鈴木敏文の「統計心理学」―「仮説」と「検証」で顧客のこころを掴む (日経ビジネス人文庫 (か3-2))

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  • Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532193201

感想・レビュー・書評

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  • ―10種類のおにぎりがあって、そのうち3種類の売れ行きが非常によかったとする。その3種類を中心に品揃えをしておくと、しばらくの間はそれらが上位を占める。そのかわり、おにぎり全体の売り上げは落ちていく。その3種類はすでに飽きられていて、それでも何とか売り上げ上位に入っていたのは、ほかがなくて仕方なく我慢して買うという消極的選択もあったからだ。実は上位3種類が売れている間に、4位、5位の種類が伸びる兆しがあって、そちらの方が新しい売れ筋になるはずだった。
    とかく、人はよく売れた商品をまた揃えようとします。それは「昨日のお客」に対する商売の仕方です。大切なのは「明日のお客」は何を求めているか考える事です。

    セブンイレブンはバイトまで売れ筋、死筋を考えて仮説・検証を立てる風土が根付いているそうだ。店舗毎にここまで客層が違うのであれば、現場の店員を教育する仕組みが不可欠なのだろう。個別の商品の売上高を考えるのではなく、売れる店をトータルで考えないと全体の売り上げも上がらない。

  • マクロとミクロ、フィジカルとサイコロジカル。リレーションシップ。

  • 直感、本は読まない。
    なかなか声に出しにくい事でも言っていて凄い。正直共感できる。
    ゼロ秒思考という事だと思う。

  • 天下のセブン&アイグループの総帥、鈴木さんの書籍。
    最近、新版が出ていて読みたいなと思ったら、昔のものがあったので読んでみた。

    最近のデータ分析ブームで色々な書籍があるけれど、本書はその基本的なところをカバーしている良書だと思う。
    特殊なテクニックなどではなく、日々仮説思考を持ってデータと現場に接して試行錯誤を繰り返すという基本に忠実な事例が載っているからだ。
    かなり目から鱗のことが多かった。
    個人的には、現在の日本の消費者は多様性ではなく、極度の同質性であるという指摘がかなり良かった。やはりさすがである。
    自分もそういった独自性を出せるように精進したいものだ。

    目次
    第1章 鈴木敏文はどのように意思決定しているのか
     1 「客観」と「直観」、二つのカンで発想する
     2 鈴木敏文を見ている「もう一人の鈴木敏文」
     3 発想の根本にある「五つの視点」
      鈴木流独自発想の視点1 変化の流れを時間軸で捉えると、今の時代の動きが分かる
      鈴木流独自発想の視点2 時間軸を輪切りにすると本当のようなウソが見えてくる
      鈴木流独自発想の視点3 時間軸で未来に目を向けると、今の時代の顧客心理が読める
      鈴木流独自発想の視点4 脱経験的思考――過去の「常識」は今の「非常識」
      鈴木流独自発想の視点5 陰陽両面的思考――買い手の「合理」は売り手の「非合理」
     4 天才経営者と凡人ビジネスマンはどこが違うのか

    第2章 商売は「経済学」ではなく「心理学」で考えろ
     5 顧客は「経済人」でなく「心で動く人間」である
     6 顧客の心理を読む「琴線と金銭」の商い
     7 鈴木敏文は顧客の心理をこう読む
      鈴木流顧客心理の掴み方1
       「富士山型」発想を捨て「茶筒型」に転換せよ――「昨日のお客」より「明日のお客」
      鈴木流顧客心理の掴み方2
       海辺の店でなぜ、梅おにぎりが大量に売れるのか――「先行情報」と「経験情報」
      鈴木流顧客心理の掴み方3
       あいさつ一つで顧客との距離感を縮める――「無意識」は「無視」と受け取られる
      鈴木流顧客心理の掴み方4
       なぜ、高密度多店舗出店戦略なのか――顧客心理の変化がもたらす「臨界点」
      鈴木流顧客心理の掴み方5
      商品の陳列は顧客の目線で考えろ――「合理的」より「目につきやすさ」

    第3章 半歩先を読む鈴木流「統計術」の極意を学ぶ
     8 鈴木流経営学の原点は隠れた大学院時代にあった
     9 なぜ、「現場主義」ではなく「データ主義」なのか
     10 データや情報を読み解く「五つの極意」
      鈴木流統計術の極意1 売り手から買い手へ、視点を変えると別のデータが見える
      鈴木流統計術の極意2 統計データは鵜呑みにするな、その背景や中身を突きつめろ
      鈴木流統計術の極意3 同じデータ、情報でも「分母」を変えると意味が逆転する
      鈴木流統計術の極意4 なぜ、モノが売れないのか、心理抜きには統計は読み切れない
      鈴木流統計術の極意5 仮説・検証で初めてデータが生きる、WHYとWHATの問題意識を常に持つ
      鈴木流統計術の極意中の極意 自分の都合のよいように、数字のつじつま合わせをするな

    第4章 鈴木流「場のつくり方」を学ぶ
     11 徹底してダイレクト・コミュニケーションにこだわる
     12 繰り返し伝えることにより基本を「血肉化」させる
     13 共有化のための「場」を大切にする

    第5章 現場の社員たちはどのように鈴木流経営学を実践しているか
     14 社員のコミュニケーション能力を重視する
     15 仮説・検証を店舗経営に活かす
     16 自分の仕事で「物語」をつくれるかどうか
     17 顧客の共感を呼ぶ「場」づくりにこそセブン-イレブンの強さがある

    おわりに
    鈴木敏文氏の金言集

  • もう少し早く読めばよかった。要は、現代は売り手市場ではなく買い手市場なので売り手の過去の成功事例や栄光にしがみついてやるものではないということ。直観が大事だが、そのために問題意識を持ってデータを読み解き、常に疑問を持つこと。「他店見学してはいけない」は大胆。やはり成功するには過去との決別と大胆な行動、そしてその覚悟が必要ということか。

  • 鈴木社長礼賛本に近い内容となっている。タイトルに「統計」という文字も入っているが、さほど統計に言及した内容も多くない。
    しかし、鈴木氏が大事にしている「仮説検証」は多くのケースで語られているため、その他のビジネス書にも多く書かれている「仮説検証」を抽象から具体へと理解を深めるのに役立つ一冊。

  • ■マーケティング分析

    A.鈴木氏の発想の根本には、次の5つの視点がある。
    1.今の時代の動きを把握するために必要な、時間軸で変化の流れを大きく捉える視点。
    2.世の中の潮流の中に潜む本質を読み取るための、時間軸を「輪切り」にし、その断面を見る視点。
    3.顧客心理を読むために必要な、未来という時間軸から見て今を位置づける視点。
    4.過去の常識は今の非常識になるという脱経験的思考。
    5.買い手の「合理」は売り手の「非合理」という陰陽両面的思考。

    B.同じ25℃という気温(室温)でも、夏なら「寒い」となり、冬なら「暑い」となって売れる商品が変わる。このように同じデータ、情報でも「分母」を変えると意味が逆転する。

  • 営業マンとして、漠然とした暗黙知を何とか形に出来ないものかを思案しています。理論・実験に裏打ちされた開発の同僚と研修を共にした時、営業としての知識を語るのが難しく、経験則的な話に傾倒していることに焦りを感じたのです。そこでまず営業的なモノの考え方に、数字を積極的に裏付けに使っていこうという思いに達しました。そこで闇雲に手に取った本。統計という部分に何かしらのヒントが無いか?
    製造業と小売りの違いはありますが、数字の捉え方には参考になる部分がありました。
    以下は自分の気づきを元に、構成をまとめてみました。

    ◉はじめに
    ・変化の時代に必要なのは、論理思考力を身につけた上で、一歩突き抜けた発想力だ。
    ・「A=B」と思っている内は、自己差別化は出来ない。
    @一粒百行
    (いちりゅうひゃっこう)
    ‥‥一粒の米を作るにも百の手間がかかる。
    ⇨ひとつの事を成功させるには、百の努力が必要である。
    ・一つの一貫性を持った努力と創意工夫の積み重ねは必ずやブレークをもたらす。

    ◉第1章:
    鈴木敏文はどのように意思決定しているのか?
    ◎客観と直観の一体化した発想が独創性の源。
    直観‥‥物事の本質をいきなり直接的に見抜くこと
    直感‥‥物事を瞬間的に心で感じ取ること
    @メタ認知‥‥認知に対する認知。
    ◎5つの視点
    ①時間軸で変化の流れを大きく捉える視点
    ・短期的な動向や目先の動きもを中長期的な視点で捉える
    ⇨日本は、短期的な動向にマスコミが過敏に反応し、社会全体に波及する傾向が強い
    ②時間軸を輪切りにして、断面を見る視点
    ・多様化と画一化
    ⇨商品のライフサイクルが激しくなった現代では、当たり前のように『多様化』が叫ばれているが、断面から捉えると『画一化』の時代だと言える。
    ③ 時間軸で未来から見て今を位置づける視点
    ・現在が安定していると、未来に不安を持つようになる。
    安定を維持したいからである。
    ④脱経験的思考
    ・人間は苦境になるほど、過去の成功体験にすがる
    ・常識を破らないと感動を伝えられる仕事はできない
    ⇨制約条件固定型‥‥出来ない理由を列挙して結論づけるタイプ
    ⇨制約条件解放型‥‥出来るためには何が必要かを仮説していく
    ⑤陰陽両面思考
    ・流行とは飽きられるという裏の面をもつ
    @ABC分析‥‥商品管理手法。売れ行きをA、B、Cランクに分類する手法。
    ・売り手の合理は、買い手の不合理。
    @米国の心理学者・ボーリングのだまし絵。
    ‥‥多義図形。同じ絵でも見る人によって受け取り方が違うことを示す
    一つの絵に若い女性と、老婆が隠れている。
    ・過去の経験や常識は、ラーニング(学習)すると同時に、アンラーニング(学習の仕直し)の対象になる。
    ◎人間は誰しも自分に納得しやすい話を作りたがる
    ⇨自分に厳しく、客観的な視点を訓練しておく必要がある。
    @マーケティング
    ・井戸モデル‥‥自分であればこういう商品が欲しいと掘り下げていくマーケティング手法
    ・川モデル‥‥顧客は川の向こうにいるものとして、標的めがけてうつマーケティング手法

    ◉第二章:
    商売は「経済学」ではなく「心理学」で考えろ
    ◎人間の消費は経済合理性だけで動いているわけではない
    ⇨モノ不足の時代には経済学で考えれば良かったが、モノ余りの時代は心理学でのアプローチが必要である。
    @人間の捉え方
    ⑴ホモ・サピエンス(英知人)
    ‥‥人間の本質は知性や英知にあるとする。
    ⑵ホモ・ファベル(工作人)
    ‥‥ものをつくり自己を形成する創作活動にあるとする。
    ⑶ホモ・ルーデンス
    ‥‥歴史学者・ホイジンガが提唱した「遊び」こそ人間にとって最も本質的で独自なモノ。
    ⑷ホモ・エコノミクス
    ‥‥経済合理性に基づいて活動する
    ◎現代社会の競争力の源泉
    スピードの経済、規模の経済を追求する時代であると考えられているが、鈴木氏は心理学の経済こそ、追求すべき課題であるとしている。
    ◎心の糸(琴線)が共鳴すれば
    財布の紐(金銭)が緩む
    ・変化対応する体質が重要であり、その為には商売に余裕がある事、つまり利益が確保されているか、である。
    ◎日本の商品ライフサイクルは世界一短い
    ・富士山型ではなく、茶筒型。
    一気に売れて、一気に売れなくなる。
    ・現代では、“思いつき”が大切。
    仮説と検証で形にしていく。
    @閾値(科学。いきいち)
    ‥‥あるフェーズでの連続的な変化が一定のレベルに達すると、次のフェーズへと突然転換していくときの境目。
    ex.水の沸点、ガラスの溶解温度

    ◉第三章:
    半歩先を読む鈴木流「統計術」の極意を学ぶ
    ◎経営とはマクロで見てミクロの数字に落とし込んでいくこと
    ・現場主義に偏りすぎると、マクロを見逃す事になる。
    ◎データや情報を読み解く「5つの極意」
    ①売り手から買い手に視点を変えると別のデータが見えてくる
    ・データを記録として見るのとマーケティングに使うのでは読み方が違う
    ⇨完売は売り手から見ると、成功だが買い手から見ると機会ロスになる。
    ②統計データは鵜呑みにしない
    ・調査・アンケートは誘導的、恣意的に作成しやすいモノ。
    ⇨統制調査はサンプリングの仕方によって中身が全く異なる。
    ③同じデータ・情報でも分母を変えると意味が逆転する
    ・気温25℃という情報でも、分母が真夏か真冬かで意味が全く異なる。つまり打ち手がかわる
    ④心理抜きにしては統計は読み切れない
    ⑤仮説・検証で初めてデータが生きる
    whyとwhatの問題意識を持つ
    ・問題意識無く見たデータからは新しい文脈・意味は生まれない
    ⇨問題意識の原動力は何故か?何をすべきか?を問うこと。
    ◎自分に有利な数字の辻褄合わせをしない
    ・経済が成熟してくると過去のデータはそのままでは通用しない
    ⇨数字の辻褄が合いすぎるのは逆におかしい

    ◉第四章:
    鈴木流「場のつくり方」を学ぶ
    ◎情報の共有・統一に、ダイレクト・コミュニケーションに勝るものはない
    ・情報は鮮度が命だが、人の手を経れば経る程、加工される。
    ◎反復こそ基本を血肉化させる唯一の方法である。
    @企業の持つ成功の型の一つ
    【限りなく理想を追い求める執拗さ】・・・野中郁二郎教授
    ⇨理想に向かって、しつこく努力を重ね続ける。それが持続的競争優位をもたらす。

    ◉第五章:
    現場の社員たちはどのように鈴木流経営学を実践しているか
    ◎コミュニケーションは自分で情報を持つことから始まる。
    ◎自分の仕事で「物語」をつくれるかどうか
    @アフォーダンス
    afford=〜を与えるから造られた造語。
    「環境が動物に与える価値」という認知科学の用語から、「モノ自体がそれをどうやって取り扱えばいいのかメッセージを使い手に対して発している」という意味に転じた。
    ◎経営とは過去の成功体験を壊し、新しいモノを創ることである

  • セブン・イレブン会長あgどのように考えて経営をしてきたかの本。
    仮説と検証を繰り返し、顧客の目線を徹底するトップがいたら、なかなか業界トップの座は動かないだろう。
    愚直なまでに対面のコミュニケーションにこだわり、上の意志を下までしっかり通していることがやはり強みか。

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著者プロフィール

ジャーナリスト
1952年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退後、フリージャーナリストとして経済・経営分野を中心に執筆。企業組織経営・人材マネジメントに詳しい。

「2017年 『全員経営』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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