経済ってそういうことだったのか会議 (日経ビジネス人文庫)

  • 日本経済新聞出版社
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  • / ISBN・EAN: 9784532191429

感想・レビュー・書評

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  • ・竹中:多くの国で、本格的な開拓や移住はかなり早い時期に終わっています。日本では封建時代の話ではないでしょうか。
    ところが、アメリカは19世紀の終わりまでずーっと開拓してたんです。開拓をしていたということは、そこに白地地域があったということです。つまりフロンティアがあったがゆえに、アメリカの中に独特のシステムが自然にできあがった。フロンティアを開拓していくのに、国はどうしたらいいかというと、頑張れば頑張るほど儲かるような仕組みを人為的に作っておいてやればいいんです。隣の人のことをかまうより、自分で開拓しろ。そうしたら、この広大な土地は全部自分のものになると。この辺は、すでに村ができあがっていて隣の人と仲良くやっていきましょうというようなヨーロッパや日本とは全然違います。

    ・佐藤:もし世界を同じ通貨で統一すると大変なことになりませんか。たとえば、ここにある弱小国があったとしますね。もし、この国が共通の通貨、ドルとしましょうか、それを使ったりすると、ろくな産業もないから、この国がもっているドルは全部外に出ていってしまいますよね。そうなると使いたくても使うお金がなくなってしまって、国民は、この国で作ったジャガイモも買えなくなっちゃう状態に陥るんじゃないかなと思うんです。
    竹中:そうなるとジャガイモを外国に売るんですね。
    佐藤:ええ、何もなくなってしまうんです。ところが、通貨の統一に参加していない国だったら、少なくとも自分の国でお金を発券して、自分のジャガイモは売り買いできますよね。
    竹中:金融緩和して、金融刺激すればいいですからね。
    佐藤:ええ。全部統一してしまうと弱いところは極端に弱くなるなと思ったんです。
    竹中:だから、さっき言ったように、物や人が動くしかなくなるから、まったく人が住まなくなるとか、そういうことが起こるわけです。

    佐藤:日本の過疎の問題なんかそれと似たようなものですよね。
    竹中:まったく同じです。

    ・竹中:その意味で、今挙げた三つの国には共通項があります。多元主義によるチェック・アンド・バランスが作用しなかったのです。経済における多元主義というのはマーケットメカニズムです。それがタイの場合は外国為替の市場で働かなかった(タイ政府がバーツを対ドルで実質より高い水準で維持しようとして失敗した)。韓国の場合は財閥という特殊に保護したものがあることによって歪められた(ロシアやインドネシアへ海外投資をしており、それが安易で失敗した)。インドネシアの場合はその多元主義が政治の面で働いていなかった(スハルト体制の崩壊)。そういうことだろうと思うんです。

    ・竹中:最初に外国からお金を借りて工場を造ろうという場合、何の工場を作るかということになりますね。
    ソ連が同じような問題に直面したとき、彼らがまず選んだものは鉄だったんです。なぜならば、鉄は産業のコメであるから。鉄を作っておけば、それによって自動車や機械産業もできるはずだ。だからまず鉄を作るべきであると考えたのです。これは一つの考え方です。産業には川上と川下があって、最初に作られるものが川上です。ですから素材は川上です。川上で鉄を作れば、川下で自動車ができるはずだと考える。だから産業というのは川上から前のほうに展開させていきたいということで、「前方連環」の考え方というんです。これを実際にいくつかの国がやってるんですが、歴史的に見て必ずしもうまくいっていない。そうなると、あとは一つしかないですね。
    佐藤:川下から始めるんですね。
    竹中:そうです。たとえば、消費財。これを作れということになりますね。先に消費財を作って、それを伸ばしてから徐々に川上に移っていく。これを「後方連関」というんです。後方連関の方がうまくいくんです。それで実際にアジアの国はこれをやるんです。
    なぜうまくいくかというと、鉄より、まず消費財のほうが必ず需要があるからなんです。需要があるということは必ず儲かるということです。必ず儲かるということは、この消費財を作るときに必要な、ものを供給する、何か中間的なものに対しても必ず需要が発生する。どんどん川上を産業がめざしてのぼるわけです。だからうまく行く。この後方連関のメリットを主張したのがハーシュマンという学者なんですが、現実にある程度の成功を収めました。では、消費財から作るのがいいとして、その中でもどんな消費財を作ればよいか。佐藤さんならどう考えますか。
    佐藤:当たり前かもしれないけど、まずは自分の国に不足しているものでしょうか。
    竹中:その通りなんです。消費財の中でも、特に今輸入しているものを作る。それで競争力をつけたら、今度はそれを輸出できるようにする。これを輸入代替から輸出代替と言うんです。

    ・佐藤:たとえば「任天堂のファミコンがなぜここまで大ヒットしたか」っていうと、あれ、僕はテレビが各家庭にあったからだと思うんです。僕、それ「コバンザメの法則」って呼んでるんですけど。もし巨大な市場のものがあったら、それに付随するものっていうのは、最低限大ヒットするんですよ。携帯電話がこんなになったから、携帯ストラップのようなモノでも大きな市場になるんですよ。

    竹中:それを経済学の用語で表すと、「補完材と代替材」という考え方になります。「補完材」というのは、「コーヒーが売れればクリープが売れる」という関係です。これに対して、代替材というのは、新幹線に乗れば飛行機には乗らない―。つまり、新幹線か飛行機かという関係です。さっきのゲームは両方の面があるのかもしれません。
    佐藤:ああそうですね。「放送の代替」と「テレビの補完」ですね。

    佐藤:労働って何だろうと考えると、えてして経済行為としての労働というより、働くことの意味とか、自己実現としての仕事とか、そういう人生的な方向にどうしてもいってしまいがちですね。確かに自分にとって働く意味とはなんだろうとか、どんな職業に就くのが幸せなのだろうかと悩んだりすることもいいと思うんです。
    だけど、僕はそれをあえて「贅沢な思い」と思ってるんです。本当はそこで迷うことは正しいんでしょうけど、何だか贅沢な感じがするんです。だってついこの前まで、日本人のほとんどが「生きるため」に働いていたわけですよね。
    …だから僕は、ここでは人は何のために働くべきかとか、労働は美しいとか、そういった形而上の解答じゃなくて、経済学的な解答を知りたいんです。税制が共同体のあり方を変えるように、労働や労働の制度が人間のあり方や社会のあり方を変えることも当然あるだろうし、もしそうであるなら、税に公平、中立、簡素という三つの原則があったように、労働とはこうあるべきだという理想論が経済学にはあるのか…。
    竹中:面白いですが、すごく難しい問題ですね。ケインズという学者がいました。20世紀を代表する偉大な経済学者ですが、彼は経済学者の仕事なんか全然大したことないと公言してたんです。経済学は要するに虫歯の治療みたいなもんだ。虫歯がなくなれば、歯医者の仕事はなくなる。だから、みんなが食べていけるようになれば、経済学者の仕事なんかなくなる。つまり食べていけるかどうかを問題にしているうちはそれなりに幸せで、そこから先、衣食住がある程度満ちて、自分はどう生きるか、自分の幸せとは何か考えはじめたら、こんな厄介なことはない。だから、経済学者の仕事が終わったときに、実は本当の人間の問題が始まる、という言い方をケインズはしているんです。

  • 初版が2002年のため、情報としては古いものも含まれるが、普遍的な知識になり得るところもあり。
    税金・アメリカ・円、ドル、ユーロの章など。

  • 12年前発売の本

    でも、経済原理は変わっていない。

    アクアラインがコンクリート業界と鉄骨業界の妥協の産物というのが、印象に残る。

  • 経済の基本的な事を知る意味では良書。大学生から20題に勧めたい一冊。

    ※日本の株式会社はコーポレートガバナンスが効いていない(経営と所有の分離)よって配当しなくて良いから内部留保があり、設備投資ができた。
    ※良い税とは①簡素②公平③中立である事。そこで公平というものの捉え方。→垂直な税、水平な税。応能負担か王駅負担か。
    ※アメリカで経済を語る時、要素還元的に見る→本当は複雑系で見ないといけない。
    ※アメリカ→ニューワールド、フロンティア、多様性
    ※多元主義は間違いを防ぐシステム
    ※教育はコンセプトとしては投資であっても会計上、税法上消費である
    ※日本のサラリーマン経営者はデグジットストラテジーを考えていない

  • 日本が生きる道というのはプロフェッショナルを一人一人が身につけていくことしかない

  • 経済の勉強と読んだが、体系的な本ではなく、
    内容も後半は自分には難しかった。

    お金とは信用だという話は
    わかりやすかった。

  • 元電通マンと新自由主義の旗手、二人とも慶応の教授という、いけ好かない(笑)お二人の対談。
    経済の基本がとても分かりやすかったです。

    パソナの話も出て来て(現在竹中氏はそこの会長)、どういう考えであんな政策を推し進めてたのか、理屈はわかりました。

  • 竹中平蔵と元電通マンの佐藤雅彦の対談をまとめたもの。佐藤雅彦の経済に関する疑問に竹中平蔵が答える形。初版は2000年刊行なので少し古いが、それなりに面白かった。今だとちょっと違うテーマが出てくるような気がする。

  • 同僚のオススメで、お借りして読むことにした一冊。
    眠気との戦いではあったけれど、わかったことも多いかな。
    特に、投資と消費、起業とビジネスがよかった。
    教育は、経済学的には投資ではないのね。
    ライバル設定?次第で、強く大きくみえる。
    自分では選ばない本だけに、貴重な時間でした。

  • 思ったより読みづらい。わかったよーなわからんよーな。

  • 初歩の初歩という感じの本です。
    佐藤雅彦氏の素朴な日常の疑問とリンクしていたりするので、読みやすいかもしれません。
    参考文献とか挙げられているとなお良かったかもしれません。

  • 冒頭の牛乳瓶のフタのエピソードがとってもわかりやすい♪

  • 経済のことを優しく判りやすく解説していて読みやすい。

  • やっぱり章によっては難しい話が多く、とっつきについ話が多いです。その中でも面白かったのは『経済学の語源は共同体のあり方』ということ。
    そういう意味では共同体の一員として株式投資とかにも興味が湧きました。
    忘れた頃にまた読みたいです!!

  • 竹中さんが相当、競争肯定派だと知った。こりゃあ、抵抗されるし叩かれるわけだ。でも、これが実現したら強い国になれると思う。

  • じゃぁ,経済って何?と言われても答えられないのだ。
    C1 貨幣と信用
    2 株の話
    3 税金の話
    4 アメリカ経済
    5 円・ドル・ユーロ
    6 アジア経済の裏表
    7 投資と消費
    8 起業とビジネス
    9 労働と失業

    少し前の本なので読んでいて違和感がある。
    教育は消費として扱われるらしい。知的娯楽ということかな。学校に通うことはレジャー施設に行くことと同じ。その理由は誰の目にも明らかな産物を為さないから。免許資格を取得する学校に通うことは,その免許資格を活かしてお金を稼ぐことが可能になるから投資と言ってもいいのでは。

    起業精神というのは大切かも。
    同様に出口戦略を持つことも。

  • かなり古いものなので現在には合わないところもありますがわかりやすかったです。

  • あともう少しで読み終わるー♪

    話題は少し古いが、考え方は勉強になった。最近、テレビや新聞で経済の話題が多くて、経済のことが知れてよかったです。

    消費と投資

    通貨のこと

    市場のこと

    勉強になりました。

  • 今さらだけど...

  • 二人のざっくばらんで柔らかな形の対談は、とても読みやすく理解もそれほど難しいものではなかった。
    体系立てて述べられているわけではないので、そういう意味では経済全体を理解するのには足りないかもしれないが、入門として間口を広げるにはよかったのかなと思う。

  • 経済の基本的なことがわかりやすく書かれてあった。

  • 経済についての入門書。はっとさせられる言葉も時折ある。
    つかみどころのない経済を体系的に捉えるって今更ながらすごいことだと思う。

  • カスタマーズ・サティスファクションとは、まさに「相手の立場になって考える」ということです。成功した企業はこの精神を積み上げていってますね。

  • 経済全般とまではいかなくても、入り口と仕組みを楽しく教えてくれます。

    経済本を面白く思える日はいつか来るのだろうか。

  • 2004年に読んだ。

    2011年12月再読。

  • コピーライターの佐藤雅彦と、大臣になる前の竹中平蔵の、「経済とはなにか」を巡る対談。2000年4月刊行のものの文庫版で、2002年初版ということで、9.11を受け、グローバル化に引っかけた1章を追加している。竹中平蔵はこの間、経済財政政策担当大臣に就任。

    冒頭に、 economics (経済)という言葉が、oikonomikos(共同体のあり方)という言葉が語源であることを佐藤が聞き、経済に対する怪しげなイメージを新たにしたと書いている。
    その後、お金、株、税金、投資、消費、起業、労働など、経済の基本的なタームをめぐる、佐藤の素朴な疑問に対して、竹中がその時の旬なネタと絡ませて分かりやすく解説している。

    自分も、経済については全く知識がないので、素人の質問に対する専門家の分かりやすい回答という形で、大いに勉強になった。
    また、経済の語源が「共同体のあり方」であるという冒頭の言葉が、税制や、経済のあり方などの対談を通して、まさにそのとおりだと感じた。

  • 経済についての素朴な疑問に答えている本。
    内容がしばしば脱線して何が言いたいかわからなくなることも少しあったり。
    カネボウの資生堂に対する戦略はおもしろいと思う。
    規模的には1:9くらいなのに同じようなプロモーションをすることで、顧客は5:5くらいの関係なのではないかと感じて購入するというもの。

  • 世の中で起きていることを経済学はどのように紐解こうとしているのか。その理解の第一歩として。

  • 大学が決まってちょっと知識をつけようと
    初めて買ったビジネス(?)の本
    わかりやすいようにところどころ絵が描いてあったり、身近な話題をあげたりしていて、とても親切な本です
    高校生が読んでも大丈夫だと思う

    何度も読み返したからボロボロです

    個人的に好きなのは
    かわいらしい装丁のデザイン
    思わず手に取りたくなる

    久しぶりにまた読もうかな

  • 今まで一切「経済」に興味がなかった。アンテナもそっちに張ってなかったし。
    私も佐藤さんと同じように「経済」に対して、ギャンブル的な意味合いの強い、お金儲けみたいな、悪いイメージがあった。
    でも、竹中さんの経済の語源はオイコノミクス、つまり「共同体としてのあり方」でみんなが幸せになるにはどうしたらいいかってゆうところから来ているてゆう言葉を読んで、実はすごく身近な問題だってことに気付いた。

    本の形式は、座談会みたいに佐藤さんが素朴な疑問(十分高度だけど)をぶつけて、竹中さんが答えるって形。

    竹中さんは小泉政権のときの財務大臣で、この人のせいで今の所得格差が超加速したらしい(母談)。

    竹中さんが政治に参入する前に書いた本だけど、政策はフロンティア型の税制・人頭税など、この本の中で言ってたこととかなり近い。
    だからこの本を鵜呑みにするんじゃなくて、取捨選択がかなり必要。

    私にそれができるだけの知識が無いから、基本的なことだけ信じようと思う。

    それでも上場とか、株式会社の意味とかサッパリだった私には勉強になった良い本。


    正直、こんなに頭が良くて、経済の理解も深くて、日本のことをよく考えている人が大臣やっても景気が悪くなるんだなって思った。
    日本の政治家をもうちょっとリスペクしようと思った笑笑

著者プロフィール

1954年、静岡県生まれ。東京大学教育学部卒。慶應義塾大学教授を経て、現在、東京藝術大学大学院映像研究科教授。主な著書に『経済ってそういうことだったのか会議』(竹中平蔵氏との共著・日本経済新聞社)、『新しい分かり方』(中央公論新社)、『考えの整頓』(暮しの手帖社)、『差分』(美術出版社)、『毎月新聞』(中公文庫)ほか多数。また、ゲームソフト『I.Q』(ソニー・コンピュータエンタテインメント)や、慶應義塾大学佐藤雅彦研究室の時代から手がけている、NHK教育テレビ『ピタゴラスイッチ』『‪0655/2355』『考えるカラス』など、分野を越えた独自の活動を続けている。2011年に芸術選奨受賞、2013年に紫綬褒章受章、2014年にカンヌ国際映画祭短編部門招待上映。‬‬‬

「2017年 『行動経済学まんが ヘンテコノミクス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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