帝国ホテル厨房物語

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532192389

作品紹介・あらすじ

60年余りにわたり帝国ホテルの味を守り続けてきたフランス料理界の重鎮の自伝。東京オリンピック選手村食堂の料理長としての奮闘や、エリザベス女王ら賓客の思い出などをまじえながら、波乱の人生を振り返る。

感想・レビュー・書評

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  • 前の東京オリンピック選手村で料理長の一人だった著者の自伝的エッセイ。料理人を志して、前向きな努力と運と人脈で、巡り巡って成功に辿りついてきた著者の人生に感銘を受けるとともに元気をいただきました。「段取り八分」。段取りで八割の仕事は完成する、というお考えで、あらためて納得です。
    読みやすい文章で興味深い内容でした。

  • 元帝国ホテル総料理長だったムッシュ村上さんによる自身の履歴を綴った一冊。
    例えつまらない仕事でも与えられた仕事を黙々とこなしたり、
    留学のチャンスがきたら逃さず即、決断!
    そして、外国人とのコミュニケーション方など学ぶべきところは非常に多いです。

  • 以前から読みたいと思っていた、帝国ホテルの料理長の自叙伝。13歳で働かざるを得なかったこと、戦中戦後、シベリアでの生活等大変なことがたくさんあったはずなのに話に暗さがないのは、とても前向きに生きてきた人だからなのだろう。

  • 著者の村上信夫氏は2005年に没されている。お悔やみ申し上げたい。本書は村上氏の自伝であり、前半はページを繰る手が止まらず、笑いあり涙ありの良書である。村上氏は一途に料理、特にフランス料理を愛しており、まさしく料理を作るために生まれてこられたのだなと思うほど、情熱的な人物である。戦争前に先輩シェフから教わった餞別レシピは、参考にしたいものが沢山ある。また本書には写真が複数枚掲載されており、当時の雰囲気を身近に感じることができる。村上氏はふくよかで口髭、メガネが可愛らしい印象の方だが、一番気に入った写真は犬山徹三氏である。P117に掲載されているのだが、名前に負けず劣らず、どえらい迫力の格好良さだ。いや、渋さというのか。くっきりとした二重まぶたに一文字に結ばれた口元。その目には鋭い光が宿り、シングルのスーツを恰幅良く着こなされている。ストライプのネクタイもお茶目で良い。犬山氏は、村上氏をヨーロッパ留学へ送り出してくれた恩人だ。テレビ出演の話を持ちかけたり、先見の明がある、非常にかっこいい紳士である。

    「現地の流儀を尊重する。悪い点は見ずに、いいところだけを学ぶんだ。」
    「勝手なメニューは書くな。自己満足するようなメニューを書いて威張っているんじゃないぞ。お客様が喜んで、今日の料理はおいしかった。楽しかったと言われて初めて、「おれの料理は」と威張るんだぞ。(犬山氏)」
    「若い料理人へのアドバイス。欲を持て。急ぐな。最も大切なのは基本である。」
    「料理の極意は愛情、工夫、真心」

  • 10年前に会社の先輩から「いろいろ学べるぞ」とプレゼントされた時には正直ピンとこなかったけど、今改めて読むと勉強になった部分がたくさんあったー。
    戦争についての描写がスルっと、でもリアルに入ってくるのもいい。こんな感じで戦争描写をしている本が他にもあれば読んでみたい。

  • 帝国ホテルの総料理長を務めた村上さんの日経新聞「私の履歴書」を
    元にした書籍。

    仕事に対する熱意がすごい。前のめりに、できることを考えて
    真綿のように吸収していく。

    随所に「楽しくて、充実していて疲れている暇が無かった」という記述が
    あります。

    そういう人は、どんな種類の仕事でも伸びていくし、周りもかなわない
    存在になる。

    その原動力はやはり「夢」なのか。本人は「欲」といった記述を
    していましたけど。
    「これをしたい」という熱意を持つことが、人生において大きな差になるなと
    改めて思わされることになった一冊。

    「38年間、帰宅してから1日1時間、料理の勉強を欠かさない」とあった中、
    それを読んだ私が何ができるのか。何をするべきか。
    考えたいと思います。

    また、東京オリンピックについても書かれていました。
    東京オリンピックの食事のために、日本の有名ホテルから選抜された
    メンバーで食事を作るくだりを見ると、2020年に東京にオリンピックが
    来ると、各産業で、またこういった一大的な集団が作られ、国として、
    成果を残すことが出来るのだなぁと、スポーツにとどまらないオリンピックの
    影響力についても改めて考えました。

  • 波瀾万丈、運もあるだろうが『チャンスは練って待て』という本人の言葉通り、どんな環境でも向上心を持って取り組む姿勢が成功に繋がったのだろう。
    欲を持て、急ぐな、というアドバイスも腹に落ちる。

  • ムッシュさんのことは知らなかったが、天皇の料理番の秋山先生のことはドラマで知っていたので、歴史も交差しとても興味深く読んだ。

    ひたむきさ、パワフルさで時代を切り開いたお方

  • 留学のお餞別にいただいた本を、久々に読み返した。欲を持つこと、急がないこと、機会を無駄にせず、がむしゃらにやることなど、教訓の込められた読みやすい一冊。たまに読み返しておきたい。

  • 戦前〜高度成長期までを見つめ続けたフランス料理人の自伝。ホテル特有のエピソードや、戦前戦後の変化などかかれてる。戦後にげんこつ制裁禁止が出ており、レシピの共有や指導法の変化も記載。

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著者プロフィール

1953年、京都生まれ。元NHKエグゼクティブアナウンサー。
『おはよう日本』『ニュース7』などを担当。
2001年から11年に渡りNHKラジオの「声」として活躍。
現在は、「嬉しいことば言葉が自分を変える」をテーマにした講演を、全国各地で幅広い年齢層に向け精力的に行っている。
東京・京都・大阪などで「ことば磨き塾」を主宰。
東京・文京区の麟祥院で「大人の寺子屋 次世代継承塾」主宰
文化放送『日曜はがんばらない』、シャナナTV『縁たびゅう』FM805『たんば女性STORY』などの番組で活躍中。
著書には『嬉しいことばが自分を変える: ことばの取扱説明書』(ごま書房新社)など多数。

「2023年 『未来を創ることば 次世代へのメッセージ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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