営業マンとして、漠然とした暗黙知を何とか形に出来ないものかを思案しています。理論・実験に裏打ちされた開発の同僚と研修を共にした時、営業としての知識を語るのが難しく、経験則的な話に傾倒していることに焦りを感じたのです。そこでまず営業的なモノの考え方に、数字を積極的に裏付けに使っていこうという思いに達しました。そこで闇雲に手に取った本。統計という部分に何かしらのヒントが無いか?
製造業と小売りの違いはありますが、数字の捉え方には参考になる部分がありました。
以下は自分の気づきを元に、構成をまとめてみました。
◉はじめに
・変化の時代に必要なのは、論理思考力を身につけた上で、一歩突き抜けた発想力だ。
・「A=B」と思っている内は、自己差別化は出来ない。
@一粒百行
(いちりゅうひゃっこう)
‥‥一粒の米を作るにも百の手間がかかる。
⇨ひとつの事を成功させるには、百の努力が必要である。
・一つの一貫性を持った努力と創意工夫の積み重ねは必ずやブレークをもたらす。
◉第1章:
鈴木敏文はどのように意思決定しているのか?
◎客観と直観の一体化した発想が独創性の源。
直観‥‥物事の本質をいきなり直接的に見抜くこと
直感‥‥物事を瞬間的に心で感じ取ること
@メタ認知‥‥認知に対する認知。
◎5つの視点
①時間軸で変化の流れを大きく捉える視点
・短期的な動向や目先の動きもを中長期的な視点で捉える
⇨日本は、短期的な動向にマスコミが過敏に反応し、社会全体に波及する傾向が強い
②時間軸を輪切りにして、断面を見る視点
・多様化と画一化
⇨商品のライフサイクルが激しくなった現代では、当たり前のように『多様化』が叫ばれているが、断面から捉えると『画一化』の時代だと言える。
③ 時間軸で未来から見て今を位置づける視点
・現在が安定していると、未来に不安を持つようになる。
安定を維持したいからである。
④脱経験的思考
・人間は苦境になるほど、過去の成功体験にすがる
・常識を破らないと感動を伝えられる仕事はできない
⇨制約条件固定型‥‥出来ない理由を列挙して結論づけるタイプ
⇨制約条件解放型‥‥出来るためには何が必要かを仮説していく
⑤陰陽両面思考
・流行とは飽きられるという裏の面をもつ
@ABC分析‥‥商品管理手法。売れ行きをA、B、Cランクに分類する手法。
・売り手の合理は、買い手の不合理。
@米国の心理学者・ボーリングのだまし絵。
‥‥多義図形。同じ絵でも見る人によって受け取り方が違うことを示す
一つの絵に若い女性と、老婆が隠れている。
・過去の経験や常識は、ラーニング(学習)すると同時に、アンラーニング(学習の仕直し)の対象になる。
◎人間は誰しも自分に納得しやすい話を作りたがる
⇨自分に厳しく、客観的な視点を訓練しておく必要がある。
@マーケティング
・井戸モデル‥‥自分であればこういう商品が欲しいと掘り下げていくマーケティング手法
・川モデル‥‥顧客は川の向こうにいるものとして、標的めがけてうつマーケティング手法
◉第二章:
商売は「経済学」ではなく「心理学」で考えろ
◎人間の消費は経済合理性だけで動いているわけではない
⇨モノ不足の時代には経済学で考えれば良かったが、モノ余りの時代は心理学でのアプローチが必要である。
@人間の捉え方
⑴ホモ・サピエンス(英知人)
‥‥人間の本質は知性や英知にあるとする。
⑵ホモ・ファベル(工作人)
‥‥ものをつくり自己を形成する創作活動にあるとする。
⑶ホモ・ルーデンス
‥‥歴史学者・ホイジンガが提唱した「遊び」こそ人間にとって最も本質的で独自なモノ。
⑷ホモ・エコノミクス
‥‥経済合理性に基づいて活動する
◎現代社会の競争力の源泉
スピードの経済、規模の経済を追求する時代であると考えられているが、鈴木氏は心理学の経済こそ、追求すべき課題であるとしている。
◎心の糸(琴線)が共鳴すれば
財布の紐(金銭)が緩む
・変化対応する体質が重要であり、その為には商売に余裕がある事、つまり利益が確保されているか、である。
◎日本の商品ライフサイクルは世界一短い
・富士山型ではなく、茶筒型。
一気に売れて、一気に売れなくなる。
・現代では、“思いつき”が大切。
仮説と検証で形にしていく。
@閾値(科学。いきいち)
‥‥あるフェーズでの連続的な変化が一定のレベルに達すると、次のフェーズへと突然転換していくときの境目。
ex.水の沸点、ガラスの溶解温度
◉第三章:
半歩先を読む鈴木流「統計術」の極意を学ぶ
◎経営とはマクロで見てミクロの数字に落とし込んでいくこと
・現場主義に偏りすぎると、マクロを見逃す事になる。
◎データや情報を読み解く「5つの極意」
①売り手から買い手に視点を変えると別のデータが見えてくる
・データを記録として見るのとマーケティングに使うのでは読み方が違う
⇨完売は売り手から見ると、成功だが買い手から見ると機会ロスになる。
②統計データは鵜呑みにしない
・調査・アンケートは誘導的、恣意的に作成しやすいモノ。
⇨統制調査はサンプリングの仕方によって中身が全く異なる。
③同じデータ・情報でも分母を変えると意味が逆転する
・気温25℃という情報でも、分母が真夏か真冬かで意味が全く異なる。つまり打ち手がかわる
④心理抜きにしては統計は読み切れない
⑤仮説・検証で初めてデータが生きる
whyとwhatの問題意識を持つ
・問題意識無く見たデータからは新しい文脈・意味は生まれない
⇨問題意識の原動力は何故か?何をすべきか?を問うこと。
◎自分に有利な数字の辻褄合わせをしない
・経済が成熟してくると過去のデータはそのままでは通用しない
⇨数字の辻褄が合いすぎるのは逆におかしい
◉第四章:
鈴木流「場のつくり方」を学ぶ
◎情報の共有・統一に、ダイレクト・コミュニケーションに勝るものはない
・情報は鮮度が命だが、人の手を経れば経る程、加工される。
◎反復こそ基本を血肉化させる唯一の方法である。
@企業の持つ成功の型の一つ
【限りなく理想を追い求める執拗さ】・・・野中郁二郎教授
⇨理想に向かって、しつこく努力を重ね続ける。それが持続的競争優位をもたらす。
◉第五章:
現場の社員たちはどのように鈴木流経営学を実践しているか
◎コミュニケーションは自分で情報を持つことから始まる。
◎自分の仕事で「物語」をつくれるかどうか
@アフォーダンス
afford=〜を与えるから造られた造語。
「環境が動物に与える価値」という認知科学の用語から、「モノ自体がそれをどうやって取り扱えばいいのかメッセージを使い手に対して発している」という意味に転じた。
◎経営とは過去の成功体験を壊し、新しいモノを創ることである