見て未然に封じる
    良臣 すぐれたはかりごとを進言し主人の美点をのばし、欠点をすくう
    忠臣 精励し、賢者の登用を進めることを怠らずりっぱな行いを説いて主人を励ます
    智臣 事の成功・失敗を正確に予知し、危険を防ぎ、食い違いを調整してその原因を取り除く
    貞臣 節度を守り、法を尊重し、倹約を旨とする
    直臣 へつらわず、主人の面前でその過失を述べて諫める

    ・六邪 とは

    見臣 地位に安住して、高給をむさぼりだけで、ただ、周囲の情勢をうかがっている
    諛臣 主人に迎合し、ただ楽しんで後害を考えない
    姦臣 ねたみ嫌い、推挙したいものは長所を誇張して短所を書くし、失脚させたいものは短所を誇張する
    讒臣 自分の主張を通すことで骨肉を離反させ、もめごとを創り出す
    賊臣 自分に都合よく基準を定め、自分中心の派閥をつくって自分を富ませ、勝手に主人の命を曲げ、自分の地域や名誉を高める
    某国の臣 主人にへつらい、主人を不義に陥れ、仲間どおしでぐるになって主人の目を くらまし、主人の悪を国中にながして、世界にまできこえさせる

    ・よい臣下を集めるには、①スカウト と ②選抜試験 である。

    ・人間には必ず虚栄心がある

    ・人間が生きていくために絶対に必要なものを、「必需」という。それは驚くほどすくない。寝るための1畳のスペースとか。一日に必要な食物とか。
     常識的に必要なものは、「常需」
     必要でないものは 「虚需」  である。

     必需をベースと考えて、虚需を追い求めない

    ・一見強大に見える権力が、崩壊するときはどれだけもろいかを、隋の崩壊でみてきた

    ・絢爛豪華を誇る伝統よりも、質素を尊重する伝統のほうが、立派で健全である

    ・伝統的な絶対規範のある社会は、どのように崩れてもまた持ち直す復元力がある

    ・漢書曰く「賢者、財多ければ、其の志を損じ、愚者、財多ければ、其の過ちを生ず」

    ・リーダの絶対禁止事項
     ① 迷信にまどわされるな
     ② 宗教にこるな
     ③ 妻に口をださせるな
     ④ 前例を超えるな
     ⑤ 情実人事をするな
     ⑥ 縁故を採用するな

    ・一代目は苦難の中から立ち上がり、二代目はそれを知り、ある程度は苦難を共に分かち合うという形で学習をした。三代目になると危ない

    ・二代目のもとでは、意見は自由に言わせても決断は彼が行い、そして命令を下すのが当然で、また命令が下れば服従するのは当然と部下は考えていた。二代目の死後に、三代目が同様のことをできるわけではない

    ・子どもが、いかに、できがわるくとも、人間はその死後に、なお、直接影響力をこの世に行使することはできない。

    ・栄貴より徳行こそ肝要

    結論は、「各々汝の誠をつくせ、もし是非あらば、直言して隠すことなかれ」

    目次

    1 いま、なぜ「貞観政要」なのか
    2 「兼聴」 情報を吸い上げる
    3 「十思」「九徳」 身に付けるべき心構え
    4 「上書」 全能感をすてる
    5 「六正・六邪」 人材を見分ける基本
    6 「実需」 虚栄心を捨てる
    7 「義」と「志」 忘れてはならぬ部下の心構え
    8 「自制」 縁故・情実人事を排する
    9 「仁孝」 後継者の条件
    10 「徳行」 指導者に求められるもの

    資料 年表・地図
    解説

    ISBN:9784532190453
    出版社:日本経済新聞出版社
    判型:文庫
    ページ数:225ページ
    定価:505円(本体)
    発行年月日:2001年03月
    国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:NHF
    国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPC

  • ・前に塩野七海氏と「コンスタンティノープルの陥落」について対談したとき、その国を興隆に導いた要因が裏目に出ると、それがそのまま国を亡ぼす要因となる、と私がいうと、氏は即座に賛成され、間髪入れず、日本の場合はそれが「和」であろうと指摘された。

    ・昔、漢の文帝に一日千里走る名馬を献上した者がございました。ところが、文帝は次のようにいわれました。「私が祭祀などで平時に行幸するときは一日三十里、戦時などの行軍は一日五十里、前には天子の旗を持つ者がおり、しかも車輌が後続している。私一人だけが千里の馬に乗って一体どこへ行けというのか」と。そして、献上のためにつれてきた費用を与えまして、これを返させました。

    ・傲りは長ずべからず、欲は縦(ほしいまま)にすべからず、楽は極むべからず、志は満たすべからず。

    ・嗜欲喜怒の情は、賢愚皆同じ。賢者は能く之を節して、度に過ぎしめず。愚者は之を縦(ほしいまま)にして、多くを失うに至る。

  • 日本のリーダーたちに読み継がれてきた名著を山本七平が解説、ていうあおり文句だけでビジネスマンがいっぱい釣れそう。
    ビジネスマンじゃないけど私も釣られました。 笑

    さて埋もれた名著こと『貞観政要』(じょうがんせいよう)。
    唐代に編纂された太宗の言行録、だそうです。(by Wiki)
    至極ごもっともなことが事例とともに挙げられてるので、割と読み易かった。

    帝王学はね、民主主義な今こそひとりひとりに必要なんだって。
    「民」が「主」ってことは、ひとりひとりが君主の権力を持ってるッてことでしょ。
    君主ひとりが悪いならその首すげ替えればいいけど、国民みんなが甘言に惑わされて楽なほうに勝手にしたら…ガクブル(((;゚Д゚)))
    いちばんなるほどねえと思わされました。

  • 組織をまとめる上で、諌議や十思、九徳が参考になる。いつの時代でも、人の品性は大事だということ。

  • 民主主義はすべての人に帝王学が求められる.
    古人が手本にした帝王学の書,貞観政要の概説.

    内容は
    ・部下に率直な意見を求めた
    ・その部下が優秀だった
    という感じが.

  • 中国の古典『貞観政要』から、帝王学を学ぶ。
    貞観(じょうがん)というのは、唐の時代二台目、太宗李世民の年号とのこと。
    「貞観の治」という言葉もあり、この時代立派な政治が行われたことを示している。
    時代背景を学び直してから、本書のネタ本である原書を訳した書籍に挑戦したい。

  • 感想をブログに書きました。
    https://www.kingstakt.com/teiougakuyamamotoshichihei/

  • めちゃおもしろかった。帝王学について、もっと学びたくなる本。おすすめです。

    ---

    ◼︎創業と維持
    ・創業よりも守文(維持)が難しい。
    ・創業的発展は永久に続かない。
    ・創業的体制から守成的体制に切り替えなければならない。
    ・ワンマンから、思い切った権限の委譲。1人が1日に意思決定できる回数に限りがあり増やしすぎると正しい判断ができなくなる。

    ◼︎民主主義と帝王学
    ・君主だけが学べば良いのが帝王学だった。
    ・今は、民主主義。民が君主。全員、帝王学を学ぶべき。
    ・中途半端で独裁的な中小企業の社長や、専門家が圧倒的に多い。
    ・帝王学を学んでないから。人の上に立つ、本質を学んでいないから暴君になる。


    ◼︎リーダーと組織
    ・部下との上下関係は、昔からすごく難しい問題である。
    ・部下に対しても、◯◯さんと呼び、丁寧な言葉で話す。新しいトレンドに対するリスペクトがなくなるから。
    ・誰が言ってるかなど立場に関わらず、内容の評価をする。しっかりと考えなくなる。
    ・正しいと思っていることでも流れに頼らず、仮説や背景を丁寧に説明や見える化する。(なぜ?に回答できなくなる。そういう風習だから…みたいな)
    ・リーダーは必ず偏信になる。自戒を常に怠らない。顧客、従業員、フォロワーの声を喜んでむかいいれ、なんでも聞き、筆記させ、対応する。そのための係がいてもよい。
    ・和が組織を滅ぼす。常に、なぜ?をもたなければ船もろとも沈む。
    ・六正、六邪という人事評価。いい基準と悪い基準を作る。

    ◼︎敵をつくる
    ・敵なきものは衰退する。敵をつくる。安心して危機感が持てず衰退してしまう。
    ・必ず、気が緩んで楽をしたいと思うようになる。
    ・敵の忠臣を尊重しつつ、常に警戒する。
    ・敵に最も誠心誠意忠実であったものが味方についた時、最強。どっちつかずのものはいらない。

    ◼︎リーダー失格、人間失格
    ・欲しいとなれば、前後の見境なく闇雲に欲しがる。
    ・企画を思いつくと社員のことなど忘れて突っ走る。
    ・名誉職を高望みして自分の位置を忘れる。
    ・足りぬ足りぬと事業を拡張して破綻。
    ・遊び出すと限度なく溺れる。
    ・軽率に初めてすぐ嫌になり関心を失い終わりを全うせず放り出す
    ・煽てられて耳目が塞がれ人の言うことに耳を貸そうとしない
    ・無茶な恩恵を与えてしまう
    ・罰するときは怒り狂って罰に限度がない。
    ・自分はなんでもできると思い込む。
    ・寝るは一畳。虚栄心を捨てよ。
    ・税は多めくらいにおさめよ。小さな得で大きな徳を失うな。
    ・戦は民を疲弊させる。本当に必要なことなのか、考える。
    ・個人的な恩情は禁物。迷信や宗教、家族の私的な意向、縁故も入れず、度を超えるパーティの開催にも気をつけろ。

    ◼︎九徳
    ・寛にして栗。寛大だが、しまりがある。
    ・柔にして立。柔和だが、ことが処理できる。
    ・げんにして恭。まじめで、丁寧、愛想がある。
    ・礼にして敬。事を治める能力があるが、慎み深い。
    ・じようにして毅。大人しいが、内が強い。
    ・直にして温。正直、率直だが、温和。
    ・簡にして廉。大まかだが、しっかりしている。
    ・剛にして塞。剛健だが、うちも充実。
    ・きようにきて義。強勇だが、義しい。

  • 貞観政要とは、貞観の治で知られる唐の太宗の政治の要綱である。歴史を作った人の伝記だけに、彼にとって不都合なことは載せていないはずであり、ここに書かれていることを鵜呑みにすることはできないが、これだけの統治者である人の行動を無視するのも得策ではないだろう。とはいえ貞観政要を丸読みする語学力もなく、しょうがないので、この本を読んでみた。この本による太宗の特徴は、常に諫言を求めることである。しかも彼は、諫言をした部下に多くの下賜をし、それに報いた。これってかなり稀有なことであると思う。世の常として、諫言には、「地方転勤」なる返し技が待っている。愛する我が社もその例に漏れず、残念。ちなみに太宗の後にあの有名な則天武后が出現。おそらく太宗による国家の基礎作りがなかったたら、則天武后により唐は短命政権で終わっただろう。

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著者プロフィール

1921年、東京都に生まれる。1942年、青山学院高等商業学部を卒業。野砲少尉としてマニラで戦い、捕虜となる。戦後、山本書店を創設し、聖書学関係の出版に携わる。1970年、イザヤ・ベンダサン名で出版した『日本人とユダヤ人』が300万部のベストセラーに。
著書には『「空気」の研究』(文藝春秋)、『帝王学』(日本経済新聞社)、『論語の読み方』(祥伝社)、『なぜ日本は変われないのか』『日本人には何が欠けているのか』『日本はなぜ外交で負けるのか』『戦争責任と靖国問題』(以上、さくら舎)などがある。

「2020年 『日本型組織 存続の条件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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