春の草: 私の生い立ち

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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本棚登録 : 84
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532195496

作品紹介・あらすじ

世界的大数学者にして、「日本人は何を学ぶべきか」を世に問い続けた名随筆家・岡潔が遺した「私の履歴書」。

感想・レビュー・書評

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  • 人を先にし自分を後にせよ
    一時に一事
    自分のしたいことよりも先に、人の迷惑を考えよ
    物欲はくせであって本能でない
    本を読みたいと思わすことが大事
    問題を考えつづけるのは関心が持続する。

  • 自身の半生を綴っている随筆。「春宵十話」でも思ったが、著者の、ひと、特にこどもに関する視点ははっとさせられる。

    [more]<blockquote>P38 人の子は、通常生後8ヶ月くらいになると、ひどく変わった目の色をします。なんだか非常に遠いところを見て、何かを思い出そうとしているようでもあれば、またひどく懐かしそうでもある。
    また1年6ヶ月くらいになると、数学の自然数の1がわかる時期が来る。一即一切、一切一即と言い習わされている「妙観察知」が備わる。そうすると、それまで「ホタホタ」しか笑えなかったのが、「ニコニコ」笑えるようになってくる。

    P56 物欲はクセであって本能ではないと見える。その証拠に、わたしは何の努力も払っていないのです。物欲にわずらわせれないが自我本能にわずらわされる。この二つは根本的に違っています。</blockquote>

  • 【読む目的】
    •尊敬する友人の尊敬する人、それが岡潔だと聞き、どんな方なのか知りたくて。

    ーーー
    【メモとコメント】
    •どうゆう道義かといいますと、祖父の言う事を総合してみると、『人を先にし、自分を後にせよ』ということをいい通した人なのです。
    →自己犠牲の精神と美しさを具現化した人です、でも清々しさを感じます。
    •大切なのは『一時に一事』ということ、つまり1時に1つのことしか絶対にしないということです。
    •ある夏、小学校4年の時だったでしょうか。祖母が私にところてんを作ってくれた。私が『そんなに美味しくない』といったら、後で祖父に叱られてしまった『おいしくないじゃない、祖母はお前に喜んでもらおうと思って手間ををかけて作ったんだ、だからおいしい、おいしくないはお前のことで、まず祖母の心を酌んでありがたいと思わないきゃいけない‥』と教えてくれました。
    •物欲はくせであって本能でないとみえる。その証拠に私は何の努力も払っていないのです。
    •フランスの小説家サン•テグジュペリの作品に『星の王子様』というのがあります。〜〜エイッめんどくさいとばかり、箱の中に羊をいれ、空気穴を開けた場面、つまり外から見た絵を描いた。そうすると、星の王子様はすっかりご満悦になった。私の今見ている(の絵巻物は父の果断のおかげですっかり箱の中の元気な姿
    になってしまっているのです。筆頭にあげるべき教育法は、済んだものはどんどん売ってしまうと言うこのやり方かもしれない。
    →さいきん『星の王子様』を読み返したばなりだったから、この言葉をこんな風に捉えるんだと驚きました。
    過去学んだ本や作品を貯め込んではメソメソするばかりです、すっかり無くしてしまってこそ輝きや価値が生まれるという考えにハッとさせられました。
    •フランスの文化は一口にで非常に歯切れが良い。フランスではこれをホンクチュアリーと言っていますがこれは一言一言歯切れよくと言うことです。
    •先生の愛情なしには情操の最後の仕上げはできない。
    •素敵なごちそうに箸をつけるように、少しずつおそるおそる1番読みたいのを読んだりしました、まさに『蘭学事始』めを前にした学者のようなものでした。
    →読書への渇望こそが、大事である。

  • 丸罰式の問題は考える力を養えないので駄目ってことは今のマークシートとかみたら大憤慨するのでは…

  • 偉大なる数学者・岡潔先生の本。
    大家の随筆だから言いたい放題で、「それほんとかなあ」という脳発達科学や発育関係の言説もーりだくさん、ですが、
    明治人の、スピリット、をすごく感じて、癒されるといいますか、襟元を正す気になる本。

    岡先生のお父様とお祖父様の教えにはっとしました。
    「他人を先にし、自分を後にする」
    そして、この随筆のテーマの一つの西洋と東洋の二項対立:西洋はインスピレーション的で東洋は情緒的、というもの、
    これはいささか大まかすぎるのではとも思うのだけれど(個人的にはバージニア・ウルフとかちょっと情緒的な気がしたりしなかったり、まあ専攻は人文科学ではないので感覚的にですが)、
    日本のもともとのスピリットは情緒的だよな、と、うんうん、と納得できたあたりでちょっと幸福な感じになったりしました。現代っ子だけど。

    ただ、本としては、後半がちょっと構成に偏りがあり、え、ここで終わりなの?って印象。
    話のネタに読むのとか、明治人が好きなひとにはおすすめ、かな。

  • 数学の発見と、悟りとは似ているといわれる。

  • 独断が心地よい

  • 2010年に丸の内丸善に平積みするのはどうしてなの? つい買って読んじゃったじゃないか!

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著者プロフィール

1901年生まれ。三高をへて、京都帝国大学理学部卒業。多変数解析函数の世界的権威者。理学博士。奈良女子大名誉教授。学士院賞・朝日文化賞・文化勲章。仏教・文学にも造詣が深く、『春宵十話』『風蘭』『紫の火花』『月影』『日本民族の危機』などの随想も執筆。晩年は教育に力を注いだ。

「2023年 『岡潔の教育論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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