歴史の使い方

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532195250

感想・レビュー・書評

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  • まさに官僚の王道をいく人物。知力、企画力、構想力、そして実行力を有する官僚が大量生産できる国になれば良いのに。戦国、江戸の歴史に主に触れているが、やはりモンゴル、チンギスハーン、ペーパーマネーのくだりをもっと突っ込んで勉強したい。13世紀のモンゴルと21世紀のアメリカの類似性を指摘するのは著者のオリジナルなのだろうか。ペーパーマネーの限界は80年で1971ニクソンショックから80年の2051あたりか。

  • 以前の仕事で著者の堺屋太一さんが話に出てきて、興味を持って読んでみた一冊。歴史に学べることは多くあると思うけど、他の人たちがどう活かしているのか興味深く読むことができました。日本はまだまだ国家レベルでも地域のレベルでも問題は山積みだけれど、どっちに向かうべきだという方向性は少しずつ見えてきている気もする。目の前にあることを俯瞰して、完全な正解でなくとも「こっちかな」という方向に進んで適宜軌道修正していけば、今いるところよりは近づける。そんな気はした一冊でした。

  • この本から感銘を受けたことは以下の4点です。

    1.時代小説と歴史小説は別物
    2.国家が崩壊するケースは2つしかない
    3.人類と他の動物にある3つの絶対的違い
    4.歴史は繰り返す

    中でも印象的だった3と4について少し本文引用します。
    3.人類と他の生物にある3つの絶対的違い
     ・「歴史」すること
       言葉を語り、主張を確かめ、記録に残して後世に伝えることができる
     ・「設計」すること
       方向を定め、境界を設け、土地を測り、ものをつくるまえの想像することができる
     ・「未来を予測」すること
       将来を考え、未来を想い、物財を貯え、計画的に行動することができる
     人類はこの三つの能力を相互に活用しています。

     「過去の記録と記憶を今の設計に生かして、
             今の設計を未来の予測に使っている。」

    4.歴史は繰り返す
     堺屋さんは、さまざまな史実を基にまさに「歴史は繰り返されて」きたことを証明してくれています。
     その上で、堺屋さんはおもしろい設計をしました。

     「歴史上、周囲に外国の軍事力を意識しなくてもよいほどの世界統一国家は世界で二国家しか存在しない。
      13~4世紀のモンゴル国(ウルス) と 現在のアメリカ合衆国 である。」

    なるほど確かに、と思える説明も添えられておりなかなか痛快でした。
    だからこそ、なんですが、堺屋さんにはその設計から大胆な未来予測をしてほしかった!

    でも歴史に興味がある人が歴史学を学ぶにはうってつけ。

    また「「歴史は繰り返される」っていうけどほんとのとこどうなの?」って人にはぜひ読んでもらいたい!


    日本史世界史を勉強しなおしてからもう一度この本に向き合いたいと思います。

  • 途中から俄然面白くなりました。
    3章の歴史を練る、本能寺の変についての記述のあたりから。。

    初めて堺屋さんの本を読みましたが、ご本人の歴史の見方、語りにぐいぐい引きつけられました。

    これからの社会がどうなっていくかは、多くの人が気になるテーマ。

    自分自身の予測を磨くために、知識を持ち、そして自分の感性を磨かなくては。

  • 橋下さんの登場でいま盛り上がっている維新の会のブレインといわれている堺屋さんが説く歴史の使い方。
    歴史は人間が作り、その人間の本質が変わらない以上、形は変われど、本質的には同じようなことを繰り返す。ゆえ、先人の成功例・失敗例が実は今を生きる我々にも十分通じるノウハウとなる。
    具体例として、豊臣政権下で事務次官的な位置にいた石田三成が大臣に相当する徳川家康に対抗する手法を堺屋さん自ら、経産省時代に行い、万博開催にこぎつけている。
    この本は知識としての歴史を実用化する手法が説明されており、非常に参考になった。ただ、それぞれの歴史の本質をどのように引き出すのかという視点の記述が少なく感じた。自分なりに考えとしては、歴史の主人公になり切って考えることだと思う。つまり、石田三成なら三成をとりまく当時の状況を踏まえ、何をしたいのか、その為にどうするのか?と考えているはずなので、それを歴史とセットで推理する。すると問題の本質が見出せる。いわば歴史の境遇マーケティングであり、インサイト発掘である。
    これらの視点を持ち、今後ともさまざまな歴史に接してみたい。

  • ●100221
    司馬遼太郎をはじめとした歴史小説は、経営者の座右の書としていつも紹介されるけれど、僕にはその意味がイマイチ分かっていなかった。
    僕にとって、歴史はあくまで楽しむものに過ぎなかったのだ。

    本書を読むことで、名経営者が歴史小説を読む意味が半分分かった。
    きっと彼らは「歴史を生かす」ことが出来ているんだろう。

    本書を読み、歴史小説を読み、歴史文献を読み、そしてまた本書を読む。
    そんなことを繰り返しながら、歴史を生かす事ができる教養人に近づいていきたいと思った。

著者プロフィール

堺屋太一

一九三五年、大阪府生まれ。東京大学経済学部卒業。通商産業省(現経済産業省)に入省し、日本万国博覧会を企画、開催したほか、沖縄海洋博覧会や「サンシャイン計画」を推進した。在職中の七五年、『油断!』で作家デビュー。七八年に退官し、執筆、講演、イベントプロデュースを行う。予測小説の分野を拓き、経済、文明評論、歴史小説など多くの作品を発表。「団塊の世代」という言葉を生んだ同名作をはじめ、『峠の群像』『知価革命』など多くの作品がベストセラーとなった。一九九八年から二〇〇〇年まで小渕恵三、森喜朗内閣で経済企画庁長官、二〇一三年から安倍晋三内閣の内閣官房参与を務めた。一九年、没。

「2022年 『組織の盛衰 決定版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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