参謀は名を秘す―歴史に隠れた名補佐役たち (日経ビジネス人文庫)

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  • 日本経済新聞出版社
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レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532195762

感想・レビュー・書評

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  • 歴史上の名参謀と言われている人が必ずしもそうとはいえず、主人を危機に陥れるようこともあったという。では名参謀とは何かということについては、匿名性をもった存在で、果たすべき役割としては下記のようになるという。

    情報の収集
    情報の分析
    問題点の探求
    問題点に関する考察
    選択肢の模索
    選択肢の設定

    そしてどの選択肢を選ぶかはトップの役割であるという。

    こういった参謀的な能力は現代社会においては構成員すべてが持つべきものと最後に結論付けている。確かに現代では情報が入手しやすいかもしれないが、それは全員に言えることであって、有効な情報を入手するというのはまたそれも一つの才能かと思う。参謀的な思考を持つことは重要かもしれないが、全員がその役割を果たす必要はないかと思う。

  • 参謀とはトップの意思決定の一部を助くるものとした筆者の参謀論。過去の名参謀と呼ばれる人々の再評価が正しいかは別として、新しい試みだとは思う。そして、現代にあてはめると、皆が自分の中に参謀的な考えを持つことは必要であるとは思う。

  • 事実が、どうか分からない所もあるように思う。

  • 軍師の役割を「無名性・匿名性を保持しつつ、仕えるトップの頭脳の一部として活躍した人物」と定義した上で、事例として以下の人物を紹介しています。
    ・沢彦
    ・太原雪斎
    ・堀部安兵衛
    ・黒川嘉兵衛

    ※太原雪斎は、表に出過ぎてしまった例として紹介

    イントロで「組織における軍師の役割」という視点から定義をしている点は童門さんらしいのですが、戦術家として功績が伝わる人物(楠木正成とか)を、戦略家としての尺度で評価していたり、最終的に主君が天下を取れなかった軍師=優れていないという飽きれた意見を出している辺りは随分と乱暴。

    童門さんの論法だと、沢彦なども「信長は本能寺で討たれたから、天下を取れなかった。従って沢彦は優れていない」ということになります。
    また、太原雪斎に関する記述は、「風が吹けば桶屋が儲かる」的なもので、説得力は皆無です。

    堀部安兵衛は、馴染みのない人物だったので、紹介文としては楽しめましたが、本書自体は無理して読む価値はありません。

    ただ、黒田官兵衛が黒田長政の異見会運営について、「お前は家来の言うことにそのまま従おうとするが、あくまでも決断を下すのはトップの役割だ」と説いた話など、知らなかったエピソードも載っていたので、その点は良かった。

  • 童門さんの歴史小説は、小説○○シリーズが非常に好きで楽しませてもらってきたが、この本はいただけない。

    童門さん自身の考えとして、参謀がトップよりは目立ってはいけない、転じて目立つべき立場にいるトップこそが参謀性を持つべきだという考えを持たれることは別に勝手だと思う。

    しかし、その結論に基づいて、歴史を後付で断罪し、優れた軍師、参謀と言われた戦国武将達が軒並みこけにされているのはさすがにひどい。

    1章がそれが顕著で、直江兼続、真田幸村、竹中半兵衛等の功績が、どれも結果として最後のところでうまくいかなかったことをもって、優れた参謀でないことにされている。しかしそのどでも結果論。

    直江兼続は、そもそも彼がいなければ上杉景勝が上杉家の当主になれていたかどうかもわからないのに、そこらへんは全く触れずに、関ヶ原で景勝を説得できずに領地を減らされたことをもって優れていないと断定。

    真田幸村の大坂の陣は所詮戦術論という話だが、そんなのは当たり前で、じゃあだったら家康側について家が残ればそれが優れた参謀のあかしなの?

    また直接にはあまり述べられていないが、諸葛亮も優れた参謀ではないというのが著者の考えのようだ。結局勝てなかったからね。でもそれが判断基準なら、名参謀になる秘訣は、勝てる国の家臣になることという、後付けの基準が作れるじゃないか。

    この1章で読む気が失せたので、後の章はかなりすっ飛ばして読んだ。

    2章沢彦。天下布武の思想を信長に与えた。目立っていない。だから優れた参謀→結局信長は本能寺に倒れ天下を取っていない。天下布武の思想も受け継がれていない。したがって優れていない。

    3章太原雪斎。今川の軍師の話かと思ったら、今川家では当主以上に目立ちすぎたから参謀失敗で、なんとその反省をもとに家康には目立たずに教育したから優れた参謀とのこと。→え、根拠もなく断定しすぎ。著者の考え以外、本当に雪斎がそのように考えた根拠が示されていないじゃん。

    4章堀部安兵衛、5章黒川嘉兵衛。他の章に比べて、内容が多く、優れた参謀という観点で書かれていないため、楽しめる。他の章もこれらの章くらい力を入れて書かれていれば楽しめたかもしれない。

    終章、トップが何でもやれという話。ひどい。ひどすぎる。リーダーシップを持つのは当然だが、決定以外のことまでトップがやるべき、って説得力がない。例として出されている毛利元就の厳島の戦いも、これってさんざん否定された戦術的な話じゃないか。

    全般を通じた本書の印象は、宗教関連の書籍との類似性である。特定の宗教の考え方に基づき、当該考えは絶対で、なんでもその考えに基づき物事を解釈しようというしている点がそっくりだ。

    著者の歴史小説は今後も読んでいこうと思うが、それ以外は遠慮していこうと思う。

  • 参謀は有名になった時点で役目が終わる。。。

  • 確かに歴史は結果論でしかない。
    工程も後で創作やら抹殺やら簡単にできてしまうし…
    彼らなりに良かれと思って行動した結果が名参謀と呼ぶに相応しいか?と言われれば、確かに「うん?」と首を縦に振りずらい結果もある。
    でも『名参謀』とは周りの評価があってこそではなかろぉか?
    名を残さず埋もれるのでは『名』とか言えないんではなかろぉか…?とも思った。


    …あと、日本の名参謀が諸葛亮になぞられてるっていうのが笑ったww
    確かに!!!ww

  • 2011.5.15読了
    施策立案のプロセス。備忘録として。
    ①情報の収集
    ②情報の分析
    ③状況の把握
    ④問題点の摘出
    ⑤問題点の考察
    ⑥解決策の複数設定
    ⑦提言

    ①トップの決断(決裁)
    …下位者の責任解消
    ②実行命令として下部に流れる
    ③命令により業務(行動)
    ④進捗管理
    ⑤成果評価
    ⑥改善、取消
    この繰り返し

  • 参謀の仕事とは…
    ・情報の収集
    ・情報の分析
    ・それによる状況の把握
    ・情報に含まれる問題点の摘出
    ・問題点に対する考察
    ・解決策としての複数の選択肢の設定
    ・トップへの提言

    トップは選択肢の中から、ひとつを「決断」するのが仕事。

    歴史に名を残す名参謀を、
    著者独自の視点から、本当に名参謀であったのか?と疑問を呈し、
    本当の名参謀は裏方に徹するべきだとする。

    リサーチャーとしての僕は参謀として、
    情報を分析するわけだが、
    アクションの複数の選択肢を提供すべきだなあと感じた。
    そして、決断はあくまでクライアントの役割であり、
    そこに対して、表には出ていくべきではない。

    と思い至った最後の章で、
    現代はトップと参謀の両機能を成員すべてが持つべきとのこと。
    まあ、確かに分業で、
    権限委譲が進んでいるのだから、それが当然かもしれない。
    ただし、これは同じ会社内での話であろうから、
    リサーチャーとして対クライアントへは、
    やはり裏方の参謀としての役割を果たすべきだろう。

  • 戦国時代、江戸時代の参謀と呼ばれた人から現代の参謀のあり方を探る。

    と言うようなテーマだが、実際は多少異なる。

    著者が思う参謀に合う人を歴史から見つけてきている。
    そして、一般に参謀と言われている人は実はそうでは無い、と断じている。

    その要因は、書名にあるように名を秘すこと。
    歴史の表舞台に出てくるようでは参謀では無いとの考えらしい。

    取り上げる人物が有名ではない人ばかりであり、実行したことを表に語らない人のため、本書には著者の想像や陰謀論的な部分も多々ある。

    怪しいところもあるが、名前が売れた参謀と知られていない参謀、それぞれが歴史でどういう役割を果たしたか、そのケーススタディが詰まっている。

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著者プロフィール

1927年東京生まれ。東京都庁にて広報室長、企画調整局長、政策室長等を歴任後、79年に退職。以後は執筆活動に専念し、歴史を題材に、組織と人間の問題を浮かび上がらせる手法で、数々の話題作を手がけている。第43回芥川賞候補。99年には勲三等瑞宝章を受章。

「2019年 『なぜ一流ほど歴史を学ぶのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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