佐藤可士和の超整理術 (日経ビジネス人文庫) (日経ビジネス人文庫 ブルー さ 15-1)
- 日本経済新聞出版 (2011年4月9日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532195878
作品紹介・あらすじ
整理術を磨いていくと、仕事を取り巻く環境がみるみる快適になっていくのが実感できるはずです。それに伴い、仕事の精度も劇的にアップしていることでしょう。この本で僕が述べる整理術とは、整理のための整理ではなく、快適に生きるための本質的な方法論。ですから、デスク周りなどの空間から仕事上の問題、人間関係に至るまで、あらゆる場面に応用できるのです。
感想・レビュー・書評
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わかりやすかった。うすい本でしたが、理路整然とまとめられていて、いいたいことが集約されている印象が残りました。
この本で僕がのべる整理術とは、整理のための整理ではなく、快適に生きるための本質的な方法論。ですから、デスクの周りなどの空間から仕事上の問題、人間関係に至るまで、あらゆる場面に応用できるのです。
気になったのは、以下です。
■超整理術
・整理するには、客観的な視点が不可欠です。
・対象から離れて冷静に見つめないと、たくさんの要素に優先順位をつけたり、いらないものをバッサリ切り捨てたりすることができません。
・広告が思いのほか注目されないものだということを痛感しました。
・どんなにカッコイイ、作品を作っても、本当の意味で人の関心を引かなければ意味がない。
・どう人々に伝えるか、本当に伝えたいことを相手に届けることではじめて、広告は機能するのだと自覚したのです
・メッセージを相手につたえるというのは、本当に難しいことです。
・伝わっているはず、と自分ではおもっても、実際には伝わっていないことのほうがはるかに多いもの。
・これはやはり、伝えたことを整理するのが大変だからだと思うのです。何が大事なのか、どうやったらうまく伝えることができるのか。実は、言葉の力というものも大変大きいのです。
・なぜこのデザインにしたのかという過程を相手に理路整然と語れるように、自分の思考回路の整理をきっちりと行うようにしたら、作品からあいまいな部分がどんどん消えていきました。
・頭の中に一点の曇りもなくなると、目的がフォーカスされて、ビシッと論理の筋道が通ったのです。
・伝えたいことを明確にするという、コミュニケーションの本質に迫るアプローチなのです。
・整理術を身につけることが、僕の仕事にもたらした効果ははかりしれません。
■整理から始まる
・混沌としった現状を認識し、それに対処する心構えを、ぜひもってください。そして、問題の本質に迫ろうとするポジティブな姿勢を保つことが、整理術の大前提となるのです。
・物事の根源まで立ち返って解決しようとおもわないと、本当の意味での問題解決につながりません。実際は、本質的な問題が見えないまま、その場しのぎの対処がなされている場合が、実に多いのではないでしょうか。
・表面的な対処が真の問題解決にならないのは、対症療法が病気の原因そのものを取り除くわけではないのと同じです。
・仕事の整理の順序
①状況把握 現状に関する情報を得る
②視点導入 ある視点を持ち込んで並べ替え、問題の本質を突き止める
③課題設定 問題解決のためいん、クリアすべき課題を設定する
・微妙なニュアンスまで、問診で把握する
・問題の本質を突き止めることとは何がいちばん大切なのか、を見つける、つまりプライオリティをつけることです。これがすごくむずかしい
・整理術、3レベルのクリア
①空間の整理術
②情報の整理術
③思考の整理術
■レベル1:空間の整理術=プライオリティをつける
・空間の整理の目的は、快適な仕事環境を作ること
・モノを絞って、すっきりと気持ちいい環境のなかで、効率的に仕事をしたい
・まずは身近なカバンの中身の整理から
・本当に必要なものを自問自答するということは、結果的には、いらないモノを捨てることでもあります
・いらないと判断したら、思い切ってすてる。すてることは整理術に欠かせない手法の1つです
・整理の順番
①アイテムをならべてみる
②プライオリティをつける
③いらないものを捨てる
・とりあえず、とっておくことは、整理するうちにはいりません。単なる移動で終わってしまうのです
・データの整理の仕方でいちばん重要なのは、フォルダやファイルの名前の付け方です。
・データ類に加えて、メールの整理も気が抜けません。大切なのは、受信メールをチェックしたら、その場で処理すること。その日の受信ボックスは必ずゼロにしてから帰ります。
■レベル2:情報の整理術=独自の視点を導入する
・広告を発信する側としては、伝えたいことはたくさんあって、一般の人たちも当然注目してくれるものと思い込みがちです。ところが、受け手側というのは、発信者側のそんな思いなど、ほとんど意に介していません。
・伝えるということは本当に難しい
・いちばん大切なのが、自分なりの視点を持ち込んで、きっちり筋を通すこと、大切な情報をしっかり見極め、情報動詞の因果関係をクリアにしていくことで、進むべき道が見えてくるのです。
・つまり、情報の整理とは視点を導入して問題のほんしつに迫ることで新野問題解決を行うためのものなのです。
・しっかりとした家を建てるためにいちばん大切なもの。それはビジョンです。
・ビジョンとは、クライアントが真に到達したいと望んでいること。
・それはクライアントが潜在的に秘めているものでもあり、あるべき姿、といってもいい。
・ビジョンを探るために不可欠なのが、視点、を持ち込むことです。
・情報を整理していく際に、どういう視点でとらえるかによって、結果は全くちがってきます。
・定めた視点によって、クライアントの、あるべき姿、を正確に導き出し、最終的に最もインパクトのある伝え方できれば最高です
・スランプに陥ったとき、思考回路が堂々巡りになってしまったとき、離れてみる、というアプローチがきがつかせてくれるものは大きいはずです
・ビジョンにつながる確固たる視点を見つけるためには、正面からだけでなく、いろいろな角度から見てみることも大切です。
・自分の思い込みをまず捨てる、ということから始めてみてください
・どうしようか、資料を何度読んでも迷いがありました。
・ふだんは、情報を整理して、課題を発見してからかたちにしていくのですが、今回は珍しく手を動かしながら考えてみました。
・パッと見えてこないなら、整理しながら視点を見つけていくしかありません。
・情報を正面からだけでなく、多面的な視点で見つめ直してみました。
■レベル3:思考の整理=思考を情報化する
・自分自身を知ることは、とてつもなく難しい
・相手に自分の考えていることをきちんと伝えるのは、すごく難しい
・これがうまくできる人というのは、思考、の整理に非常尾に長けている人。つまり、自分の考え方を整理して精度を上げることで、いちばん大事なことをぶれずに、明確に伝えることができている人です。
・いま、本当にやりたいことは何なのか
・人生において、何がいちばん大切なのか
・思考を情報化するためにはどうしたらいいか。必要不可欠なのが、無意識の意識化、というプロセス。
・その際に、いちばん大事なことは、言語化していくこと、です
・とはいえ、自分で自分の思いを言語化し、整理するのは至難の業です。
・相手の思いや考え方を客観的に捉え、言葉に置き換えることからやってみるのです。
・だんだん、スキルが上がっていけば、そのうち自分のことも冷静に見つめられるようになってきます。
・リアリティがなければ、問題意識は生まれない
・困ったことにいまひとつ集中して取り組めない、なぜだろう、と考えてみると、自分自身と接点が持てていないからだと気付いたのです。
・つまり、自分がどこかで、リアリティをもって捉えらないと本当の意味での問題意識が生まれない。精度の高い仕事が望めなくなってしまうのです。
・他人事を自分事にする
・これは思考の整理で非常に大切なポイントです。
・あいまいなものを情報にして、さらには問題点を見出して解決していくわけですから、自分との接点を見出さないと実感が湧かず、目指すビジョンも空々しいものになってしまう
・思考の整理を行っていく際に、このプロジェクトで挙げた、他人事を自分事にする、というアプローチをぜひ試してみてください。
・無意識の意識化や仮説を立てる場合の潤滑油として、おおいに役にたつはずです。
・いったん完成していたものを壊して、再構築することにしました。
・革新、という視点が見つかった時点で、霧が晴れたように方向性が見えてきたのです。
・このプロジェクトでも再確認したのが、思考を言語化すること、と、仮説を立てて恐れずに相手にぶつけてみる、ということの大切さです
■まとめ
空間の整理:整理するには、プライオリティをつけることが大切
情報の整理:プライオリティをつけるためには、視点の導入が不可欠
思考の整理:視点を導入するためには、まず思考の情報化を
・答えは必ず、目の前にある
・整理をすること、と、問題解決、は別ものだと思っていた人も多いのではないでしょうか。
・整理は事務的な作業、問題解決は別の次元のクリエイティブな作業だと。そんなことはないのです。整理と問題解決は、同じベクトルでつながっている
目次
まえがき
1章 問題解決のための“超”整理術
2章 すべては整理から始まる
3章 レベル1「空間」の整理術 ――プライオリティをつける
4章 レベル2「情報」の整理術 ――独自の視点を導入する
5章 レベル3「思考」の整理術 ――思考を情報化する
6章 整理術は、新しいアイデアの扉を開く
あとがき
ISBN:9784532195878
出版社:日本経済新聞出版社
判型:文庫
ページ数:232ページ
定価:714円(本体)
発売日:2011年04月08日第1刷
発売日:2011年04月25日第2刷詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
佐藤可士和さんの仕事で重視すべき点を学ぶことで、頭の中が整理できる一冊。
整理術は快適に生活するための本質的な方法論。
仕事整理のプロセスは、「状況把握」「視点導入」「課題設定」の順に行われる。
情報の整理において重要なのは、自分なりの視点を導入し、情報同士の因果関係を明確にすること。
思考整理のカギは、「無意識の意識化」によって思考を情報化し、目に見えるようにする作業。
空間の整理は、仕事の効率を上げ、リスクを回避することにつながる。プライオリティをつけて不要なものを捨て、目の前をすっきりさせることが大切。それはデスク周りだけでなく、パソコン上のデータ管理にも当てはまる。
情報の整理は、プライオリティをつけるために視点の導入が必要となる。視点の持ち込みは、視点の軸をいくつも挙げていき、TPOに応じて一番有効やものを選ぶ。
思考整理は、視点を導入するためには、まず思考の情報化が必要。頭の中にある漠然とした思いをスムーズに相手とやり取りする。あるべきビジョンをお互いに共有する。
整理術を取り入れていくためには、
定期的に情報をアップデートすりためにも、モノを増やさない。捨てる勇気をもつ。
視点を引いて、客観視する。
自分の思い込みをまず捨てる。
視点を転換し、多面的に見てみる。
自分や相手の考えを言語化する。
仮説を立てて、恐れず相手にぶつけてみる
他人事を自分事にして考える
仕事やプライベートにおいても、整理する考え方は有効であることを学ぶことができた。さらに他人の考え方(悩み、喜び含め)を自分毎で考えられるようになると、寄り添えられるようになる。 -
<ワード>
空間の整理、情報の整理、思考の整理
空間:
捨てることはとりあえずとの闘い、プライオリティを見つける
情報:
プライオリティを見つけるために、視点を持ち込む、ビジョンを見つける、ポジティブさ
思考:
視点を見つけるために、思考を情報化する、他人事を自分事にできるとリアリティが生まれる
<気づき>
確かに、整理できるときは、優先度が分かっている。優先度が分かっているとうことは、基準(視点)がある。基準・視点を持つためには、見える化・言語化が必要。 -
ものや情報の整理の仕方について、わかりやすくまとめられていました。整理された環境がいい仕事を生むことは、著者の実例で示されています。
整理が苦手な私も感化されて、オフィスの物やデータを少しずつ整理しはじめています。 -
整理をすることと、問題を解決することは同じこと!!!!
これ、ホントにまさにそう!!!!
と、思いました。要は、問題も整理整頓すると解決することがほとんどなんだよね、足りないもの多いもの、いらないもの必要なもの選択して並べたら大体の答えが出る。
残る。
この方はデザイナーですが、UNIQLOのロゴ。まさに!!!!!って感じでした。
目についたら、速攻でわかるあのUNIQLO。
このくらい頭が整理できたら、きっと仕事がめちゃくちゃできるだろうし、楽々だろうなぁ。と。
体が疲れるのは置いといても、頭が疲れるのはなかなか大変で、、、無駄に動くと身体まで疲れて、、、
超整理術、すこしづつものにしたい。 -
佐藤可士和さんは本当に昔から好きなアートディレクターで著書もよく読んでいる。docomo、TSUTAYA、セブンイレブン、SMAPやミスチルのCDジャケット、少し前だとくら寿司のグランドデザインなど多岐に渡る印象に残る仕事はまさに神の領域。その真髄は整理術だという本書は、本当に興味深い。
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佐藤可士和さんの頭の中がよくわかる本。デザインは整理術だということ。物理的なものから、目に見えないものまでの整理術が一貫性を持って述べられていて、本そのものが、整理術をメタ的に整理して伝わってくる。さすが。
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4月から社会人を迎えることに緊張してそわそわしてとりあえず読んだ 一旦机片付けよ
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楽しく、速く、いい仕事をして、人に喜んでもらって、自分もハッピーになりたい。どうせやるなら、楽しくやりたい。
①整理をすることで、頭もスッキリするし、それこそが良い仕事のリズムをうむ。食べチョクの秋元さんが、「リスクを可視化することがエンジンになる」とおっしゃっていたが、それと近しいことかもしれない。週に2時間全て整理する時間をとる。仕事の初め20分、整理する。
②軸をつくる、という観点
毎日体の軸をつくるトレーニングをする様になったら仕事の集中度が上がったいうのを、佐藤さんが言っているのが、頭に残った。私も軸を作るトレーニングは忘れずにやろう。 -
アートディレクター佐藤可士和氏のビジネス術。「超整理術」という題名は室内収納整理と勘違いしてしますが、彼の語る整理術は「可視化」の整理術。アート分野はクリエイティブ的な発想やひらめき重視と思っていたが、彼がやっているのはコンサルタントのようなロジカルで緻密な構成と整理。特に面白いのはアイデアのヒントは「相手の中にある」と述べている点だ。自分はそれを整理し形づけているだけだと。難易度順に空間、情報、思考と語られているが、クリエイティブや企画職のみならずビジネスマン全員に読んでいただきたい本だ。きっと頭の中が整理されるはずだ。