稲盛和夫の経営塾: Q&A高収益企業のつくり方

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532194253

感想・レビュー・書評

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  • ・その時、私は大きな重荷を背負ったと思いました。私は会社を「稲盛和夫の技術を世に問う場」と思っていたのに、新しい従業員たちは、会社に自分たちの生活を保証してもらうことを期待したのです。…「会社の目的とはいったい何だろうか」。私は改めて考えざるを得ませんでした。しばらくの間、悩み続けた結果、私は会社経営の真の目的は、エンジニアである私の夢を実現することではなく、従業員とその家族の生活を守っていくことだと気付かされたのです。

    ・自社ブランドで販売するには、企画、デザインから宣伝、販売、在庫管理とお金がかかります。その割合を30%にしても、50%にしても、100%にしても、同じように莫大なお金がかかるのですから、30%ぐらい自社ブランドをやってみたところで採算が合うわけがありません。同じやるなら100%です。そのかわり、在庫のリスクや広告宣伝費を負担し、販売の流通チャンネルもつくるといった、今までにない、たいへん大きなリスクを背負うことになります。ですから、自社ブランド品は下請けメーカーにとって悪魔の誘惑です。安易に誘いに乗ってはいけません。

    ・ワコールを一代で築き上げた塚本さんでさえ、婦人向け衣料市場のアウターウェア分野に進出する事は容易でないというのです。ことほど左様に、多角化とは難しいものです。

    ・技術だけが強い会社というのは意外と脆いもので、それに勝る新技術が出てきた時、その優位性はたちまち消滅してしまうものです。強い会社というものは、技術だけでなく、総合力で優れている物です。技術力も優れ、販売力も優れ、従業員の心も優れ、人間関係も優れ、あらゆるものが優れていて初めて強い会社になるのです。一つの技術で伸びる会社は、いずれその技術とともに、消えていきますから、技術だけに偏重した考え方ではダメなのです。

  • 経営者の課題を稲盛氏が答える形式で書かれた本。

    賃金を業績連動だと「下がった時」に感情的に納得出来ないのが人であり、メンタル面の考慮がないと上手くいかない等、

    筆者の体験を人間味溢れる回答で納得感が高い。

    @BizHack1
    #稲盛和夫の経営塾Q&A高収益企業のつくり方
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    2023/02/05

  • 盛和塾で稲盛和夫と中小企業の経営者の間で行われているやり取りがQ&A形式にまとめられた一冊。 私自身、会計の勉強の必要性を感じていた中でこの本に出会いました。 この本では、中小企業のリアルな現状が紹介されていると共に、そもそもなぜ高収益確保が必要なのかが折りに触れて紹介されています。 稲盛氏によると目先のノウハウを蓄積するよりも、心の底から高収益を確保する為に心の底から強い願望を持つ事が必要と説かれています。 これから会計の勉強をされる方、また、従業員に高収益確保の必要性を浸透させたい方は必読の一冊です。

  • 質問に回答する形で、企業経営に関する稲盛和夫氏の考え方が明確になっています。
    大きく、高収益体質を作る、多角化の進め方、労使の立場を超えた企業風土を作る、経営者意識を持った人材を育てるの4つをテーマにして16例。

    【なるほどな点】
    ・トップが持つ経営理念、哲学によって会社経営は大きく左右される。
    ・「動機善なりや、私心なかりしか」を自問する。
    ・企業経営には純粋な思いに端を発した高邁な目的、大義名分が必要である。
    1 高収益体質を作る
    ・自分の仕事をよく知ること、難しいことをすることが立派なことではない、単純な仕事でいいから狙いを絞り、それに打ち込む。
    ・頭でっかちになるのではなく、本当にお客様に喜んでもらい、利益が出せるような経営をする。
    ・利益率を上げるには、生産性をあげ、合理化する以外にはない。
    2 多角化の進め方
    ・マーケットに限界がある以上、会社を成長させたいのなら、どうしても新規の事業を起こし、多角化を図る必要がある。
    ・「謙虚にして驕らず。更に努力を」
    ・経営者が成功に有頂天になり、自信過剰になり、傲慢な人間になってしまう。
    ・まず、十分な収益を上げるよう、既存店の赤字をなくし、採算を向上させる。
    ・闇雲に拡大路線を取るのではなく、「足るを知る」ことを実践する。
    ・「多角化は険しい坂道を登るようなもの」
    ・(多角化により)経営者のもてる能力を多くの事業に分散させると、業績の悪化を招くことになる。
    3 労使の立場を超えた企業風土を作る
    ・労使が対立していたのでは従業員は仕事に幸せや喜びを見出すことはできない。
    ・役員であっても雇われ根性が抜けず働かされているという意識ではうまくいかない。
    ・「全員参加経営」
    ・給与体系は合理的に作れるものではない。
    ・時間あたりの採算性を上げる
    ・仕事ができる人には相応の給料を支払い、嫌なら辞めろと言うドライなやり方では会社は長続きしない。
    ・「大善は非情に似たり」
    4 経営者意識を持った人材を育てる
    ・経営者は会社で起こる問題に対して次々に決断を下した上、最終的な経営責任を負わなければならない。
    ・親会社の従業員からは、子会社は別会社である。
    ・若い人を登用して育てる。
    ・仕事ができなくても、会社のために一生懸命誠実に働こうとしているのであれば、大事にする。
    ・「銀行は天気の良い日には傘を貸すが、雨が降れば傘を取り上げる」
    ・新しい事業展開の選択の幅を広げるためにも高収益であるべき。
    ・高収益にしたいと、心からの願望を持つ。

  • とても身近に感じられる、切迫したケーススタディ集。

  • 心から高収益でありたい、と思えるかどうか。まさにこれに尽きるということ。その上で、理念と経営管理の両輪で事業経営するということ。昨今赤字上場がもてはやされ、無借金経営が無能な扱いを受けていたが、高収益、強固な財務基盤がゴールになってしまっているとそうかもしれないが、それにより実現したい世界があれば、高収益ら必要な前提となる。


    ・まずは既存事業で利益率10%以上を目指し、何が起きても大丈夫な財務体質を作る、それまでは無闇に投資しない
    ・10%は、売上最大化、コスト最小化の中で、主にコストで達成てきる。売上が上がるから、経費がその分上がる、を許してはいけない
    ・有意注意
    ・謙虚にして驕らず
    ・大善は非情に似たり

  • 複数の経営者の、経営に関する質問に対して、著者が解答する形式。会計管理を徹底し、高収益(利益率10%以上)を目指すことが重要。この方法は、様々な業種に対しても、汎用的であることがよく分かった。

  • ・久しぶりに良い本。後で購入して読みたい。
    ・中小企業の経営者のクエスチョンに対し、的確で説得力あるアンサー。
    ・賃金を業績連動にすると社員のモチベーションがさがる。
    ・社内の部門間で差をつけるのは百害あって一理なし。
    ・賃金を下げる場合は一律でさげないと不満がでる。
    ・従業員全員が経営に参加する。
    ・従業員には家族のような接し方。
    ・飲み会はまじめな話しかしない。社長の話をわかりやすく伝えるため。そしてコミュニケーションをとる。
    ・創業当時は労働組合に困ったというエピソードも。

  • vol.104
    現場で直面する問題に答える、真剣勝負の問答集。
    http://www.shirayu.com/letter/2011/000205.html

  • 盛和塾での問答を一冊の本にしたもの。

    世の社長さんの苦しさがよくわかります。
    悩みと説法の組み合わせがいくつも並んでいる感じです。

    実際のところ、説法を実行できたのか、実行しても状況は変わらなかったのか、そこまでは書いてありません。
    自分だったらどうするかなぁ、と一人ケースワークするのにいい本です。

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著者プロフィール

1932年鹿児島県生まれ。鹿児島大学工学部卒業。59年、京都セラミック株式会社(現京セラ)を設立。社長、会長を経て、97年より名誉会長に就任。84年、第二電電(現KDDI)を設立し、会長に就任。2001年より最高顧問、2010年には日本航空会長に就任する。代表取締役会長、名誉会長を経て、15年より名誉顧問となる。84年、稲盛財団を設立し、「京都賞」を創設。毎年、人類社会の進歩発展に功績のあった人々を顕彰している。2022年8月逝去。その他著書に、『稲盛和夫の実学』『アメーバ経営』『稲盛和夫のガキの自叙伝』『高収益企業のつくり方』『人を生かす』『従業員をやる気にさせる7つのカギ』『成功への情熱』『生き方』等がある。

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