V字回復の経営―2年で会社を変えられますか

著者 :
  • 日本経済新聞出版
4.30
  • (610)
  • (352)
  • (211)
  • (14)
  • (4)
本棚登録 : 3421
感想 : 350
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (458ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532193423

作品紹介・あらすじ

「2年で黒字化できなければ、退任します」-。戦略的なアプローチと覚悟(高い志)を武器に不振事業再建に取り組む黒岩莞太は、社内の甘えを断ち切り、業績を回復させることができるか。実際に行われた組織変革を題材に、迫真のストーリーで企業再生のカギを説いたベストセラー。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 覚悟!
    高い志!
    魂の伝承!
    ①期限を決める
    ②チームづくりと人の見極め
    ③一気通貫するしくみ、組織に変える
    錆びない考え方が詰まった一冊。感動!

  • 改革とはかくも大変なものなのか。意識改革がキーと言えば当たり前に聞こえるが、それを具体的にどう行うかは、これまであまり語られてなかった気がする。経営者となるのであれば、何度も読み返してみたい一冊だと思う。

  • 三枝三部作の三作目(厳密に言うと、近年、四作目が出ました)。

    実際にあった企業再生のストーリーをほぼ充実に再現(著者によると90%程度らしい)した戦略小説モノ。

    この本、とてもいい本だということは分かるのですが、
    とても読み手を選ぶ本ですね。。
    残念ながら、自分はまだその域に達していないような気がします。
    というのも、具体的な戦略にはあまりフォーカスされておらず、
    どちらかと言うと企業を変革する際の組織内(外)に起こる抵抗や難所に焦点が当てられている(ような気がする)。
    おそらく、具体的な戦略は一作目に詳細を書いたから、
    同じようなことを書く必要はないという著者の意向の表れではないかと思われるが、
    やはり具体的な戦略立案をテーマにした小説仕立ての本はあまり多くないため、
    戦略立案を疑似体験したい読者は自分に限らず一定数いるのではないかと思われる。

    一方、変革を起こる際の抵抗や難所について、
    (理論としては理解できるものの)あまりピンとこなかったのは、
    自分がそういった危機的な組織に属したことがないからというのも影響していると思われる。
    (そういう意味では、自分は企業を見る目があるのか、単に幸運なのか、よく分からないが…。)

    そういった背景があったので、中々腹落ち感が持てない企業再生物語だった。
    小説自体が悪いのではなく、
    自分の経験値の引き出しのなさからくる腹落ち感のなさが少し残念だが、もう少し色々なビジネス経験を経て、
    もう一度戻ってきたいと思わせてくれる本だった。

  • 三枝3部作第3弾!
    これは熱くなる!
    今度は2年でV字回復を実現するストーリ!
    3部作の中では、一番耳が痛くなると同時に、一番熱くなりました。

    三枝さんがコンサルした5社をエピソードをMIXした実話となっていますが、あとがきを読むと内容の90%が1社の実話で、その会社は産業機器メーカのK社、その子会社KS社となっています。
    産業機器メーカのK社といえばコマツでしょ!
    っていうことで、ぐぐってみると、その通りコマツとその子会社コマツ産機の物語でした。
    実際にコマツの鈴木さんが2009年に新経営研究会で後援しています
    http://www.shinkeiken.com/wp/tag/コマツ

    この鈴木さんが本書の改革のヒーローとなった川端さんのようです。

    コマツの経営改革といえば、ダントツ商品開発などが有名で、以前にケーススタディとして読んだことがありますが、ここまでの壮絶さがあったことは知りませんでした。
    やはり、実際にその改革に深く入り込んだ人の話は凄い。

    さて、ストーリとしては、不振事業の再建を2年の期限付きで担うことになった事業部長黒岩とそのスタッフたちの熱い物語です。

    本書の前半では、この黒岩とタスクフォースによる不振事業の症状、現象の見えるかです。本書では、50もの症状を挙げて解説しています。
    これが、耳が痛い。グーの音も出ないぐらいにその通りて感じ。

    そして、今までの作品同様に、さまざまな立場の人たちの独白(インタビュー)という形で、改革に対しての気持ちや行動が、改革前、改革中、改革後で語られています。
    そこで語られているネガティブな要素がこれまたその通りだよなって思ってしまいます。

    後半は改革を成功に導くための要諦50として改革のコンセプト、ストーリ、巻き込み、実行とそれぞれにまとめられています。
    さらに、改革に伴う苦悩、苦労がひしひしと伝わって来ます。

    改革全体のフレームワークとしては8つのステップにまとめられています。
    筆者いわく、「経営行動・8つのステップ」で改革だけでなく経営行動そのものにつながるステップです。
    (1)成り行きのシナリオを描く
    (2)切迫感を抱く
    (3)原因を分析する
    (4)改革のシナリオを作る
    (5)戦略の意思決定をする
    (6)現場へ落とし込む
    (7)改革を実行する
    (8)成果を認知する

    また、エピローグには、改革の成功要因とステップとして
    (1)改革コンセプトへのこだわり
    (2)存在価値のない事業を捨てる覚悟
    (3)戦略的思考と経営手法の創意工夫
    (4)実行者による計画つくり
    (5)実行フォローへの緻密な落とし込み
    (6)経営トップの後押し
    (7)時間軸の明示
    (8)オープンでわかりやすい説明
    (9)気骨の人事
    (10)しっかり叱る
    (11)ハンズオンによる実行
    としてまとめられています。

    本書の中で、気になったエピソードをいくつか。
    改革プランの発表に遅れて入ってきてネガティブなコメントを発した管理職に対して、大声で叱責した黒岩。
    その後、黒岩が感じた「むなしさ」
    事業を救ったら誰が一番得をするのか?事業を救うことでその管理職も受益者の一人のはずなのに...
    といった台詞が刺さります。

    もうひとつは、開発中の新商品の顧客メリットを説明できない開発の課長。
    また、売り出す新商品の顧客に対するメリットを説明できないマーケティング担当者。
    顧客の業務内容をよく理解できないとそのメリットについては答えられません。
    結局、顧客のことをよくわかっていなかったといったくだり。
    自社の論理ばかりで市場に商品を繰り出してきたやり方がそういった結果を招いています。
    うー、耳が痛い。

    などなど、ほかにも、ぐさぐさ刺さるエピソードや症状がいっぱいです。

    本書は、筆者自身が「自分のビジネス人生の総決算のつもりで書いた」とあるとおり、とても読み応えのある、かつ、熱くなるストーリ展開となっています。
    今までの2作とはちょっとレベルが違う感じ。

    これも、間違いなく必読

  • 複数の本や記事でお勧め書籍と書いてあったので読んでみました。僕が言うのも失礼ですけどその評判は伊達じゃないです。いい本に出会えました。
    実際にあった5社の復活ケースをひとつにまとめたストーリーなのだそうです。事実は小説よりも奇なりとはまさにこのことだと思うし、熱いハートと整備された論理で改革を遂行していくメンバーたちの奮闘ぶりを見ていると読んでて楽しくなってきます。読んでいてこの本が著者とその周りの人たちの血肉の結晶なんだろうということも伝わってきました。ボリュームも内容も厚い本です。
    そしてこの本の内容は会社だけではなくて個人が変革するためのフレームワークでもあるそうです。次の行動は最後についている「改革を成功に導くための要諦50」を見ながらそのフレームワークを自分の状況に落とし込むことですね。

  • 自分にとっての「経営バイブル」になりそうな1冊。

    経営の要諦が、鮮明なイメージと共に、頭に入ってくる。

    三枝さんによる3部作の、最終作にして、最高傑作。

    感謝。

  • 経営者の仕事は、社員のマインドと心を結集すること。そのために、明快なストーリーを提示し、シンプルなビジネスプロセスを設計する。

    企業改革のことをこの小説では「魂の伝授」とも表現されているが、その全貌を疑似体験できる。
    熱い経済小説だった。

  • 経営改革を成功させる為には、正しい「打ち手」となる事業戦略を描き切ること、そして従業員の意識をいかに改革に対して前向きになるよう舵を切れるかどうかが重要だということが、この本を読むと改めてよく分かる。戦略と人、この二つが絶対に欠かせない。

    「創り手」と「作り手」と「売り手」の距離が遠くなり、お互いバラバラな方向を向く現象は、日本のどの会社でも起こりうることなのだろう。私が勤めているメーカーでも、全く同じ事が起きている。商売の基本にたち戻り、このサイクルをきちんと回していくことを経営者は「常に」意識しておく必要があるということを学ぶことができた。

  • 経営コンサルタントによる、業績が悪化している日本企業の立て直しの実例を、小説仕立てにしたもの。著者の情熱が感じられた。
    日本企業は独特のカルチャーがあり、改革に反対したり邪魔する社員が出てきたり、なかなか難しいという。本書で対象となったのは、一般的な製造業で、改革タスクフォースチームが社内から選ばれ、腐敗の原因を突き止めたうえで、大胆な改革を行っていく。
    面白いと思ったのが、かなりソフト面にフォーカスされていたことだ。会社といえども、それを支えるのは人間である。年功序列にとらわれず、優秀でパワーがある社員をどう経営者として鍛えていくか。なるほど、と思った。
    ここで成功例として何度も日産自動車が上げられ、ゴーン元会長がどういう改革を行ったかが賞賛されている。ゴーン氏がどうすごかったか、どうやって日産を立て直したかは知らなかった。
    全体的に、構成が読みにくい。当事者の感想的として、目線が入れ代わり立ち代わり、挿入されている図も効果的とは思えなかった。

  • またもややる気出た。
    創る⇒作る⇒売るのサイクルをどれだけ短くやりきるか。そのサイクルの中で出た問題点をどれだけ早く解決するか。
    そのためには、このサイクルをまわす権限を明確に持った人がいなければならない。かつその人は、能力・人間性ともに十分でなければならない。
    そのサポーターとしての経営者も必要。

    いい仕事をするには、圧倒的に時間と労力をかける必要がある。

    時間の考え方
    ピンチの時には、キャッシュがいつまでもつのか?から、時間軸を決める。
    キャッシュがトントン以上なら競合の動きから見て自分たちがどれだけの時間を持っているか?かり時間軸を決める

全350件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

(株)ミスミグループ本社名誉会長・第2期創業者。一橋大学卒業、スタンフォード大学MBA。20代で三井系企業を経て、ボストン・コンサルティング・グループの国内採用第1号コンサルタント。32歳で日米合弁会社の常務、翌年社長就任。次いでベンチャー再生等二社の社長を歴任。41歳から事業再生専門家として16年間不振事業の再生に当たる。2002年、ミスミCEOに就任。同社を340人の商社からグローバル1万人超の国際企業に成長させ、2021年から現職。一橋大学大学院客員教授など歴任。著書4冊の累計100万部。

「2023年 『決定版 V字回復の経営 2年で会社を変えられますか? 「戦略プロフェッショナル・シリーズ」第2巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

三枝匡の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×