鈴木敏文の「統計心理学」: 「仮説」と「検証」で顧客のこころを掴む
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2006年3月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532193201
感想・レビュー・書評
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―10種類のおにぎりがあって、そのうち3種類の売れ行きが非常によかったとする。その3種類を中心に品揃えをしておくと、しばらくの間はそれらが上位を占める。そのかわり、おにぎり全体の売り上げは落ちていく。その3種類はすでに飽きられていて、それでも何とか売り上げ上位に入っていたのは、ほかがなくて仕方なく我慢して買うという消極的選択もあったからだ。実は上位3種類が売れている間に、4位、5位の種類が伸びる兆しがあって、そちらの方が新しい売れ筋になるはずだった。
とかく、人はよく売れた商品をまた揃えようとします。それは「昨日のお客」に対する商売の仕方です。大切なのは「明日のお客」は何を求めているか考える事です。
セブンイレブンはバイトまで売れ筋、死筋を考えて仮説・検証を立てる風土が根付いているそうだ。店舗毎にここまで客層が違うのであれば、現場の店員を教育する仕組みが不可欠なのだろう。個別の商品の売上高を考えるのではなく、売れる店をトータルで考えないと全体の売り上げも上がらない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
未感想
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ビジネス選書サマリー。セブンイレブンの鈴木寿史会長の手腕を紹介した本。
例えば98年秋に「消費税分還元セール」が大ヒットした。これは顧客の心理を刺激したものだ。顧客の心理に“反消費税”という物語を見出し、消費税アップに対する潜在的な不安感を刺激したのだ。経済学の発想なら単なる「5パーセント割引セール」になる。だがこれでは消費者の心理を刺激することはなかったはずだ。
数字の裏を読むのも鈴木流統計術の特徴だ。一般に公表されるデータを目にしても、額面どおりには鵜呑みにしない。数字の裏の裏を読もうとする。例えば、アンケートなどの調査も疑ってかかるべきだ。社員が街頭で店についてアンケートしたところで面と向かって「良くない」と言える人はほとんどいない。粗品でもあげればなおさらだ。また2~3人連れの女性達に質問すると、その中の発言力のある人の答えに残りの人が追随する。そのため本当のことが出てこない。 -
マクロとミクロ、フィジカルとサイコロジカル。リレーションシップ。
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直感、本は読まない。
なかなか声に出しにくい事でも言っていて凄い。正直共感できる。
ゼロ秒思考という事だと思う。 -
もう少し早く読めばよかった。要は、現代は売り手市場ではなく買い手市場なので売り手の過去の成功事例や栄光にしがみついてやるものではないということ。直観が大事だが、そのために問題意識を持ってデータを読み解き、常に疑問を持つこと。「他店見学してはいけない」は大胆。やはり成功するには過去との決別と大胆な行動、そしてその覚悟が必要ということか。
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鈴木社長礼賛本に近い内容となっている。タイトルに「統計」という文字も入っているが、さほど統計に言及した内容も多くない。
しかし、鈴木氏が大事にしている「仮説検証」は多くのケースで語られているため、その他のビジネス書にも多く書かれている「仮説検証」を抽象から具体へと理解を深めるのに役立つ一冊。 -
■マーケティング分析
A.鈴木氏の発想の根本には、次の5つの視点がある。
1.今の時代の動きを把握するために必要な、時間軸で変化の流れを大きく捉える視点。
2.世の中の潮流の中に潜む本質を読み取るための、時間軸を「輪切り」にし、その断面を見る視点。
3.顧客心理を読むために必要な、未来という時間軸から見て今を位置づける視点。
4.過去の常識は今の非常識になるという脱経験的思考。
5.買い手の「合理」は売り手の「非合理」という陰陽両面的思考。
B.同じ25℃という気温(室温)でも、夏なら「寒い」となり、冬なら「暑い」となって売れる商品が変わる。このように同じデータ、情報でも「分母」を変えると意味が逆転する。