イノベーションの作法(日経ビジネス人文庫) (日経ビジネス人文庫 ブルー の 1-3)

  • 日本経済新聞出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532195229

感想・レビュー・書評

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  • イノベーションを起こすポイントだけでなく、発案をビジネスとして実現するに至るまでのビジネスマンの作法を論じた一冊。13編の成功エピソードから共通する「知の作法」を抽出。著者の野中郁次郎は一橋大学の教授ということもあり、だいぶ”お勉強”サイドの書き方。専門用語やパターン化に持っていこうというきらいがあり、またその割に”勝負師のカン”が大事と言ってみたり、、実践をイメージしながら読むのは難しかったです。

    ポイントは
    ・顧客ベースの価値を信じ、実現するモデルを共同化し、
    ・その暗黙知を表出化させ、
    ・個々の知を連結化し、
    ・実現を共にするメンバーに内面化(落とし込み)をする。

    SECIモデル、というそう。

    実現にあたっては、手練手管を使い、最終的に勝ち組になればよし!(マキアベリズム)との考え方。

    そもそもイノベーションは千三の世界ですし、、個々の”当たり”のケーススタディよりも、社員が挑戦できる環境の醸成やヒット率の向上策が肝要と、改めて感じました。

    読むのであれば、目次〜はじめに、と終章をつまみ読みで良いかと思います。

  • 取り上げられた事例は、「イノベーション」?

  • 13の成功事例(マツダ・ロードスター、サントリー伊右衛門、帯広の北の屋台、近代マグロ、新横浜ラーメン博物館、 auデザインプロジェクト、シャープ・ヘルシオ、ソニー・フェリカ、ナチュラシステムズ、サッポロビール・ドラフトワン、トヨタ・二代目プリウス、はてな・インターネットサービス、Jリーグ・アルビレックス新潟)を取り上げて、イノベーターの条件を探った書。

    事例の全てに共通するのは、イノベーターの持つ、理想を追い求める執念の強さ。そして、現実に妥協せずに困難を克服していく、吸引力や政治力。確かに、とことんこだわり続け、頑張り抜く精神力と、現実に物事を動かす手練手管や政治力があれば、大抵のことは出来てしまうだろうなあ。

  • 2017.1.20
    細かい事例と解説がすごく参考になったが。読み返してみると終始同じことを言っている気が..。

  • 経営者のトップダウンではなく、また一研究者の発明でもない、組織としてのイノベーションにらついて書かれた本。大企業(特に日本企業)では、十分な裁量を与えられないままプロジェクトリーダーに任命されることがままあるが、そのような環境下でも周りを巻き込んでイノベーションを起こした人物たちを紹介する。
    リアリティに溢れ、大変おもしろい。

  • 事例から、要素のみを。

  • 作法。

  • サントリー伊右衛門のイノベーション。
    「従来の緑茶の製法では、茶葉から抽出したお茶を熱で殺菌するため、ペットボトルが耐えうる85度の高温にして充填し、30分ほど放置する過熱充填が行われている。しかし、85度では殺菌が充分でないため、茶葉にも抗筋力が強い渋み成分のカテキンを多く含むものを使わざるをえない。それに香料を入れたりして、旨みを補ったりしている。 これに対し、完全な無菌ルームで殺菌済みの容器に充填すれば、風味を損なわずに常温で充填できる。何より殺菌のことを考えなくてすむので、どんな茶葉でも自由に使えるという利点がある。ただ、この非加熱無菌充填方式には100億円規模の新たな設備投資が必要なため、どのメーカーもこの方法をとらない最大の理由になっている。
    サントリーは 伊右衛門の開発にあたって、この非加熱無菌充填方式以外に考えなかった。また900年に及ぶ日本のお茶の歴史と伝統を表現するため、京都福寿園との共同開発を提案した。 しかし毎年膨大な数の新商品が生まれ、そのうち僅かしか残らない千三の世界の清涼飲料のが世界。 寛政2年の創業以来200年にわたって茶葉にこだわりつづけた福寿園は、うちは事業ではなく家業です。次の代に引き継ぐのが使命で、そんなリスクの高い話には乗れまへん」とそっけなく断られた。」 

    - シャープ「ヘルシオ」のイノベーション

    ヘルシオのコア技術は、実はシャープ内にはなかった。社会に埋もれた知的資産と市場の潜在的ニーズをうまく結びつけたものだった。山口名産の海産物を干物にする乾燥システムが、その埋もれた宝だ。そのシステムは、「加熱水蒸気」を使って、ふぐの一夜干しを、外はこんがり、中はジューシーに焼き上げる。
    2000年頃、その焼き加減の素晴らしさに驚いたシャープの研究員が、加熱水蒸気の技術を家庭用の電子レンジサイズに小型化した、ヘルシオを開発する。

    加熱水蒸気の技術そのものは、100年前からあった。300度まで水を加熱して、食品に触れたときに水蒸気が冷えて液化するときに発生する凝固熱を利用して調理する。業務用では既に調理に使われていた技術だが、シャープは家庭用にコンパクト化することに成功し、ヒーターを使わず水で加熱する夢の調理器、としてヘルシオを発売した。

    ブラウン管の技術を持たなかったシャープが液晶テレビを開発した時と同じく、電子レンジの器官部品であるマグネトロンを外製で買っていたシャープが、マグネトロンを使わない電子レンジを開発する!という全く新しい発想の調理器を実現した。

    クレイトン・クリステンセンの「イノベーション」のジレンマによれば、大企業において、水蒸気加熱という”破壊的イノベーション”が生まれた場合、営業部門は、リスクの高い新製品企画を受け入れないことが多い。しかも、外から持ってきた技術である場合、自社技術へのプライドから、破壊的技術の採用には大きな抵抗がある。 大企業の力学を打ち破ってオンリーワンの技術を製品化する企業文化は、すごい。

    がんばれ、シャープ!

  • イノベーションを実現した成功事例と、その解説です。

    解説は、SECIモデルを意識したものになっていて、それは野中先生の本だから仕方ないのですが、ちょっと違うだろうというのもありました。

    でも、全体としては多くの示唆を与えてくれるし、イノベーションを軸に組織を変えようとするコンサルタントは読むべき本だと思います。

      人はハンコをつく際、存在意義を示そうとして何か注文をつけ、プランはどんどん原型を失っていく。 勝見明

    これは、稟議書などのことを指しているのですが、色々な場面で見られる現象ですね。決して悪いことばかりではないけれど、気を付けないとならないなぁと思いました。

    ★★★

    事例中心ではあるのですが、色々な知識も授けてくれます。たとえば、

       一般的に、人が他者に対して統制力や影響力を発揮するときのパワーのベースには次のようなものがあるとされる。
       ・ 合法力(組織から公式に与えられた権限からくるパワー)
       ・ 褒賞力(報酬を与える能力からくるパワー)
       ・ 強制力(処罰できる能力からくるパワー)
       ・ 専門力(専門的知識からくるパワー)
       ・ 同一力(一体感からくるパワー)

       この中で最も広い範囲に力が及ぶのが同一力といわれる。(…… snip ……)

       人は相手に一体感を抱くと、相手の目標が自己の目標と同一化し、達成に向かって強く動機づけられる。と同時に、互いに自発的な自己統制が働く。同一力による自己統制であるから、誰も人から統制されているとは思わない。組織における人間統制の一つの理想的な形である。メンバー相互の間に強い統制力が働く集団は生産性も高くなることも実証されている。
       人材は権限を与えることで育つように思われるが、むしろ、権限なしで同一力をベースにした方が人間は育つ。


    これは、セーラームーンの、「乙女のポリシー」の、

       もっと大変なこと いっぱいまちうけてる
       きっとそれは 華麗にはばたくチャンス
       みんな本気のときが とっても綺麗だから
       自信持って クリアしてゆくの

       今は眠る 未知のパワー
       いつかあふれるわ♪


    と同じことだと思うけど、上手く行っているコンサルティング先を見ていると、ここが最重要ポイントだと感じています。

    ★★★

    この本では、最後にドンキホーテの『ラ・マンチャの男』に出てくる『見果てぬ夢』という曲にでてくる、"quest"(宿命、探究)という言葉を紹介しています。

       q……questioning 探求の心を持ち
       u…… understanding 本質を理解し
       e…… evaluating 価値を測り
       s…… supporting 他者を支え続け
       t…… trusting 自己と他者を信頼する


    理想を追求しつつ現実の中で他者とともに実現していくこと、それは、フロネシスの力でもあるわけです。

  • 会社の同期がこれを読んでいて、本人には内緒で(!)タイトルをチェック!
    そしてゲット!

    これは正直、目からウロコな本です。
    なので、風呂では読んでません。
    まだ87ページ目なので、読了してないのですが
    既にふせんが6本も立ってます…
    (注:主にビジネス書は、「これ忘れるべからず!」なところに
    ふせんを立てながら読んでいます)

    いわゆる、「できる」人たちの何がすごいのか、を具体的事例を使って
    説明。
    「コンピテンシー」ってよく言いますけど、それを超えたところの
    人間性というか、何というか…それを学術的に説いているところが
    すばらしいです。じっくり読みます。湿ってないところで。

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著者プロフィール

野中 郁次郎(ノナカ イクジロウ)
一橋大学名誉教授
1935年東京都生まれ。58年早稲田大学政治経済学部卒業。富士電機製造勤務の後、カリフォルニア大学バークレー校経営大学院にてPh.D.取得。南山大学経営学部、防衛大学校、北陸先端科学技術大学院大学各教授、カリフォルニア大学バークレー校経営大学院ゼロックス知識学特別名誉教授を経て、現在、一橋大学名誉教授、早稲田大学特任教授、日本学士院会員。知識創造理論を世界に広めたナレッジマネジメントの権威。2017年カリフォルニア大学バークレー校ハース・ビジネススクールより「生涯功労賞」を受賞。主な著書に『組織と市場――組織の環境適合理論』(千倉書房)、『失敗の本質――日本軍の組織論的研究』(共著、ダイヤモンド社)、『知識創造経営のプリンシプル』(共著、東洋経済新報社)、『知的機動力の本質』(中央公論新社)、The Knowledge-Creating Company(共著、Oxford University Press)、Managing Flow(共著、Palgrave Macmillan)などがある。

「2018年 『野中郁次郎 ナレッジ・フォーラム講義録』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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